未婚率増加と出生数の減少
少子化の進行については今更ですが、過去からの出生数(日本)の推移表を見て改めて衝撃を受けました。
今年の6月に厚労省より2023年の出生数が72.7万人となり(統計開始以降最低)、2024年は70万人を割る見込みが発表されていますが、年度毎の推移を見ると約100年前の1920年から戦争終結の1940年代半ばまで継続して200万人前後であり、戦後のベビーブーム時に270万人弱のピーク(団塊の世代)を迎えます。
一旦減少して200万人を割りますが、1970年代前半の第二次ベビーブーム時に再び200万人を超え、その後は漸減して1990年代前半のバブル崩壊期には120万人強まで減少し、更に緩やかに減って2010年代半ばに100万人を割り、ついに70万人割れが迫ってきたというわけです。ざっくり言えば、昭和前期の約三分の一、昭和後期の約半分です。
特にバブル崩壊以降の所謂失われた30年の中で大きく進行したと言えます。
内訳として完結出生児数(結婚持続期間が15〜19年の初婚どうしの夫婦の平均出生子供数)は、1970年代〜2002年までの2.2人よりは若干減少して2021年に1.9人となったいるがそれほど変化していないのに対し、生涯未婚率(50歳時点で「未婚」の人の割合)が、バブル期の1990年の男性5.6%、女性4.3%が2020年には男性28.3%、女性17.9%と激増していることから、出生数減少の要因は未婚率の上昇にあるのは明らかです。
※離婚率の上昇も要因(3組に1組が離婚)
未婚率増加の要因は識者である山田昌弘さん(中央大学教授)の著書から抜粋すれば「経済的要因」と「個人化要因」があるとのことです。
「経済的要因」とは、バブル崩壊後の新自由主義の進行によって派遣労働や有期雇用の非正規労働者が増加して、経済沈滞による賃金の減少や消費税を含む増税や社会保険料の増加もあり、結果として貧困が拡大したこと。
またそれを支援する社会福祉制度の不備が整備されずに、結婚後の出産、子育てを含む家庭生活を賄えるだけの収入が将来的に確保出来ない状況から、結婚の経済的デメリットを感じる層が増加したこと等を指し、出生数増加に向けての公助拡大(支援策の拡充)が喫緊の課題であるとのことです。
※政府も施策を打ち出しつつあるが、未だ生活全般の不安を解消出来る状況になっていない一方、子育て財源に消費増税を想定しているなど貧困解消よりも拡大への不安の方が強い。
「個人化要因」とは個人個人の価値観を尊重する社会風土や、技術革新によるコミュニケーションツールの進行により、多様な生き方や楽しみ方が可能な社会になったことによって、結婚においての「相手を選ぶ」、「相手から選ばれる」というマッチングのハードルが上がり、性的魅力や経済力、家庭環境といった複数の要素において強弱が顕著になったこと。要は「選ぶ。選ばれる」ことが可能な層とそうでない層が分化したことを指すイメージです。
この部分は本来社会的対応が及ばない部分ではありますが、ある意味肝の部分でもあり、経済的支援やネットを含めた場の提供等(東京都は具体的に検討中)対応策は検討していく必要がありそうです。
いずれにしても人口減少は避けられないとは言え対策は必要であり、何が現実的に効果があるのか皆さんと共に考えていきたいと思います。
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