見出し画像

八首抄 令和7年1月号

音もなく尿嚢膨らむ速度など眠れぬ夜を耐へて見てゐる

橋本俊明


ほつほつと雪の浄土を歩みゆく小さくなつた歩幅を残し

臼井良夫


心地よき目覚めとなるを疑わずホットココア胃の腑に落とす

山口美加代


戴きし西瓜の玉を爺さんと婆さんで割る童話みたいに

永田賢之助


来年の大会目差し頑張ろう老いという文字封印をして

奥井満由美


庭に咲く花たのしみて今すこし日々の草とり続けゆかんか

藤峰タケ子


足すくみ渡らずにをり天龍の吊り橋少しも揺れはせざれど

佐田公子


この里を出でてゆきたき日のありき空の真ん中飛行機がゆく

髙橋律子







短歌の会 覇王樹|公式サイト

短歌の会 覇王樹|公式X