恐竜リバイバル(1) 化石の謎、見抜く眼力 「カムイサウルス」名付け親、疑問こだわり本質追う

2019年9月24日(火)付

#NIKKEI

(以下一部転載)
…小林は2004年に日本人で初めて恐竜学の博士号を取得。これまでに10種の新種に学名を付けた。恐竜学のトップランナーの一人。鋭い眼力から「ファルコン・アイ(ハヤブサの目)」の通り名を持つ。…

小さい頃は仏像や寺が好きだった。中学1年生で発掘体験に参加。小さなアンモナイトを見つけた喜びで、発掘にのめり込んだ。ただ「恐竜の研究に興味はなかった」。高校時代は恥ずかしくて化石採集の趣味を友人に隠した。横浜国立大学に入学し、1年後には米国に留学したが、実際は「周りに流されていた」。焦りばかりが募った

帰国して訪れた横国大の図書館。手に取った恐竜図鑑にときめきを感じた。かつて仏像や化石に抱いたのと似た感覚。「目の前が晴れた」。やりたいことを見つけた小林は父親に頭を下げ、再び米国へ留学した。ワイオミング大学では最前列で講義を録音して丸暗記。飛び級でサザンメソジスト大学の大学院に進学し、博士号を取った。

05年に北大へ赴任し、研究を加速した。夏の3~4カ月間、モンゴルの砂漠やアラスカの凍土を最大で1日で30キロも歩く。「人と同じ場所を探さない、同じところを2度歩かない」。発掘作業で心がけるポイントだ。

果敢な挑戦にはリスクが伴う。18年夏、アラスカで巨大な熊に襲われかけた。強風のなか、墜落の危険があるヘリコプターで現場へ向かう。「鳥への進化」など、小学生が抱くような素朴すぎるほどの疑問にこだわり、恐竜学の本質を追う。



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