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街づくりのリビングラボ

この数ヶ月間、意識的/積極的に日本のリビングラボに関わってきました。

5分圏内のまちづくりを掲げ、徳島県小松島でこまつしまリビングラボの2年目に取り組む笹尾さんは、徳島大学から北欧研究所にインターンに来てくれた経緯がある。1年目の活動内容を聞いて、充実した取り組みやうまくグローカルなネットワークを構築している点に感銘を受けた。海外の知見者の巻き込み方や参考の仕方、それを自分たちの小松島というエリアでどうローカライズしていくかということを実直に考えている。

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6月29-30日には2年目のキックオフを実施し、笹尾さんに徳島県小松島に招聘いただいた。なんと、キックオフ当時の舞台は、立江寺(たつえじ)。四国八十八箇所霊場第十九番札所で「四国の総関所」、また「阿波の関所」として知られるんだそうです。日本流のリビングラボが形から体現されているようで、気分が上がる体験をした。場所の効果って本当すごい。

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その2日間のワークショップイベントで私は時間をいただいて、デンマークのまちづくりや生活者としての幸せがどうやって醸成されているのかをお話ししてきた。多くの方が興味を持ってくださって、身を乗り出して、質問バンバン飛ばして聞いてくださって、大変感謝です。ちなみに、小松島リビングラボでは、アウトプットもきちんと出してくださっています、大変ありがたい。

こまつしまリビングラボ2019、始動!前編 つくる編

立江寺でのキックオフ当日は、もう一人、ポートランドの街づくりに詳しい岡山大学の岩淵泰先生が情報提供役で講演した。私は「街づくり」に関心があってリビングラボに取り組み出したというわけではないので、街づくりで有名なポートランドのことは、恥ずかしながら全く知らなかった。だけれども、発表には岩淵先生のポートランドへの愛がビンビン伝わってきて、ポートランドに対する興味がむくむくと湧いてきた。

もともと岩淵先生は、政治学を専門にされている(た?)そうで、デモクラシーの視点からのポートランドの分析や解説が秀逸だった。デンマークに根付く民主主義の考え方、参加型の考え方が、ポートランドとの共通点となって重なって見えてきて、いかに、良い街づくりには市民を巻き込むこと、当事者意識を持つ市民を育てることが重要なのかってことが改めて確認された感じだ。

Portland Way: まちづくりでは市民を巻き込まないと何も決められない

と言われるらしく、ポートランドうまくいかないプロジェクトは、「ポートランドウェイをしなかったからだね!」って言われるらしい。

大都市でも地方都市でも、言っていることに共通点が見えてきているみたいだ。それは、コミュニティの醸成であり、市民がいかに関わるか、ということ。そして、車優先ではなくて、人に優しいまちづくり。これは大きなうねりとなっていくんだろうし、そうなって欲しい。

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今回のキックオフイベントには、ポートランド在住の二人も参加していた。そのSaumyaちゃんとJohnnyくんに、ポートランドの街づくりは実はコペンハーゲンを参考にしていることを聞いて、あぁ、お互いの街がいい影響を与えあってるんだな、と話を聞きながら考えた。

そして、改めて足元を見つめてみると、そんな発想で街づくりを進めてきているデンマークの巨匠もいて、デンマークの先進的な動きに驚かされた次第だ。ヤンゲールとの出会いに関しては、また別の機会に語りたいと思う。全然知らずに基本的な質問をヤンゲール事務所のDavid Simさんにしていたことがわかって冷や汗が出る。ちなみに、こちらのヤンゲールのドキュメンタリーは、「人間の街」づくりの考えを、とてもわかりやすくまとめていて、おすすめ。前述のDavidさんのちょっと若かった頃も映像で見られる。

リビングラボというと、日本では街づくりのイメージが強い人もいるようだが、北欧では、ヘルスケアやスマートシティなどのテクノロジーがふんだんに活用される場で、どうテクノロジーをインフラや日常に組み込んでいくかという文脈で使われることの方が多い気がする。どんな使われ方でも、別に構わないと思うのだけれども、私はテックは人を幸せにする!と思っているので、テックをうまく活用することを目指すリビングラボに関わっていきたいと思う。リビングラボは、当事者や利害関係者を巻き込んだ未来創造の仕組みだ。都市開発や地域開発という一見お上から降りてきそうな「住む場所の環境づくり」だって、自分ごと化していくことで、もっとみんなが幸せな社会を作れる。テクノロジーが入り込む時にはなおさらで、きちんとみんなのところに降りてきて、一緒に創りあげていくのがいい。

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