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2024年1月22、23日の金融政策決定会合

こんばんは。飯能高校 探究部のギンです。
今回は、2024年1月22、23日に開催された金融政策決定会合について話していきたいと思います。


当面の金融政策運営について

長短金利操作(イールドカーブコントロール)

長短金利操作(イールドカーブコントロール)については前回と変わりませんでした。

短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に−0.1%のマイナス金利を適用する。

長期金利:10年物国債金利が0%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240123a.pdf
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240123a.pdf

長短金利操作の運用

長短金利操作(イールドカーブコントロール)の運用については前回と変わりませんでした。

長期金利の上限は1%を目処とし、短期は−0.1%長期は0%程度という金融市場調節方針と整合的なイールドカーブの形成を促すために大規模な国債買入れ各年限において、機動的に買入れ額の増額や指値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施するとあります。

資産買入れ方針

長期国債以外の資産買入れ方針は前回と変わりませんでした。
ETFおよびJ-REITはそれぞれ年間約12兆円、年間約1800億円を上限に必要に応じて買入れを行うとあります。

CP等は、約2兆円の残高を維持。
社債等は、感染症拡大前と同程度のペースで買入れを行い、買入れ残高を感染症拡大前の水準(約3兆円)へと徐々に戻す目標です。

また、「貸出増加を支援するための資金供給」について、貸付実行期限を1 年間延長することを決定しました。

当面の金融政策運営についての声明文では、「必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。」というフォワードガイダンスも維持し、今まで通りの超ハト派スタンスでした。

展望レポート

基本的見解、概要

概要を見ると

『消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップがプラスに転じ、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まるもとで、見通し期間終盤にかけて「物価安定の目標」に向けて徐々に高まっていくと考えられる。先行きの不確実性はなお高いものの、こうした見通しが実現する確度は、引き続き、少しずつ高まっている。

とあります。そのため前回よりも物価安定の目標の実現に前向きな見解になっていることがわかります。

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2401a.pdf

政策委員の経済、物価見通し

実質GDPの見通しをみると、2024年度は前回の+1%から+1.2%に上方修正されています。

そして、注目の物価見通しをみると、2024年度は前回の+2.8%から+2.4%に下方修正、2025年度は前回の+1.7%から+1.8%に上方修正しました。

2024年度の見通しは下方修正されましたが、いずれにせよ2%を超えていて、2025年度は上方修正されたので政策修正に少しは前向きになったのだと思います。

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2401a.pdf
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2401a.pdf

植田総裁の会見

植田総裁の会見での発言をみると従来通り、「賃金から物価への波及、少しずつ広まっている」「物価目標の実現確度、少しずつ高まっていると判断」「実質賃金がマイナスでも、プラスに転じる見通しなら、政策変更妨げない」「サービス価格が上がることで賃金の引き上げ余地を生む」「展望レポートない会合でも政策修正あり得る」など少し政策修正を示唆する表現がありました。

私が注目したのは「マイナス金利解除、その後の経路も配慮して判断」とマイナス金利解除だけでなく、その後に利上げをするというのを示唆するような発言もあり、会見では思ったより踏み込んでいたなと感じました。

https://x.com/Min_FX/status/1749699605682622612?s=20

市場の反応

株価

日経平均株価を見ると前場でバブル後最高値の36,984円を記録しました。

しかし、昼休みに当面の金融政策についての資料や、展望レポートが発表されて後場になると急落しました。

15時30分に植田総裁の会見がはじまると日経平均先物が36030まで下落しました。

https://sekai-kabuka.com/
https://sekai-kabuka.com/

為替レート

午前中に若干、円安に動いていましたが当面の金融政策についての資料や、展望レポートが発表されると50pips(0.5円)ほど下落しました。

15時30分に植田総裁の会見がはじまると100pips(1円)ほど急落しました。
その後は、米国債金利の上昇を手がかりに100pips(1円)ほど上昇し会見前まで戻ってきました。

https://sekai-kabuka.com/

国債金利

日本の10年物国債金利を見ると当面の金融政策についての資料や、展望レポートが発表されても横ばいで推移していました。

しかし、15時30分から植田総裁の会見がはじまると0.05%ほど上昇しました。

https://sekai-kabuka.com/

まとめ

12月のときにはマイナス金利解除を会見などで示唆していませんでした。

1月の当面の金融政策運営についての声明文では、超ハト派スタンスを崩しませんでしたが、展望レポートや特に会見ではマイナス金利解除やその先のことについてもかなり踏み込んで示唆していました。

したがって、マイナス金利解除は、3月か4月(4月が濃厚)のどちらかになると思います。

マイナス金利が解除されたら次はおそらくゼロ金利になると思います。そうなると長期金利が0%程度だとイールドカーブがフラット化してしまうので、日銀当座預金の三層構造と長期金利操作がどうなるのか気になります。

では、今回は以上です。
これからも引き続き、金融市場の動向や金融政策、財政政策の動きを見てnote記事にしていきたいと思うのでよろしくお願いします。


〜顧問のつぶやき〜
探究部員ギンの良さが前面に出た記事になっています。

私自身、ギンの記事から学ぶことたくさんです。

クラスでもギンがクラスメートに金融政策や財政政策などについてレクチャーしている姿をよく見かけます。

同じ興味・関心を持った仲間の輪が広がっていったら面白いですね。

次年度はギンに外部の金融関係のコンテストのようなものにぜひ出場してもらいたいと思っています!


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