トイストーリー4がめちゃくちゃよかった

ネタバレって怒る人がいるけど、ネタで驚かすような飛び道具を使った映画はあんまり面白くないと個人的には思っている。だからそんなに気にせず書く。

はじまってすぐ思ったのが絵が凄すぎるということ。おもちゃの質感をちゃんと表現しつつ、表情豊かに動き回るキャラクター、子どもがやってきておもちゃに戻る瞬間の間合いも絶妙で、今家にあるおもちゃが見ていない間に動いているという、トイストーリーの一番の肝を、ちゃんと現実味のある形でリアルに表現している。さすがディズニー。夢を夢のままに描くことをまず大切にしていることがよくわかる。

でも「3」以上に今回は大人に向けられたメッセージを強く感じる。生きてたら「別れ」というものの重みが少しずつわかってくるものだ。それを知っている人に向けられた作品であるように思える。
それは一生の別れ、もう二度と会うことはない別れ。でもトイストーリーはそこにかすかな希望を残してくれている。
最後エンドクレジットで何人かのスタッフの名前と追悼文が流れる。その持つ意味の重み。
例えば別れの重みがそのまま暗いトーンで描かれてるものはあまり好きではない。それだと平面的過ぎて、なんだかのっぺりとしていて、とげもないから刺さらない。それがきらきらとした中に描かれるからいい。映画館に見に行くとよりいい。何って、いろいろなところから子どもの笑い声が聞こえてくるからだ。吹き替えで見たのだけれど、文字で出てくる英語はことごとく訳されていた。でも最後の追悼文だけは字幕が入らない。

それから恋愛が描かれるのだけれど、ヒロインが女性性を演じていないのがいい。ウッディも男性性を演じない。ただ等身大に傷つき、等身大に悩み、等身大に喜ぶ。ただそれだけ。
ただそれだけということの如何にすばらしいことか。レッテルとかカテゴライズとか大嫌いだけれど、それがない。と言いたいところだけれど、そうではない。「おもちゃ」というカテゴライズがトイストーリーの一つのテーマであるからだ。「おもちゃ」は「おもちゃ」としてどうあるべきか。3までは彼らは当たり前におもちゃである。しかし4では「おもちゃ」という名付けそのものに疑いが向けられる。おもちゃとは何かという問いが、より強い輪郭を帯びる。
わざわざ言い換えるのも野暮であるが、おもちゃとは何かというのは人間とは何かということだ。お前は「おもちゃ」だと言われ続けるキャラがいる。突然あなたは人間であると言われた人が覚える葛藤。それでもお前は人間だと刷り込まれ続けるという新しい暴力。価値観の押し付け。それは少し痛々しくもあって、見てるのが辛くもあった。しかしその後、そのことへの批判と反省、価値観の更新、あり方の拡張、そこまでの尺度で描かれていることが素晴らしい。

そして最後、物語は更新されるのだ。

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