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最近思ったこと、考えたこと

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ブログサイトで書いてきたジャーナルを、2020年6月からnoteで発表することにしました。テーマはその時々関心をもったこと、もう何年も続けています。葉っぱの坑夫の出版活動と直接的… もっと読む
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#エストニア

発売開始! 2冊目のエストニアの小説、トーマス・ニペルナーティ(訳者あとがき公開)

発売開始! 2冊目のエストニアの小説、トーマス・ニペルナーティ(訳者あとがき公開)

2022年6月の『蝶男:エストニア短編小説集』(メヒス・ヘインサー著)につづいて、『トーマス・ニペルナーティ 7つの旅』が発売になりました。
ペーパーバック:¥2,640(税込) Kindle版 ¥550(税込)
127 × 203mm、520頁
*タイトル写真の左(校正本のため「再販禁止」の帯が入っていますが)

なぜ、エストニアの小説?

これまで日本で知られていない世界各国の作家の小説を翻訳

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4月の出版物二つ:その1(編集時に起きる様々な出来事)

4月の出版物二つ:その1(編集時に起きる様々な出来事)

今月2冊の本を出す予定で、いま準備しています。どちらもnoteで連載したコンテンツで、ペーパーバックの紙の本とKindle本にします。KDPのシステムをつかって準備中で、おそらくそのままKDPから発行することになると思います。(2023年3月の『小さなラヴェルの小さな物語』以降、代理店通しではなくKDPから出しています)

1冊目が、エストニアの小説『トーマス・ニペルナーティ 7つの旅』(原題 "

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蝶男とルドン...... (本の表紙制作を考える)

蝶男とルドン...... (本の表紙制作を考える)

6月2日に『蝶男:エストニア短編小説集』という本を出版しました。これは2021年3月から2021年12月まで、葉っぱの坑夫のウェブサイトで連載していた作品をパッケージの本にしたものです。

実は当初タイトルを『夢のつづき:エストニア短編小説集』とするつもりでした。著者との間の契約書でも、working titleとしてこのタイトルで申請していました。英語タイトルは"Continuation of

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重訳論ふたたび。周縁国、小国の文芸翻訳。

重訳論ふたたび。周縁国、小国の文芸翻訳。

いまアウグス・ガイリというエストニアの作家の『トーマス・ニペルナーティ』という長編小説を読んでいます。Googleで作家の名前(カタカナで)を検索しても何も出てこないので、ほとんど(というか全く)日本では知られていない人だと思います。(August Gailit: 1891年〜1960年)
写真: ガイリ(女性の右隣)とエストニアの文学グループSiuruのメンバー

この本の原著はエストニア語で書

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巨人の地、ヒーウマー島へ:小説の向こう側

巨人の地、ヒーウマー島へ:小説の向こう側

先週更新した「メヒス・ヘインサー [エストニア] 短編小説集」3つ目の話、『氷山に死す』について書いてみようと思います。
Photo by Serigei Gussev(CC BY 2.0).jpg(ヒーウマー島の巨人像)

『氷山に死す』(Death among the Icebergs)は、メヒス・ヘインサーの作品で最初に読んだものでした。これを読んでこの作家に興味をもち、本になったものも含め

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小説の背景:エストニア探検 by Street View

小説の背景:エストニア探検 by Street View

ヨーロッパには何度か行っていますが、エストニアには行ったことがありません。平均的な旅行者と同じように、中央・西ヨーロッパや南ヨーロッパが中心で、北欧や東ヨーロッパには足を踏み入れたことがないのです。だからこの3月からエストニアの作家の小説を日本語にして、葉っぱの坑夫で出版することになって初めて、どんな地域なのか、その文化や風景を探索することになりました。

第1回目は、『沈黙の16年』という小説で

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読者は少数。エストニアは小さな国だから。

読者は少数。エストニアは小さな国だから。

エストニアは人口たった100万人ちょっと。自分の読者はおそらく500人から1000人くらいだと思う。でも自分にとってこれは大変な数です。こうエストニアの作家、メヒス・ヘインサー(写真)は言います。さらに、ある作曲家の例を引いて、その人は客席数17のホールを自分のために建てた、それが彼にとって適切な数だったから、と。

人口の多い国、そして商業が活発でその成果によって何事も計られる場所に住んでいると

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