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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~367


「そうですね、『保険』ですか……そんなこと考えたこともなかったですけれど、そう言われてみると確かにそうかもしれません。痩せることは『明日もし痩せられなくても大丈夫なように、痩せられる時にどんどん痩せよう』とか、食べることも『もし食べ過ぎちゃっても大丈夫なように、食べないでいられる時は食べないでいよう』みたいなことは無意識に考えていたかもしれません」

その他に、何か話をしていて気づいたことなどはありましたか。

「そうですね。私が『ずっと過食嘔吐がやめたくてもやめられないの。今一番やりたくないことがやめられなくて悩んでるし、どうしたらいいのかわからないの』みたいなことを言ったんです。そしたら友達が、

紗希、やりたくないことがやめられなかったり、どうしたらいいのかわからなかったりするのって、きっと辛くて、とっても苦しいんだと思う。私は、病気のことを詳しく知っている訳じゃないから、いい加減なことは言えないんだけど……私だったらそんな時に、こう考えるようにしてる。『人のことは思い通りにならない、って言うけど、自分のことも同じで、なかなか思い通りにはならない。なぜかって言うと、もし自分のことが思い通りになるのなら、素敵な彼がいて、好きな仕事して、お金持ちになって、仕事なんてしなくても一生好きなことだけして暮らしてるはずだから』って。ちょっと極端かもしれないけど、突き詰めて考えるとそういうことかな、って。だから思い通りになった時、出来た時に『出来たじゃん!』って褒めてあげようって、そう思うようにしてる。

って言ってくれたんです。それを聞いた時にはそんな風には思わなかったんですけど、今思い返してみると、物事の目の付け所が私とは違っていて、新鮮な考え方だなぁ、って思うんですよね。私は、きっと無意識のうちに自分のことぐらい思い通りにならなくてどうするの、ぐらいに思っていて、だから何で出来ないんだろう、って悩んで、イライラして、自己嫌悪に陥ってしまうんです。そんなことをずっと繰り返してばかりいたんです。でも、確かに友達の言うように自分のことだってなかなか思い通りにはならない。もし思い通りになるのなら、食べることだって、痩せることだって、仕事だって、彼氏だって、思い通りになるはずなのに、実際は何一つ思い通りになんかならないし、悲しいけれどそれが『現実』なんだなぁ……って思うんです。その『現実』を認めないといけないのかもしれないですよね」


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