八月の断章


その髪の狂った色が好きだった 感情に名を結うような色


銀色をコインで削るその指のこんなときまで白魚なのか


揚げたてのポテトが食べたいこの金でお前の愛が買えるとしても


可食部の計算をした少しでもお前のことを手に入れたくて


皮膚剥げばアイスクリームでいっぱいのお前にふれて後悔がしたい


耳元に硝子のしずくゆらしてるお前が夏の終わりを急かす


体温の国境犯し合う日々を弔うように花火で遊ぶ


抽象画まみれの部屋で泣くお前に解毒、と言いかけてやめておく


抱く女失った手で米を研ぐお前の求めたよりも激しく


文脈に取り残されたまま喘ぐ狂うほどではなかった八月

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