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介護予防は誰のもの?【体力低下のチェックポイント】

 今回のテーマは【体力低下のチェックポイント】です。

 前回、介護予防について平均寿命と健康寿命の観点から発信しました。
 平均寿命と健康寿命の差は10歳以上あって、平均寿命から考えると親世代はいつ介護が必要になっても不思議でない(@_@;)、それを予防するのが介護予防!
 団塊世代以上の親世代にとっても団塊ジュニア以上の子供世代にとっても喫緊の課題です、そんな内容でした。 

 今回は体力低下のチェックを行いたいわけですが、体力の指標ってどんなものでしょうか?
 器械を使う方法もありますが、私たちが帰省したときにそんな機材を持ち込むことはできません。普段の様子から体力低下のチェックができれば、それに越したことはないはずです。最近ではロコモチェックなど、簡便な質問でチェックできるようになってきています。

 今回は、リハビリテーション専門職である理学療法士の視点から、自宅のふとした様子から体力低下をチェックする項目と、それにより何がわかるかをお伝えしたいと思います。
 ぜひ、実家に戻った際に親の様子や、親世代であればご自分あるいは親しい方の様子についてチェックしてみてください。

まずはチェック項目です。
①横断歩道を青信号の間に急がずに渡れますか?
②ペットボトルや瓶のフタを開けられますか?
③普通の高さの椅子からゆっくり立ち上がってますか?
④椅子から立ち上がると同時に次の行動に移ってますか?

 まずは、①横断歩道の歩行についてです。
 実は青信号の時間というのは1m/秒の歩行速度(=1秒間で1m歩く)を標準として、横断する道の距離に比例して決められています。つまり、横断歩道を急いでいる、あるいは渡り始める前に青になっていると次の青まで待つなどは、1m/秒で歩けないと判断できます。
 歩行能力に関する研究によれば、1m/秒で歩けない(=横断歩道を渡るときに余裕がない)方の将来的な転倒リスクは1m/秒より早く歩ける方より1.2倍ほど高いことがわかっています。皆さんあるいは皆さんの周りの方は横断歩道を余裕をもって渡れてますか?
 ただし、病院や学校の前は長め、交通量の多い交差点は短めなど場所により違いはあります。

 次に、②フタの開け閉めについてです。
 手や指は日常生活でよく使うことから、比較的筋力低下が起きにくい部位であり、握力と日常生活の自立度は関係があることがわかっています。裏を返せば、握力が低下していると他の筋も弱くなっている可能性が高いのです。握力が低下していると不自由するのが、ペットボトルや瓶の蓋の開け閉めです。皆さんの周囲の方あら、「フタ開けて」って手渡されてませんか??

 さらに、③椅子での立ち座りについてです。
 通常の椅子の高さは42cm前後です。40cmの椅子から手の力を使わず、ゆっくり立ち座りができることは、下肢の筋力を判断する目安となります。手を使う・勢いをつけるというのは下肢の筋力不足を代償する手段です。普通の椅子(42cmの高さ)からゆっくり手を使わず立ち上がれないならば、下肢筋力の低下が進行しています。杖を使うなど、転倒への備えが必要です。よっこいしょと手を使う、またはいつも勢いよく立つそんな様子はりませんか??

 最後に、④椅子から立ち上がった直後の様子についてです。
 私たちが椅子から立ち上がるのは、トイレに行きたいなど何か目的があるからです。普通は立ち上がると同時に目的の行動に移っていきます。ところが、バランス能力が悪い方はそうはいきません。椅子から立ち上がった時にバランスを整える必要があるため、立ち上がると同時に次の動作に移ることができません。立ち上がった時に(すぐに次の動作を行わず)一拍置いて次の動作に移る方は、バランス能力が低下しています。
 バランス能力の低下は柔軟性や筋力の低下、感覚の鈍麻など様々考えられますが、自宅内の転倒予防に向けた環境整備などの備えが急務です。

 いかがでしょうか?
 この4つのチェックはそれぞれ別項目のチェックですが、普段の様子から気づくことができれば、転倒や骨折などの重大な事件が起きる前に対処することができます。ぜひ、皆さん自身やその周囲の大切な方をチェックしてみてください。転ばぬ先の杖となりますように。

 次回以降はそれぞれの項目について具体的に考えてみたいと思います。次回のテーマは【ストレッチの勘所~その1;身体に油を差そう~】です。

 親が子供へ、子供が親へ、忙しさや気遣いでなかなかそれぞれの”おもい”を”カタチ”にしにくい、そんな気持ちの橋渡しをしていきたいと願っておりますので、よろしくお願いします。理学療法士としての専門性と子を持つ親としての想いを通して、少しずつ大切な親世代への応援・支援をカタチにしていきます。

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