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あなたを大切にしたいを届ける

言いにくいことを言わなきゃいけない、本人に自覚や改善を促していかなくてはならない、そんな場面は管理職や経営者なら何度も訪れるでしょう。その状況は様々ですが、「単に伝えるだけではなくその後のモチベーションにつながるような伝え方をどうすればよいか?」というご相談を受けました。今回は、相手のモチベーションにつながるような伝え方について綴ってまいります。

自体はそう単純ではない

今回のご相談の概要は、こうです(若干デフォルメしてます)

アルコール依存の状態があり一時療養中のAさん。その期間を明けて職場に復帰する日が近づいているが、元の現場に戻るには体調面にもまだ不安が残る。その戻ることに対して現場からも不信感があり、すぐに戻すことは難しい。一方のAさんは現場に戻りたがっており、産業医からも会社として継続するようサポートしてほしいという。Aさんとの面談を控えているが、そのまま伝えると本人のモチベーションも下げてしまいそうなので、どんな風に伝えればよいのか?

ヒヤリングをしていくと、Aさんはそのアルコールが原因で現在別居中であること、アルコール臭があり何度か現場で揉めていたこと、それを現場内でおさめて組織的な対応がされておらず、そのことへの現場から不満や不信感があった、ということがみえてまいりました。

そうすると、単に「あなたは現場に戻りたいと言っているが、これまでの行いから現場は不信感になっているのですぐに戻すことはできません。でも会社としてはあなたを守るので、配置換えをして対応します」とストレートに伝えるつもりだったようですが、「イヤ、待てよ。それじゃあ本人のモチベーショまで下げてしまわないか」と思ったようです。

このようなご相談をされるということは、まさに「部下想い」の管理職・経営者の方でありますよね。

伝え方のポイント

ひとまず事実を整理した上で、面談時には以下の手順でお伝えしていきます。大事なことは事実を単にストレートに伝えるのではなく、会社としても大事な存在である社員であるからこそ、「あなたを大切にしたい」を届けることです。

1.本人のこれまでと意向・意思を聴く
まず何よりもこの療養中に本人がどんな風に過ごしたか、どんなことを感じたかに耳を傾けます。いわゆる傾聴です。苦しかったりやるせなかった、そんな声は無条件に受け入れてください。そして、復帰することやこれからの配置などに期待することを改めて確認します。

2.承認と感謝を伝える
その話されたことへの承認と、これまで会社に貢献したことへの感謝を伝えます。「そんなあなたを大切にしたい!」を届けます。

3.会社としてサポートする意思を伝える
その意思へ会社として寄り添い、向き合っていくことの意思を伝えます。決して一人で頑張れというのではなく、必要に応じたこれからの対応を一緒に考えていきたいという姿勢を示します。

4.現状とゴールを確認する
その上で、改めて現状とゴールの整理をします。こうあってほしいという意向=ゴールに対して、現状、つまり身体の状態や職場の環境含めて、自覚している部分と話しから伺えて気づいたことを言語化し確認します。

5.具体的な行動とサポートを確認する
それに対しての具体的な行動とそれを継続するために、会社としてまたは管理職としてどんなサポートが必要かを確認します。

この手順は1回で進められる場合と、複数回に分けてやる場合とお互いの関係性によっても違いはありますが、何よりも大事なことは一方的にこちらの言いたいことを放つのではなく、あくまで相手を尊重した上で相手の理解度にあわせて進めていくことがポイントにもなります。

大切にしたい社員だからこそ、丁寧に向き合う、この姿勢はきっと届くはずです。


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