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飯能市のインバウンドへのアプローチ

皆さんこんばんは。飯能高校 探究部顧問のMr.Mです。

電車に乗っていると外国人観光客の方々を見かける頻度が増えました。バックパッカーも増えてきている印象です。おそらく西武秩父まで行って、トレッキングなのかなぁ。

ふと外国人観光客への飯能市の情報はどのようなものがあるのか気になったので検索。

英語版Tripadvisorを見てみます。

いくつか項目がある中で、Adrenaline & Extreme Tours in Hanno ではヒットなし。Private & Custom Tours in Hannoでもヒットなし。

Religious Sites in Hannoでは神社仏閣がヒットします。しかし、そもそもレビューがなかったり、レビューがあったとしても2013-14頃のものです。約10年間更新がされていないことになります。

Top10に入っているところは以下でした。

1.能仁寺

2.鳥居観音

3.高山不動尊

4.子ノ権現天龍寺

5.竹寺

6.福徳寺

7.諏訪八幡神社

8.観音寺

9.岩井堂観音

10.正覚寺

この1〜10までの中で実際にコメント付きのレビューがあるのは、1番の能仁寺、5番の竹寺、10番の正覚寺だけです。正直なところ寂しいですね。

なにもレビューがないところへは、よほどのことがない限り観光客が行くことはありません。

また別のサイトの飯能紹介記事を見てみても、こちらも最終更新は2017年。そして残念なことにレーティングは5段階中の2となっています。

さて、観光立国推進閣僚会議で今年の5月30日に決定された「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」というものがあります。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kankorikkoku/kettei/siryou16.pdf

この中で、飯能市でも今後検討することになりうるものを取り上げてみます。

5 国際会議、国際見本市等の積極的な開催・誘致

(28)地域文化資源の MICE への活用推進
全国各地において、地域の魅力的な文化資源の活用(特別な歴史体験、夜間活用、ユニークべニュー利用等)を推進し、我が国各都市の MICE 開催地としての魅力向上につなげる。その際、各事業内容の高付加価値化とともに、文化資源の活用から保存への持続可能な好循環の仕組みを可視化することにより、MICE 参加者への訴求と文化資源の一層の活用促進を図る。【文化庁】

まずMICEというものがなんなのか。日本政府観光局のサイトを参照してみます。

Meeting(会議)、Incentive Travel(企業の報奨 / 研修旅行)、Convention/
Conference(大会 / 学会 / 国際会議)、Exhibition展示会 / 見本市 / イベントの頭文字をとってMICEとなります。

MICEが現実的に実行できるのは、全国各地といっても大都市に限られそうです。人口8万人規模の飯能市でそれができるのかと言われれば、想像がつかないのが現状。

埼玉であればさいたま市あたりが拠点となる構想になるのかと思いますが、例えば、Incentive Travelの中に飯能市をオプションとして組み込むことは可能かと思います。

今後MICEの強化の方向へ向かうのであれば、先に述べたTripadvisorの件も然りですが、飯能市独自のパッケージツアーをIncentive Travel向けに準備を進めるのは一つの手だと思います。

飯能市と人口規模は違いますが、東京都の八王子市はすでにMICEへの取り組みをまとめていて参考になります。

https://www.city.hachioji.tokyo.jp/kankobunka/mice/p032109_d/fil/MICEPLAN.pdf

1 海外向けのコンテンツビジネスの育成・発展

海外でも評価されているメディア芸術(マンガ、アニメーション、ゲーム、メディアアート等)をはじめ、日本の文化芸術コンテンツについて、個別の作品の枠を超えて作家ごとの海外展開や包摂性のあるテーマに基づいた展開が著作権の保護が図られつつ進むよう、その価値を伝えることのできる仲介者の取組の支援を図ると17 ともに、各種コンテンツを海外向けに磨き上げ、世界から人を惹きつけるグローバル拠点の形成を推進することで、インバウンドの拡大を図る。

これを読んでいて、探究部員の妹紅が考えていることがつながるかもなぁと思いました。

外国人観光客はトレッキングなどのアウトドアアクティビティーを楽しむ方も大勢います。そこにアニメツーリズムも加わると魅力的なコンテンツになることは間違いない気がします。この辺は飯能市がもっとアピールできるはず。

(58)文化観光拠点・地域の整備・日本遺産の磨き上げ
文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律等に 基づき、文化観光拠点・地域の整備を進めるとともに、博物館・美術館等の文化 資源の魅力をより効果的に伝えるための展示解説の充実及び案内機能の強化を図 る。また、地域の文化施設や文化資源の高付加価値化による文化観光コンテンツの造成とともに、チケットについて宿泊・食事等を組み合わせた販売やオンライン販売など流通の促進を図る。 さらに、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリ ーとして認定された日本遺産について、地域の文化資源としての磨き上げを促進 し、その魅力向上や発信強化を行う。【文化庁、観光庁】

(58)の中で気になったのは「地域の文化施設や文化資源の高付加価値化による文化観光コンテンツの造成とともに、チケットについて宿泊・食事等を組み合わせた販売やオンライン販売など流通の促進を図る」という箇所です。

これはまさに前記のMICEにもつながりますが、パッケージプランがそもそもなさすぎることを示唆しています。

個人的にAirbnbを利用して旅行することが多いのですが、旅行先によってはパッケージプランがたくさんあります。

気軽に試せる文化観光コンテンツがパッケージングされたものは観光客にとっては非常に魅力的です。

(63)世界的クリエイターと地域企業との協業による観光資源開発支援
我が国が誇る地域資源を文化によって磨き上げることで魅力的な投資先・滞在先としての我が国の認知を高めるため、デザイナーやアーティスト等、世界に既に強い発信力を持つようなクリエイターと地域の企業等が協業して観光資源を開発する取組を支援し、効果的なインバウンド需要の獲得を図る。【経済産業省】

このあたりは果たして世界的クリエイターと地域企業がどうやって結びつくのか気になるところです。

飯能市はムーミンに縁があります。ムーミンの故郷フィンランドつながりでテキスタイル文化交流などができてもおもしろそう。飯能も織物で栄えた街です。マリメッコあたりと関わりが持てたらさらにフィンランドとも親和性が高くなりますね。

5 少数限定の宿泊体験・体験型コンテンツの提供

自然や文化・歴史資源を活用した富裕層向けの少数限定の宿泊体験・体験型コンテンツの提供や民間活用による国立公園の面的な魅力の向上、農山漁村の観光資源の高付加価値化等により、訪日外国人の増加とインバウンド消費額の拡大を図る。

ここでは富裕層向けのコンテンツ提供について書かれています。これは、日本においてアプローチがとても難しいところだと感じます。

何せサービスを提供する側が海外の富裕層の需要をそもそもわかっていないところがスタートになる場合がほとんどでしょうから。

この辺りはどうしても参考となる前例に学んでいくしかなさそうです。

(75)富裕層を対象とした限定的な体験の提供富裕層を対象としたアドベンチャーやアウトドアアクティビティ、文化・歴史 資源の限定的な体験等、特別な機会の提供を進める【観光庁】

そう、Tripadvisorでも興味深かったのが、"Adrenaline & Extreme Tours"という項目の存在。日本語的にはワクワク・ドキドキ体験のようなものでしょうか。

このフィールドはまだまだ開拓の余地がありそうですね。

(77)農山漁村の高付加価値化
令和7年度末までに農泊地域の年間延べ宿泊者数 700 万人泊実現を目指し、農泊をビジネスとして実施できる体制の構築を進めるとともに、農山漁村の観光資 源の高付加価値化を図り、ゴールデンルートから一歩踏み出すインバウンドの地方誘客と地方消費を促す。 特に、古民家の改修、泊食分離、多言語表示、キャッシュレス対応や、日本遺 産等を活かした農山漁村の観光資源の高付加価値化を進めることにより、インバウンドの富裕層にも訴求する滞在型農山漁村を創出する。 また、海や漁村に関する地域資源を活かした海業を漁港・漁村で展開し、地域のにぎわいや所得と雇用を生み出すため、体験コンテンツの造成、受入環境整備 等を推進する。【農林水産省】

(77)でも同じようなことが繰り返し述べられています。

体験コンテンツは、飯能であれば発酵体験ができるOH!!!という施設があります。発酵食品は世界的に魅力あるコンテンツです。この辺りをもっとアピールできそうです。

(78)ガストロノミーツーリズムの推進
日本の食・食文化体験の魅力等の発信により農山漁村へのインバウンド誘客につなげる地域・取組を創出するとともに、GI 産品等も活用し、その土地の気候風土が生んだ食材・習慣・伝統・歴史などによって育まれた食を楽しみ、食文化に触れることを目的としたガストロノミーツーリズムの推進を図る。 また、訪日外国人が帰国後も地域の食文化・食体験を楽しめるよう、食体験 「商品」を磨き上げ、越境 EC による輸出に取り組む。さらに、JETRO・JFOODO は、JNTO と連携に関する覚書を締結したことを受け、ウェブサイト・SNS 等を活 用したデジタルマーケティングや国内空港を始め国内外でのプロモーションイベ ント等で連携し、日本の農林水産物・食品の輸出市場とインバウンド消費を相乗的に拡大することを目指す。【農林水産省、観光庁】

ガストロノミー。

どんな土地でも歴史・文化的なコンテンツは盛りだくさん。あとはどのようにそれを紹介するか。特に食文化・食体験。個人的な実感としても、これは観光の上で重要度がかなり高いです。

そうなると、飯能すいーとんあたりをもっと盛り上げても良いかもしれません。ヴィーガンにも対応できますしね。

と、非常に長くなってしまいましたが、閣僚会議でどのようなことが協議・決定されたのか知るだけでも勉強になりました。

あとは、実行する側にかかっているという。この辺りは首長の舵取りにも大きく左右されそうです。

飯能は都心から西武池袋線一本で来られる好立地。そしてコンテンツも盛りだくさん。

高校生にもできることが必ずあるはずです。探究部でもインバウンド向けに何か企画したいところですね〜。


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