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暴力団排除条例の問題点

暴力団排除条例とは

内容
 2004年から2011年までの期間で全国47都道府県で施行された条例である。
条例といっても、全国で施行されていて罰則規定もあるため法律のようなものである。市民や企業に対して、暴力団との関わりをなくすように求めている。
 例えば、暴力団関係者に対する利益供給の禁止、契約上暴力団排除条項を設けることなどが定められている。

背景
 平成初期に暴力団組織が力を増し、民事介入暴力や対立抗争が多発した。
それを受けて暴力団対策法が施行されたが、地上げやみかじめ料、闇金家業ができなくなった暴力団はその実態を潜伏化・不透明化した。
 それによって、警察だけで暴力団を排除するのは難しくなってしまったため、市民や企業が暴力団との関わりをなくすことで社会的に暴力団を排除することが求められた。

問題点〜元暴5年条項〜

内容
 暴力団排除条項とは、契約の相手方が暴力団関係者だと分かった場合、契約を無催告解除できるという規定である。ここでの暴力団関係者とは、「暴力団員又は暴力団若しくは暴力団員と密接な関係を有する者」であり、たとえ暴力団を抜けたとしても約5年間は銀行口座の開設やクレジットカードの契約ができない場合がある。そのため、元暴5年条項とも言われる。

生活の問題
 暴力団対策法や暴力団排除条例によりシノギが減り、生活が厳しくなったためカタギになった元組員も少なくないだろう。そういった人間にとっては生活が立ち行かなくなるだろう。どこかにセーフティネットを設け、規制を緩和しなくては元暴力団の生活は困窮するばかりであると考えられる。

破門状による認知の問題
 組を抜けた人間は組織内に破門状・絶縁状・除籍通知が郵送やFAXで回ることで他の組員及び警察に組を抜けたことが認知される。
 ここで問題となるのは、今まで暴力団関係者だと認知されていなかったため銀行口座等を持てていた人間が、足を洗ったことで初めて警察に元組員であったことが認知され、銀行口座等の契約を結べなくなってしまうということである。

判断基準の問題
 契約の相手方が暴力団関係者かどうかは警察に問い合わせることでわかる。暴力団を抜けたかどうかは破門状によって警察は認知するが、その破門状を発行しているのは暴力団である。
 暴力団を抜けたかどうかの判断基準の情報元が警察などの行政機関ではなく暴力団側であるということは信頼性や正確性、責任の所在において問題があると認められる。

参考

わかりやすかったものを以下に。

懲役太郎チャンネル 【更生を阻む法律】元暴五年条項の裏の顔
西日本新聞 元組員に口座 銀行敬遠「離脱5年は開設拒否」7割 九州22行アンケート


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