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朝井リョウ 正欲 多様性とは?

久々に衝撃を受けた小説を読んだ
「多様性」とは何かということを改めて考えさせられた

結局今の「多様性の享受」は多数派の人によって裁定されるにすぎない
彼らの想像を超える「多様性」が「異物」と認識されたとき排除される対象に様変わりする
所彼、彼らの理解の及ぶ少数派の人間だけが社会から保護されるだけだ

多様性が強調される社会からも排除された少数派はどう生きていけば良いのか
それが今回の物語の鍵になる

少数派の人間にも幾つのパターンがあると再認識した
社会から理解されずとも詮索しないで欲しいという思いで、心の安住をつくるもの
少数派同士で繋がりを持ち、お互いを理解するもの
そしてそのどちらも多数派に分かってもらいたいという意識は持っていない
どうせ話すだけ無駄だと諦観しているからだ
それは生きてきた経験から染み付いている価値観だ

多様性が尊重される社会と叫びながらも今の日本は「平均値」をますます求められる矛盾した社会になっている

特に労働社会ではこの傾向が顕著だ
今後、外国人労働も増えていくのにも関わらず、日本人の労働者に求められる「普通」のハードルが高くなっていき、最低賃金アルバイトでさえ正社員並みの働きを求められる

少しでもコミュニケーションを取れない人間は欠陥として見下され、ますます居場所が無くなっていく
仮にコツコツと業務を遂行する長所などがあってもだ
一つ短所があれば、それだけで欠陥扱い
そのような環境で日本語が怪しい外国人など受け入れられるのだろうか
私は移民政策には反対しているが、外国人が引き起こす問題が原因で多数派の日本人がこの均一化が求められる社会の問題点に気付いてくれれば嬉しいと思う

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