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手を繋いだ老夫婦

ある日の仕事帰り、家の最寄駅に着いて、商店街を歩いていると、私の前を、手を繋いだ老夫婦(と言ってもまだ60才位に見えた)が歩いていた。

その老夫婦の、男性の方が、杖をついていて、少し足を引きずっており、歩くのが少し大変そうに見えた。

奥さんの方は、白髪でショートカット、旦那さんの手を繋いで歩いている。

二人の身なりもごく質素なもので、庶民的な暮らしをしているように見えた。

だが、僕には、その二人の老夫婦は、なんだかとても幸せそうに見えた。

二人は、特段何を思って手を繋いでいるのではないかもしれない。

でも、幸せって、こういう事なんじゃないだろうか。

永遠の時間の中に消えていく、誰の記憶にも残らないような、そんな時間が。

そんな事を、家に向かって歩きながら、思っていた。

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