さくら石鹸
十年来の友人から、誕生日祝いに「さくら石鹸」というのをもらった。
桐の入れ物のたたずまいは品がよく、持った手に軽い、美しい品物。
花びらの形をした、紙よりも薄い石鹸が、その小さな正方形のなかで重なっている。まるで、降って積もった春の桜の花のように。
一枚の花弁を手に取ってみる。そこに一滴、水を垂らす。
楚々と泡立ち、かすかに、しかし豊かな香りを漂わせて花弁は消える。
小さな儀式はいつでも人に力を与える。
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十年来の友人から、誕生日祝いに「さくら石鹸」というのをもらった。
桐の入れ物のたたずまいは品がよく、持った手に軽い、美しい品物。
花びらの形をした、紙よりも薄い石鹸が、その小さな正方形のなかで重なっている。まるで、降って積もった春の桜の花のように。
一枚の花弁を手に取ってみる。そこに一滴、水を垂らす。
楚々と泡立ち、かすかに、しかし豊かな香りを漂わせて花弁は消える。
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