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2番底はどこ?/欧米でのCOVID-19ピークアウト/コロナ終息後の世界

2番底はどこ?

株価が2番底をつける蓋然性は相当程度低下し、反対に「買い遅れ」リスクが高まっていると考える。

株価が2番底を探る展開になりにくい理由としては、

(1)現在の株価はすでに4-6月期におけるGDP成長率の大幅低下(米国で年率換算20%以上)を織り込んだ水準にある

(2)過去のショック対比で経済・金融政策がクリティカル且つ大規模(中小企業の資金繰り支援、大規模金融緩和、個人に対する現金給付<※ヘリコプターマネー>)

(3)みんなが2番底を待っている(全員が2番底で買いたいという願望を抱いて待っているので逆説的に2番底まで下がらない)

の3点。

※ヘリコプターマネーの経済効果を検証したとき、その費用対効果は薄く、さらに今回のヘリマネは政治的含意(特に米国)が強いため評価できるものではないが、個人消費に焦点を絞ればプラス効果があることには間違いない。

欧米でのCOVID-19ピークアウト

株価は現在上昇中。一番の理由は、最近の市場のテーマであったCOVID-19の感染拡大に一定の収束目処がたったこと。

累積感染者数上位5ヵ国+日本について、感染者数はまだまだ増加しているものの、

COVID-19累積感染者数

感染者の「増加率」でみると、

COVID-19累積感染者数_増加率(7日平均)

COVID-19累積感染者数_増加率(14日平均)

出所: WHO

日本は未だ感染爆発の可能性を残しているものの、欧米諸国はすでに感染者の増加率がピークアウトしている。感染「第2波」のリスクは残り続けるが、中国の先例に鑑みると、欧米諸国でもこのまま新規感染者数が減少してゆけば、数週間以内に生産の回復が見込まれる

さらに、日本に関しても、緊急事態宣言が成されたいま、法的根拠を以って宿泊施設を医療目的で使用することができるため、医療崩壊を回避できる可能性が高まっている。

こうした状況で市場に楽観的な見方が広がり株価が上昇するなか、「買い遅れ」リスクが高まっていると考える。現在のほとんどの資産価格は水準として割安であり、買いポジションを構築するのに絶好の機会である。今後、株価が2番底を形成するリスクを過度に恐れ、現在の買い場を逃すのは、特に長期投資家にとって非常にもったいないことだと感じる。ドルコスト平均法的に買いポジションを積み増し、下がれば「また安く変えるからラッキー」くらいのメンタリティで相場に臨むのが精神衛生的にも良いだろう。

コロナ終息後の世界

蛇足程度にコロナ終息後の世界について言及しておく。

市場のテーマは「コロナウイルスの感染拡大」から①米大統領選、②企業業績にフォーカスが移るだろう。

①について、こういったショックの際には与党支持率が上昇しやすく、実際、今回の騒動によってトランプ政権の支持率は上昇している。コロナ終息後、さまざまな不都合の責任が現政権に押し付けられる可能性は高いが、トランプ政権はCOVID-19を「武漢ウイルス(Wuhan Virus)」と呼称するなど、すでにその訴追先を中国にロックオンしている。このままトランプ政権がコロナウイルスの責任を中国に押し付け、支持率を維持することができれば、トランプ再選の可能性は高いとみている。

②について、このまま株価が浮足立って上昇し、オーバーシュートするような展開になれば、今後の企業決算悪化をカタリストに冷水を浴びる形になろう。ただし、今回の経済・金融政策に鑑み、予想以上にデフォルト率が上昇することやリセッションが長期化することは見込んでいない。ペントアップデマンドも多少は期待でき(頭の体操程度だが、リモートワークによって労働生産性の向上、新規需要の開拓も見込まれる)、年後半にかけてV字回復の可能性は十分にあると考える。

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