ゼレンスキー大統領の徹底抗戦 / プーチン氏の想定外
2022年2月24日に、ロシアがウクライナへの侵攻を開始して、およそ3日が経過しました。
ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ侵攻にあたり、以下の3点を想定していたと推測します。
1)アメリカはロシアとの全面対決を恐れ、ウクライナには軍隊を派遣してこない
2)国境を突破して侵攻していけば、ウクライナのゼレンスキー大統領は震え上がって首都キーウから逃げ出す
3)ウクライナの首都キーウに、ロシアの傀儡政権を樹立し、ウクライナを対西側陣営への緩衝国とする
2月27日の時点で、アメリカのバイデン大統領は(ロシアを強く非難しつつも)アメリカ軍をウクライナに派兵していません。
ロシアのプーチン大統領にとって、おそらく読み通りの展開でしょう。
プーチン大統領にとって想定外だったのは、ウクライナのゼレンスキー大統領がアメリカなどからの退避勧告を拒否して、首都キーウで徹底抗戦の構えを見せていることでしょう。
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、かつてコメディアン。大統領のモノマネ芸が人気となり、とうとう本当に大統領になってしまったという説があります。
プーチン大統領はおそらくゼレンスキー大統領を「ナメて」いた。ロシア軍が脅せばすぐ逃げ出すと、タカをくくっていたのではないでしょうか。
ゼレンスキー大統領は元コメディアンかもしれませんが、この危機に際して、一命を賭して首都キーウにとどまり、抗戦を続けています。
通常兵力だけでも、ロシアの優勢は明らか。さらにロシアには核ミサイルもあります。ロシア軍が、ゼレンスキー大統領を「無力化」することは時間の問題とさえ言えます。
ゼレンスキー大統領をそれを百も承知の上で「この命、取れるものなら取ってみろ」という覚悟なのでしょう。
この先、プーチン大統領は選択を迫られると予想します。
ゼレンスキー大統領は、独立国ウクライナで、民主的な選挙によって選ばれた正当な国家元首です。
ソーシャルメディアなどでウクライナの動画が数多く公開され、いわば世界から衆人環視のもと、優勢なロシア軍の戦力をもってゼレンスキー大統領を本当に「無力化」するのか?
本当にやるとしたら、どんな手段でやるのか?
今回のロシアによるウクライナ侵攻は、ウクライナ在住のロシア系住民の安全を守ることが名目のようです。
ウクライナ東部のドネツィク州やルハーンシク州は、ロシア系住民が多いのでしょう。
しかし、チェルノブイリや首都キーウにロシア軍が侵攻することは(軍事上の目的はともかく)、住民保護の名目としては論理的に破綻しています。もっとハッキリ申し上げれば、大義なき戦いです。
かつて中堅の情報官僚だったウラジーミル・プーチン氏は、当時のエリツィン大統領に見出され、ロシア首相、ついにはロシア大統領にまで登りつめました。
プーチン大統領は、ロシアの戦略的価値を高めるために、生涯をかけてきた人物と言っても過言ではありません。
旧ソ連の崩壊後、ロシアを強国へと建て直した功績は大きい。
しかしながら、今回のウクライナ侵攻は、ロシアの戦略的価値をむしろ下げています。そしてプーチン氏は、大きな功績がありながら晩節を汚した人物として、歴史に刻まれると考えます。
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