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体の痛み心の傷④

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既に、春も夏も終わり秋の気配を感じる今日この頃
あの時の自分を労わりつつも
やっと続きが書けるまでになって来た。
苦味走った文章で終わったけれど
やはりこのままじゃ終わらない。そんな気持ちになっている

あの様な精神状態で入院になったのだが

ささくれだった心持ち満載だったのだけども
ほろっとする出来事もあったのだ。

そんなエピソードも交えて、入院、手術、退院までの話を

5年前まで家庭婦人バレーボールに勤しんでいた私なのだが、その時の仲間がこの大学病院に勤務してるはずなのだ

病院は辞めちゃったかな。どーしてるかなぁ
彼女はまだチームに残ってプレーしていると聞いていた。

病気の影響でバレーを断念したと言えば聞こえは良いが、辞めた経緯は他にもあって
なんとなくチームにもしこりを残したまま去る事になった。たつとりあとをにごしたんだよね

なので、彼女は私に対してどんな思いでいるかな。
なんとなく気になったり、会えたら良いなぁ。と思ったり。

当分顔と頭が洗えないとな事なので
入浴を早めに済ませ、診察時間の終わった病院内をウロウロと散策してみた。

そんな時、その彼女がこちらに向かって歩いてくるではないか。彼女は高身長でちょっと猫背気味で遠目でも彼女だとすぐにわかった

〇〇さんだよね?覚えてる?私の事
躊躇なく話しかける。
ずいぶん会ってないけど元気にしてた?興奮気味の私

ええっと、ごめんなさい。どなたでしたっけ?

ちょっと!なかじまだけど?

やだぁーーーーー!
男の人に話しかけられたと思ったよ。
覚えてるに決まってるじゃん!

って、忘れてただろうが。
なんだよ男の人と間違えるって。

どしたの?入院?

うーん。こんな事があって明日手術するんだよねぇ

あゝ。それは術後が辛いよね。24時間うつ伏せだもんね。

でも、それを頑張れば良くなるから
ここの先生、その手術では有名な人だよ

あれこれ会話して彼女とは別れた

私を男だと思ったと言える彼女だけど
退院するまで、毎日の様にコーヒーとお菓子を差し入れしてくれたのだ。

また一緒にバレーがしたいって思ってたんだよ。と
一言添えてくれて。

嬉しかった。とっても
ふと思ったら、前から歩いてくるって面白い事も起きるもんだな。

この時、嬉しいと感じた事が、そんな感情を感じれた事にほっとした。のだが
ささくれだった心は簡単には治らない

必ずと言って入院すると採血するよねぇ?
持病もあるので年に数回採血しているこの五年間

この人は上手い。この人は多分手こずるな
がわかる様になった。

部屋の担当してくれる看護師は新人の様だ

9時以降は絶食になります。
あっ。水も飲めないんです。それと
採血しますね

ああああ。採血。
今の私はとってもセンシティブ。蚊に刺される事だって耐えられない。この時期冬だけどな。

新人さんの雰囲気を醸し出す看護師二人がやって来た。トレーには貢物か?お供えでも?と思うほどに
やたらめったら乗っかっている
消毒綿とか針とか試験管や腕を縛るゴムやら

この時点で、あああー。
手こずる派だと察した

一発でスッと入れる看護師はトレーも最小限の物しか持って来ず、さっと縛ってササっと採血していく

これも経験で上手くなって行くもんだと理解してる
そーなんだけど、今の私は心の器がお猪口の裏程に小さい。

ゴムをギュッと腕を締め上げる。
はい。確定。

血管を指先で探す。また更に締め上げる
うぅーーんと声を漏らす新人ナース

既に私は半べそかいてる。やめて!と叫びたくなる衝動をグッと堪える

狙いを定めた様だ。チクッとしますね
体に力が入る。

うぅーん。と唸るナース

はい、限界。我慢の限界値インターバルが間髪入れずにやってくる

やめて!刺した状態で血管探さないで!思わず声が出てしまった。

すみません。抜きますね

額にじわっと汗が滲む

呼吸が荒くなる。泣けてくる。なんか情けなくなって来た。自分に

ごめんなさい。失礼な事言います
採血に慣れてる看護師さんにお願い出来ますか?

嗚咽と共に声を絞り出す。

感情がもはや嵐。
人様の気持ちをおもんはがる余裕なんぞ持ち合わせてないのがその時の自分だった

そーですよね。わかりました。

もう涙が止まらない。この感情はなんだろうか。 簡単に言葉には言い表せられない

手術となると、オペ室の看護師、麻酔科技師が訪れ
当日の説明や今の心境など伺うために部屋に
やってくる。
その度に事の経緯を病室で話す訳で
同室の患者さんに私がどんな理由で手術するのか
聞かれている

別に聞かれて困る事はないけれど
今の心境は?などと聞かれるたびに泣けてしまう

気になるよね。同室の人が事ある毎にシクシクと泣きだすんだから。

採血の後に、同室の方に声をかけられた

彼女は複雑骨折で手術、入院してるらしい

辛いよね。落ち着きましたか?って

私も元旦那のDVで気を失って
救急車で運ばれた事があるの。全治数週間の打撲だったんだけどね。被害届け出すつもりでいたんだけど、旦那はクズ野郎だったけど義理の母さんがとっても良い人だったのね。嫁だった時ほんとに良くしてくれて。そのお母さんに被害届は出さないで欲しいって土下座して頼まれてしまってね
出すのやめた事あるの。

それはそれで辛いですよね。と私

励ますつもりだったのに
うっかり自分の話しちゃった。
えっと。私の怪我は手首だから自由に歩けるからね
なんか買って来て欲しいものとか困ったことがあったら遠慮なく言ってね。と申し出てくれた。

もうひと方は80代のおばあさま
ニューバランスのおしゃれなスニーカーを履いていた。
緑内障の手術後、保護メガネを付ける様にと言われていたのにすっかり忘れて農作業していたら
バイ菌が入って失明の危機に立たされてるとの事

手術が終わり、目の痛みにうんうん唸っている時
お疲れ様。よく頑張ったね。と私の手を握ってくれた。

有難い。人の優しさが染みる
涙で目が更にジンジン痛むけど
心がほろっと緩んだ瞬間だった

しかし、その後は
24時間うつ伏せ耐久レースが始まる

トイレに行く時も下を見て歩く
飲み物と食事の時だけ顔を上げられる
それ以外はひたすら下を見て過ごすのだ

うつ伏せでマッサージ受ける時なんか
よだれ流してぐーぐー寝てられるんだから
なんとかやり過ごせるんじゃ?と思ったのが甘い

首も肩もすぐに限界に達する
寝たいのに眠れない
病室の深夜となると永遠に夜が明けないんじゃないかって思うくらい長い地獄の時間だ

3日経った時、何もかもが限界だった。
耐えられない。もー目なんか見えなくなっても良いから横になって寝たいと心から願った

朝イチには毎日診察がある

先生、もう限界です。横になれませんか?

なかじまさん。後、1日頑張って下さい
片目で見るより両目で見る景色の方が良いでしょ?

当初の予定はうつ伏せ耐久は一週間だった

それが5日目で横になっても良いと言われる訳だから経過も良好らしい。

そうだ。両目でまだまだ見たい景色はある。
頑張れ私!と奮い立たせ
次の日横になる事の許可がおりた。

でも、絶対仰向けにはならないでくださいね。 
と念を押された。

知ってる?
横になって寝れるってほんとに幸せ!
ベッドに横たわった時の気持ちったら
思わず、うわぁー😍って声が出てからね

術後の状態が良好であった為、一週間で退院出来ることになった。

右目はまだ見えぬ状態で、顔も髪の毛も洗えるのは2週間後。

顔も頭も体の面積からいったら小さいけれど
ここの部分を洗うか洗わないかでさっぱり感がまるで違うもんだと実感。

そしてここから
家族との関係性が露わになるのと
思いもよらない事が起き始める。
もちろん良い出来事に繋がるんだけど


続く


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