20170804-20181113


人間の無邪気な指が不自然に花を手向けて祈ればいいね


じっくりと"This is from Mathilda."をあたためなおす さあ召し上がれ


吐く息が青くなったら虹が出るもう絶対に消せない虹が


フィルターを通してみれば幸福とその他だったねgood-bye歴史


覚悟だ 蚊取り線香の主観では何も変わらずただ尽きていく


静けさがメロンソーダに張り詰めて そうか祈ってくれていたのか


最後まで想起されずに消えた色だけで開いた祝賀会です


生き延びてしまうねと何故寂しげに言うのかと問う 電車が来ない


暇すぎて石になったらみんなから墓と呼ばれて花束が ごめん


彩りに溢れた銀河 いずれもが同じ甘さの綿菓子だった


完璧なコピーが出来たカーテンの揺れる影まで出来てしまった


生きてない そう聞いたのに花が咲きそして造花の偽物枯れる


透明にならせてほしい 崩れゆく言葉で満ちたものになりたい


満ち潮に砂糖をあらん限り撒く憎しむことに不慣れな少女


赤色に染まった口を拭う指 眼で見たものを信じていいよ


くらげ、君はやればできると言ったのに光り輝くだけで終わった。


戦場へ行った 戦場で生まれた傷病兵としての葉桜


比較的か細い糸の構造を暫定的に人間と呼ぶ


ことごとく名のない青につらぬかれせめて魂やすらかであれ


祈りにも関節がある バラバラに屈するときにはじめて知った


細い手が安くて白い傘を持つ間に合わせにも風景がある


仮想敵みたいにナイフ走らせたカーテンの傷から漏れる朝


この指が祈りのかたちになる前に、ヴェロニカ、その名を呼ばせてくれよ


夜を夜たらしめているものたちのやさしさを知るべきでなかった


喉元で痙攣をする愛のうた古路地がそのゆるしで満ちる


轟音に挨拶をする 轟音が申し訳なさそうに振り向く


ここからは浜辺が見える 教卓を引きずり出して座る中庭


ぼろぼろの手の中にある白鍵と黒鍵と指 やわらかいもの


輪廻 またここでパン屋を生きるなら次も冷えた古いチェロを弾く


夕焼けを真水の上にふらつかせ全部が終わるイメージの拒否

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