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『クソ恋撲滅委員会』委員長・伊月布美さん

「クソ恋撲滅委員会」委員長として、「クソ恋エピソード選手権」を開催する伊月さん。かなりインパクトのあるネーミングですが、どんな想いとコンセプトが隠されているんでしょうか?
発想するに至った経緯と秘密を伺いました。

プロフィール:伊月布美(いつき ふみ)さん
【活動地域】
北海道
【経歴・活動】2018年9月の北海道地震をきっかけに、サブカル方面からの復興への取り組みとして、クソ恋撲滅委員会(当時は「クソ男撲滅委員会」)を立ち上げる。同12月、新型チャリティイベント「クソ元彼エピソード王選手権」を開催。2019年4月「クソ恋エピソード選手権」を開催。7月には第1回目のクソ恋撲滅会議を開催予定。
また、ネイルサロン『nail yumihari』 ディレクター、アクセサリープランド『un yumihari』 デザイナーとして、『yumihari』ブランドを立ち上げ、経営する。
【座右の銘】向上心のない者は馬鹿だ

悲しみを、笑いや学びに。

記者 「クソ恋撲滅」って、かなりインパクトがありますね!どんな活動なんでしょうか?

伊月さん(以下、敬称略) 本当に撲滅したい訳じゃなくて、失恋とか辛いことがあったときに寄り添いたいというイメージなので、救済に近い感じです。敢えて強い言葉を使うのは、人の心に残って気になってもらえるからです。

去年「クソ元彼エピソード王選手権」を始めた時は、「クソ男撲滅委員会」だったんです。でも、クソ男、クソ元彼というワードが、男性を攻撃しているように思われることがあって変更しました。私たちは自虐のつもりで言ってて、男性を糾弾する目的じゃなかったんですが。

それに、クソ元彼に限定じゃなくて、男女ともに楽しめるようにして欲しいという声もあって、2回目のイベントは「クソ恋エピソード王選手権」にしました。

記者 なぜ「クソ元彼エピソード王選手権」をやろうと思ったんですか?

伊月 友達がクソ男に引っかかったんです。もし「クソ元彼エピソード王選手権」があれば優勝だねって話してました。ちょうどその時期に、北海道地震が起きました。復興への動きがいろいろとあって、サブカル方面からのアプローチがあってもいいじゃないかと思いました。

悲しみを笑いや学びにすれば、マイナスの思い出をプラスに変えることができると思って、震災の新型チャリティイベントとして「クソ元彼エピソード王選手権」をやることにしました。

クソ元彼のエピソードを募集したら、女子からいっぱい集まったんです。震災の年のうちに「お焚き上げ」をしたくて、2018年12月に開催しました。1回目が好評で、元号が変わる前にもう1回やりたいねと、委員会のメンバー3人で話になって、今年4月に2回目のイベントを開催しました。

「何かをしなくてはいけない」に近い気持ち

記者 北海道地震を経験して、どんなことを感じたんですか?

伊月 阪神淡路大震災、東北の震災、それ以外にも災害がたくさんありました。知識でそういうことが起きていることは知っていましたが、実際に停電を経験して被災者の1人になってみて、知識と経験には差異があると分かりました。

友達が厚真(北海道地震の震源地)で命からがらの経験をしたことを聞きました。亡くなった方もたくさんいて、建てて2年の家が潰れたり、養鶏所を大きくするために借り入れしたばかりだったのに大損害で、ものすごくリアルに被害が分かる状況でした。

それまでも募金とかはしていましたが、その時は「何かをしたい」気持ちよりも「何かをしなくてはいけない」に近い気持ちになりました。
これまで知識で知ってた災害とはレベルが違う危機感、体感でした。

自分が納得するようにしかやりたくない

記者 イベントはTwitterでかなり反響あったみたいですね!「水曜どうでしょう」の藤村ディレクターが審査員をされていたり、精力的に活動されていますが、伊月さんのモチベーションは何ですか?

伊月 イベントは絶対やった方がいいと思ったんです。クソ恋が義援金に代わるってすごくないですか?面白くなるってビジョンが完全にあったんです。それ面白そうだから関わりたいって人もいたんです。
私自身はイベントの運営や主催はやったことなかったんですが、協力してくれる人がいたからイベントを開催することができました。藤村さんもそのお一人です。

チャリティー=真面目じゃなくてもいい。復興への動きがたくさんある中で、別にこんな形があってもいいと思ってたんです。もともと、常識に何でだろう?って疑問を抱く性格っていうこともあるし、マイナスをプラスにする発想が好きだし得意なんです。

札幌オオドオリ大学というNPOの「2050年の札幌の未来を勝手に考えるゼミ」で1年間学んでいて、藤村さんとはそこで知り合ったんですが、「ニート発電」という小論文を書いたら、10人の中に選ばれました。
東北の震災の後、原子力発電所が止まって電力不足が叫ばれていました。だったらニートが家で自転車を漕いで発電して、ニートに役割を持たせたら新しい電力が生まれるんじゃないかっていう発想です。

記者 なるほど、面白いですね!マイナスをプラスにすることって、やろうと思っても実際にやるのは難しいと思うんですが、どうしてできたんですか?

伊月 できる側にはできない気持ちが分かりません。私はもともとクリエイティブな人間で、何かを考えてやるのが好きなんです。
今は自営業ですが、会社員時代は「これはこうだからやって」と言われても、「どうしてやらなきゃいけないの?」と思ったり、「本当にやらなきゃいけないの?」「これはいらないよね」「逆にこれはやれって言われてないけどやった方がいいよね」とか、自分で考えて言われた通りやらないんです(笑)自分で考えて納得するようにやりたいんです。行動でも何でも、自分が納得するようにしかやりたくないんです(笑)

「札幌にはクソ恋撲滅委員会があるからね。」

記者 今後の活動のビジョンや展開を教えてください。

伊月 イベントは定期的に開催して、失恋とか、辛いことがあった時の駆け込み寺になれたらいいと思っています。イベント以外にも、ただ話を聞く飲み会もあってもいいと思ってます。仲が良い友達じゃないからこそ言えることもあるじゃないですか。クソ恋撲滅会議という名の飲み会も企画しています。

記者 7月27日に、第1回目のクソ恋撲滅会議されるみたいですね!

伊月 そうなんです。辛いことや嫌なことがあった時に、マイナスだけでは終わらないように、気持ちに寄り添ったり、笑いに変えたりするコミュニティになったらいいなと。

「クソ恋ラジオ」もやりたくて声かけをしていたり、noteを使って恋愛相談が寄せられて、委員会のメンバーが答えたり、コラムの掲載したり、メディア展開ができたら楽しいです。クソ恋エピソードを本にしたり、豪華ゲストの対談をまとめたり、いろいろな方法があると思います。

記者 将来的なビジョンはありますか?

伊月 まだそんなにないですが、みんなが楽しく、「札幌にはクソ恋撲滅委員会があるからね」って言われる感じになりたいです。

「非キラキラ女子」それが持ち味

記者 日々、心がけて実践していることは何ですか?

伊月 「やりたい、いいな」って思ったら共有して話をするようにしています。「次は11月にイベントやるよ」って言ってるんですが、目標がないと動きを作るのは難しいので、なるべく11月にできるように言っています。自作の本を売るイベントがあるのでそれに出ようとか、次の目標を決めて動くようにしています。

記者 委員会のメンバーさんとはどれくらいの頻度で共有しているんですか?

伊月 ライングループで毎日なんかかんかやってます。やっぱり楽しいから。私たち3人に共通しているのは、キラキラ女子みたいに、SNSとか頑張ってすごく活躍、充実している人たちではない、こじらせ感のある3人。非キラキラ女子(笑)それが私たちの持ち味です。

キラキラしてなくてもいい。「女性がもっと輝く社会を」ってところに、「別に輝いていなくてもいいじゃん」っていう、輝かなくてもいい自由も欲しい。他の2人に失礼かもしれないけど(笑)

記者 なるほど。輝くことを強制されたくない、というような感じですか?

伊月:そうですね。私、生まれ育ちがすごく変わってるんです。家が貧乏過ぎて、神社の奥に一家で住んでたんです。両親とも無職で家賃が払えないから、地域の神社の奥に住まわせてもらってました。お風呂もなくて。神社に住んでることを隠したくても学校の隣だから隠せない。「伊月神社」って言われてイジメられてました。
だから学生時代は目立ちたくないし、誰からも気づかれなくないと思っていました。

好きな言葉は「向上心のないものは馬鹿だ」

記者 昔と今で、何かが反転して今の伊月さんがあるんでしょうか?

伊月 目立ちたい訳じゃなくて黒子でいいと思っています。やりたいことがやれたらいい。小説家志望の暗黒女子で、本をずっと読んでて、自分でも書いてました。

好きな言葉は「向上心のない者は馬鹿だ」(夏目漱石「こころ」の一節)。基本的に自分に自信がないんです。でも少しでも今より向上したい。嫌だな、疲れたなっていう時は、夏目漱石先生の言葉を思い出して奮い立たせるようにしています。

「向上心のない者は馬鹿だ」は自分に向けて使う言葉です。人に対してはそうは思いません。向上心がない人でも幸せに生きていたら、それはそれでいいし、「やりたいことがない」「目標がない」って相談を受けるんですが、全然それでいいと思うんです。やりたいことがないってことは、今はそれで幸せだってことだと思うから、全然いいと思います。

記者 なるほど。伊月さんによって救われる人がたくさんいらっしゃるでしょうね!

伊月 社会で良しとされていることが良しじゃなくてもいいと思うんです。良しとされるものが本当に良しなの?って。その人の意思が尊重されるべきと思います。

「伊月神社」ってイジメられてましたが、大人になってみてメリットに感じます。神社に神主さんがいなくて、町内会で管理をしてて管理人業務をやってました。お札やおみくじ売ったり、落ち葉掃除や雪かきをしたり、どんど焼きをやったり。そういうことやればタダで住めたんです。

貧乏過ぎて神社に住んでて、14歳の時にはクローン病を発症しました。だからって人生に潰れるより、楽しく生きてる方がいい。そんな伊月でも何とか楽しく暮らせてるぞって、少しの希望になれるかなって思っています。

記者 とっても希望だと思います!どんな人にメッセージを伝えたいですか?

伊月 自分と同じ苦しみを持ってる人ですね。クソ恋や病気に苦しむ人。毒親に苦しむ人。

記者 一番伝えたいメッセージは?

伊月 クソ恋、病気や毒親、それぞれ違うけど、考え過ぎないで欲しい。あえてあまり考え過ぎないようにして欲しいです。袋小路に入っちゃうから。悩んでいる時に絶対にいいことは思いつかない。「もう死のう」に辿り着く。
考え過ぎないで。死なないでって。死なないようにすごく頑張らなくていいから、病気でもクソ恋でも毒親でも、とりあえず生きてって思います。

記者 伊月さん、ありがとうございました!

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<クソ恋撲滅委員会>

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【編集後記】
インタビューを担当した原田と深瀬です。「クソ恋エピソード王選手権」というインパクトのあるネーミングに、どんなイベントなのか気になり実際に参加しました。発案者の伊月さんの強い想いと強い意志をイベントから感じて、実際にお話を聞いてみたくての取材依頼でした。
世の中のメジャーにアンチテーゼを投げながら、前向きに向上心を持って生きる姿勢に、さらに興味を惹かれました!

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この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。


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