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評/2024年1月25日
「はなびら」と点字をなぞる ああ、これは桜の可能性が大きい
笹井宏之「ひとさらい」
俺が短歌を始めるきっかけになった忌まわしい歌の評を今からしようと思います。暇だから。この歌に出逢ってなければ短歌なんて詠まずに済んでたのにという憎悪と感謝でいっぱいの一首です。
短歌そのものをほとんど知らなかった俺が如何にこの歌に衝撃を受けたか、多分どれだけ言葉を尽くしても語り終えることはないと思う。それでも何
評/2024年1月13日
ユリイカ あなただった 浴槽で目覚めたときにすべてわかった
石井遼一「死ぬほど好きだから死なねーよ」
俺が「ほとんど完璧に近い」と思う歌のひとつがこれで、急に思い出してなんかテンションが上がったのでこの歌の何が(少なくとも俺にとって)最高か書き残しておく。
まず57577を大胆に崩す46577の破調。上の句で崩したリズムを577で回収することで定型の心地よさに回帰するという
みなもあふれんばかり
生きる希望ラブコメくらいしかなくない?普通に普通になれずに泳ぐ
またひとり去っていくけど悪いのは多分こっちだ呼吸を止める
祝福も懲罰もない一日の卵は甘い甘すぎて吐く
ピッとする閉じないでくれと祈っても閉じ込められたホーム 鉄風
二年ほどなんとなくよく遊んでた花束とかあげそうになった子
休みやし雨の中でも歩こかな、で外出たら止むんよな、雨
下の名前はじめて聞いた異世界に片足みたいで超良い
Femme fatale
「集めてた銀のエンゼル全部捨てた、だって自由になりたいじゃんね」
「大切に育てた野菜たべないで、野菜はたべると決めつけないで」
「紙袋いっぱいに漫画貸すから全部読んでね。五巻ないけど」
「ひどいこと言う人きらい。舌足らずなのは今朝舌噛み切ったから」
「冷たくて透明だから好きなのに雪解け水で謝らないで」
「魚にも心があるかもしれないの?だったら名前はムニエルにする」
「パーカーの袖くっつ
その庭に蝋梅がある白い小さな記憶の中で
Ⅰ
好きだよ ホワイトホールの話からシチューを食べたがるところとか
黒蜜ときな粉のパフェを食べながら静かに泣ける君が好きだよ
雑踏でいちばん薄い存在を常に担える君が好きだよ
「正体は電子レンジの化身だよ?」
「ひとのかたちであれば好きだよ」
三日月のひかりで夜をふる雨が白くかがやく 君が好きだよ
焼け跡の冷えた空気を白くする風より透けた君が好きだよ
「この声は全て祈りね、うるさ