なぜスプリントレビューとレトロスペクティブが必要なのか?
こんにちは!メンバーズでスクラムマスターをしている小島です。
この前あるチームからスプリントレビューについての質問を受けた時に、実はこの2つのイベントの目的や位置付けの違いをちゃんと理解できてない人は多いのかも?という発見があったので解説記事を書いてみました。
前提
スクラムは複雑な問題を対象としている
まず前提としてスクラムは何をしようとしているのかについてお話ししておきます。
スクラムガイド2020を見てみると、スクラムの定義の中に以下のような記載があります。
「複雑な問題に対応する」という文言が重要なキーワードです。
「複雑」と聞くと自分はクネビンフレームワークを思い浮かべますが、不確実な世界を確実に生きる カネヴィンフレームワークへの招待(著:田村洋一)の中には「複雑」についての以下のような説明があります。(※厳密に言うと書籍内では「複合」についての説明になっていましたが、大きく意味が異なるわけではないため気にせず先へ進んでください。)
要は「複雑な問題」とはやってみないと何が正解かわからない問題ということです。
スクラムはこういった複雑な問題を考えればわかる問題にしていくことで、チームや組織が安定的に価値を創出できる状態を作ることを目指しています。
プロダクト開発における複雑な問題とは
では、プロダクト開発において複雑な問題とは具体的にどのようなものでしょうか?エンジニアリング組織論への招待(著:広木大地)の以下の記述が自分はかなり納得感がありました。
ちょっと長いので要約すると、複雑な問題=不確実性は
何を作れば良いか(目的不確実性)
どうやって作れば良いか(方法不確実性)
どうやって他者と認識ずれを無くすか(通信不確実性)
のように分類できるよねと言ってます。
本題
前置きが長くなりましたが、本題の「なぜスプリントレビューとレトロスペクティブが必要なのか?」についてです。
これまでの内容を整理すると、スクラムは前述の3つの不確実性を低減するための方法が定義されています。そして、スプリントレビュー・レトロスペクティブはそれぞれ以下のような対応関係にあると考えることができます。
どちらも不確実性を低減する目的であることは共通していますが、その対象が異なります。
スプリントレビューは「何を作れば良いか?」、レトロスペクティブは「どうやって作れば良いか?」の不確実性が対象です。
また、スプリントレビューはスクラムチームとステークホルダー、レトロスペクティブはスクラムチームに所属するチームメンバー同士のコミュニケーションの機会を提供することで「どうやって他者と認識ずれを無くすか」の不確実性にも対処しています。
このように整理すると、これら2つのイベントの重要性が理解できるのではないかと思います。
余談
「レビュー、レトロ以外の場でも目的不確実性・方法不確実性に対処しているんじゃないの?」
そう思った方いるんじゃないでしょうか。
これはその通りで、あくまでスプリントレビュー・レトロスペクティブは各不確実性に対処する代表的な場と考えると良いと思います。スプリントの中で行うあらゆる活動がこれらの不確実性の低減に繋がっています。
あとは、スプリントレビューの場でも開発プロセスの課題についてステークホルダーと話し合うことで方法不確実性に対処してもいいし、その逆も然りです。
スクラムの型は重要ですが、それに従うことが目的ではないはずです。
さいごに
今回はスクラムにおいて重要なイベントであるスプリントレビューとレトロスペクティブについて解説してみました!
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