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ビジネスとインテリジェンス

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▶︎インテリジェンスのセオリーをビジネスシーンに活かせないか? この構想を長い間温め、この度noteに出会えたことを契機に形に残すことにしました。
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記事一覧

日本に対外情報機関は必要か(その4、とりあえず「完」)

日本に対外情報機関は必要か(その4、とりあえず「完」)

 シリーズものでお伝えしているこのテーマ。

 やはり原点は1945年8月15日、敗戦に端を発していると思われます。

 日本警察に外事警察すなわちカウンター・インテリジェンス(防諜)機能が復帰したのは敗戦から七年も経過した昭和27(1952)年のサンフランシスコ講和条約締結後のことです。

 それまで我が国の警察には国内における「かく乱勢力」の取締のみしかGHQから許されていませんでした。

 

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日本に対外情報機関は必要か?(その3)

日本に対外情報機関は必要か?(その3)

 拙稿を書き始めてから間もなく、上記ニュースが飛び込んできました。
 「外務省の公電」とは、暗号化された外交文書を送り手(在外公館或いは本省)と受け手(前同)とでキーをもって封印・開封するという我が国でも最高レベルの機密文書送達方法でやり取りされる文書のことです。

 当該業務は、在外公館においてはその業務の特殊性から他省庁からの出向者には絶対に任せず、また電信室とよばれる頑丈(在外公館における第

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日本に対外情報機関は必要か?

日本に対外情報機関は必要か?

副題:インテリジェンスとビジネス(続編)

 「ビジネスシーンとインテリジェンス」と題した拙稿がノートのアーカイブに保存されているが、以前から欲しかった書籍を最近入手・閲読する機会があったので過去の拙稿に考察などを付け加えてみたいと思い、PCに向かっています。
 その書籍は

「日本のインテリジェンス機関」(大森義夫著、文芸春秋社)

著者は既に故人、絶版となっていますが2004年に執筆されたとは

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噴霧乾燥器疑惑冤罪事件を惹起した警視庁の捜査に関する雑感

噴霧乾燥器疑惑冤罪事件を惹起した警視庁の捜査に関する雑感

 またもや冤罪事件である。

 しかも関係者を長期にわたり拘束し、うち一名は胃がんで死亡するというあってはならない大失態を招いた警視庁公安部による見込み・憶測捜査。

1 政権と一体、「政治警察」公安・外事警察

  今回の事件は、岸田政権が目玉政策として「経済安保政策」を打ち出した直後に『件の企業が製造する「噴霧乾燥器」が「武器転用」されている』との憶測・見切り発車が端緒となっている。
  担当

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イスラエル・パレスチナ 一丁目一番地(1)

イスラエル・パレスチナ 一丁目一番地(1)

東京大大学院の鈴木啓之特任准教授(最近NHK「ニュースセブン」「クローズアップ現代」関テレ「ウェークアップ」でイスラエル・パレスチナ問題の権威・解説者としてご活躍)と共に一年前から音声SNS「クラブハウス」で同問題について発信しつづけてきた筆者が今回のハマスによるテロ行為を契機に始まろうとしている中東戦争の脅威などについてわかりやすくお話します。

1 イスラエル
  イスラエルは「単一民族」「単

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ウクライナ情勢(今後の展開はどうなるか?)3月12日からSWIFTが発効してロシアの「大半」の銀行が影響

ウクライナ情勢(今後の展開はどうなるか?)3月12日からSWIFTが発効してロシアの「大半」の銀行が影響

 本日3月12日からSWIFT(世界の銀行間における送金システム)からロシアの銀行を締め出すという効果が発生している。

 あれ?と思う向きもあるかと思うが、新聞テレビその他のSNSでも 「SWIFTがどうしたとか、SWIFTでロシアの金融は云々」と言っている割にはいつから効果が発効するだとか、どこの銀行が影響を受けるだとかの詳細な情報には一切触れずにああだこうだと言っているのはいかがなものか?

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「核心情報はこう取れ!」 インテリジェンス手法 パート2

「核心情報はこう取れ!」 インテリジェンス手法 パート2

 前回の投稿からかなり時間が経ってしまいました。お待たせいたしました。「核心情報はこう取れ!」パート2です。

1    インテリジェンス手法あれこれ  OSINT(オープンソース・インテリジェンス):公刊情報の分析研究を基とするインテリジェンス活動

  SIGINT(シギント):盗聴、衛星情報などのシグナルを用いて行うインテリジェンス活動

  HUMINT(ヒューミント、フミント):基本的に

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スキルとしてのインテリジェンス手法

スキルとしてのインテリジェンス手法

1  インテリジェンスとは?  みなさんは、「インテリジェンス(Intelligence)」という言葉をご存知ですか? 「知性」「知能」「理解力」或いは「情報」という意味です。

  インテリジェンスにはもう一つ裏の意味がありまして、それは軍事情報に端を発した諜報活動、いわゆるスパイ活動を指します。さらに、敵国のスパイ活動から情報の漏洩を防ぐ「防諜(CounterーIntelligence)」活動

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個人事業主がお得すぎる件

個人事業主がお得すぎる件

こんにちは、りぱです。
普段から個人事業主として働くほうがどう考えてもお得すぎると思うのです。

私の職場には個人事業主の方が、何人かおりまして、その方々に個人事業主のメリット、デメリットを聞く機会があったのでご紹介できればと思います。

個人事業主とは個人事業主とは、法人を設立せずに個人で事業を営んでいる人のことを指します。税務署に「開業届」を提出して事業の開始を申請すれば、個人事業主として独立

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昔からあった、日本のインテリジェンス

昔からあった、日本のインテリジェンス

1   戦国時代の交渉術 古今東西、歴史上においてもインテリジェンスとその手法は存在していたようです。例えばテレビなどでもエピソードとして頻繁に紹介される、豊臣秀吉他の武将がよく用いた戦術「篭絡(ろうらく)」。これは敵陣中枢部の武将と秘密裏に内通し、関係を深化させたのちに恩賞という見返りを提供するか自陣の人質を盾に脅して服従させるかして結果的に自陣に有利な状況すなわち「寝返り」を促す手法ですね。「

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余り知られてない在外公館領事部(班)の役割

余り知られてない在外公館領事部(班)の役割

日本の外務省の出先機関である、在外公館。大使館、総領事館及び政府代表部を合わせて全世界に229。このうち、旅行者を含む在留邦人の保護等や日本の市町村役場の業務を行ってくれる公館数は、219あります。ここでは、大使館及び総領事館領事部(小さい公館では「領事班」)の役割についてわかりやすくお話しします。

任務1  当該国における在留邦人の保護 それぞれの国及び地域に設置されている在外公館には管轄区域

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日曜劇場「ドラゴン桜」と水平思考

 「下町ロケット」でお馴染みの阿部寛が主演の「ドラゴン桜」。出来の悪い生徒を東大合格させるため「あの手この手」で個々の個性を引き出し、やる気を惹起させてゆくという痛快学園ドラマです。毎回実際に出題された東大の過去問を例に引いて各科目ごとの「東大合格へ向けた戦略」とものの考え方が紹介されるのが「お約束」ですがこの戦略が実に水平思考的で興味深いのでご紹介します。

1  従来型のガリ勉(垂直思考)を否

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「自分は犯罪者じゃない!?」犯歴証明書の話

「自分は犯罪者じゃない!?」犯歴証明書の話

皆さんは、これまで外国政府に対して自分がこれまで犯歴を有していないという証明書、いわゆる「犯罪経歴証明書」(通称「犯歴証明書」。「警察証明」とか「犯歴証明」という言い方をする国もあります)を申請或いは取得されたことはありますか?米国のグリーンカード(永住権)やその他ビザ申請に必ず要求される「犯歴証明書」についてお話しします。

1 犯歴証明書とは? 貴方自身が外国の政府機関などにビザ申請したりする

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犯歴証明書の話と、前歴証明?の話。どこが違うの?

犯歴証明書の話と、前歴証明?の話。どこが違うの?

 前回は犯歴証明(正式には「犯罪経歴証明書」。「警察証明」とも言います)を取得する際のプロセスを詳しくお話ししましたね。今回は、犯歴証明と前歴証明の違いについてお話しします。

1 犯歴証明とは? 警察が発行する「この人はこれまで警察に逮捕されたことはありませんよ」という証明書。それぞれの都道府県警察本部長(東京都は警視総監)又は警察庁長官名で出される公的文書のことで、被疑者として逮捕された際に採

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