畠中恵の小説

畠中恵の作品は「しゃばけシリーズ」が有名で私も20年以上このシリーズを読み続けている。畠中恵の作品は(人と人の)会話をしているシーンが多い。そして、人との交流を書くのに長けていると思います。私は小説を読むときに必ず頭の中で映像化しますが、畠中恵の小説はそこで生活している登場人物たちが楽しく生き生きと動き会話しているのを外から覗かせてもらっているような臨場感で読めるものです。
更に面白かったのは「わが殿」。これまでの小説同様、登場人物たちが動き、会話しているのを臨場感を持って見せてもらっているのですが、この小説には更に主人公が頭の中で考えていることを会話の途中に描写していることです。人は会話をしながらも考え事をする。それをあえて、書き込むことで自分がその主人公の立場になった感じで読むことができます。
「しゃばけシリーズ」でも主人公が考え事をすることは多いですが、「わが殿」は更に臨場感のあるシーンがずっと続いています。畠中恵の小説のとして楽しいシーンが多いのですが、ふと心の琴線に触れる内容のシーンが盛り込まれることです。畠中恵が人間味のある方ではないかといつも思い、ご本人の人柄までも知りたくなります。人と人(妖)がたくさん会話して交流するシーンを描けること、心の琴線に触れる文章を書くこと、これこそが畠中恵の書く小説の魅力だと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?