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[文章] インスピレーションについて 1928.1-2

音楽も生き方もエキセントリックだったフランスの作曲家、モーリス・ラヴェル。友人や家族に宛てた手紙、他の作曲家についてのコメント、レクチャーやインタビューなどシリーズで紹介します。
ファンタジー小説、評伝、ラヴェル本人の残したものの3部門で構成されるプロジェクト「モーリスとラヴェル」の中のコンテンツです。

20世紀前半、作曲関係の音楽誌として重要視されていたイギリスの「The Chesterian」(1928年1ー2月号)からのインスピレーションに関する質問に答えて。ラヴェルの他に、ポール・デュカス、エドワード・エルガー、アルベール・ルーセルなど10人の作曲家が質問に答えている。

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 最近完成したバイオリンとピアノのためのソナタ(バイオリンソナタト長調)を、1924年に書きはじめたとき、普通とは違う様式であったり、楽器をどう扱うかの問題、さらには3つの楽章それぞれの性格づけについて、(どの楽章であれ)インスピレーションが湧く以前に、すべて決定していました。

 自分が容易な方法を選んだとは思っていません。

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*インスピレーションについて、ラヴェルは独自の考えをもっていたようで、インスピレーションについて訊かれて「質問の意味がわからない」と答えたり、「インスピレーションは、日々の仕事の副産物にすぎない。だからそれを待ったりするのは間違い」と思っていたようだ。作曲家にとって大事なのは「選択」である、というのもラヴェルの持論。

(アービー ・オレンシュタイン編 "A Ravel Reader: Correspondence, Articles, Interviews"より/訳:だいこくかずえ)


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