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「また来よう」、と「もう、来ないかも」。

お店って大変なんだなぁ、と、まだ開店していないけど実感しています。

新しい町で暮らし始めて一ヶ月。

準備は少しずつ進んでいて、今はこんな感じ(看板は下駄箱の余っていた棚板で制作)。ただ、自分の店の準備より、この町のお店を発掘・調査する方に今は重きを置いてしまっているかもしれません。

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新しい町の地図を自分の頭と体にインプットするため、これまでいろんな道を歩いて、文具はここ、画材はここ、コーヒー豆は当面ここ、パンはどうしよう、はっ、こんなところにケーキ店が。などと発見しつつ買い物したりしなかったり、外から眺めるだけで結局入れずじまいだったり、色々してみているのですが、感じのいい店が多くて、嫌な感じの店、ってのにはまだ出会ってないというか、いざ入ってみると、ハズレはあまりない。だけど「まぁ、もう来ないかもな…」という店は結構あるものですね。

引っ越した翌日、箒とちりとりを買った金物店がとても味があって、昭和レトロな宝探し的要素満載の店と言いますか、お店の方(年配女性)も穏やかで感じが良かったので、「今度ゆっくり店内を見に来よう〜」と翌週、ホースを買うついでに意気揚々とお店に入ったら、店番は別の方で、いらっしゃい、ではなく開口一番「何か調べ物ですか?」(探しもの、とは言わず)と。おそらくセールスの人は普段こんな顔で迎えられるんだろうなって思い知らされるような冷たさで…もしかしたらそういう表情のぶっきらぼうな人ってだけなのかもしれないけど。

「えっと、水まき用のホースを、3メートルか5メートルかどっちにしようかなと思って…」と答えとも相談ともつかない返事をしたのだけど相手は背中を向けて奥の棚の整理を始められて…

ふと見るとレジの所に初回におられた年配女性の姿があって、その方は前回同様穏やかだったので、買い物をするにはしたけれど…その後近所の100円ショップで、同じ素材のホースが売っていて、がっくり。

同居の娘さんか、手伝いに来ている姪だか、あの人がいる限り、もう目的もなくお店の中を見ることは出来そうにないな、と。火鉢用の炭や五徳などを買いに行くつもりだったのだけど、なんだか足がその店に向かなくて…

近所の雑貨店の方によると、「昔からここに住んでるけど、だんだん観光客向けの店が増えすぎて、地元の人が生活必需品を買う店がなくなって不便になって、いつも結局アマゾンで買っちゃう」のだとか。でも私としては、お地蔵さんに多く出会える昔ながらの町に越してきたばかりなので、なるべくなら地元の個人商店で買いたいなと思っていたのだけどなぁ。他にも、近所にある青果店では入り口でいつも店員さん二人が山門の阿吽像のように立っておられ(たまに常連さんや向かいの店の人と道路越しに大声でしゃべって)るので近づけなくて…

あと、最近全国的に増えているんですかね、ブックカフェというか、本を読みながらコーヒーを楽しめるお店。その中の一軒にたまたま入ってみたら、常連さんと店主の方の会話が大きな声で響いていて、端にいる私もその会話と別次元にいる心境になれず、かといって話に入ることもできない(したいわけでもない)し、そういえば昔、こんな風な仲間はずれ的な空気、よくあったなぁ、などと忘れていた不穏なことまで思い出したりして、コーヒーは美味しくて内装の雰囲気も良くて、でも、心休まらないし本の内容が頭に入ってこない。お店の方の接客自体は感じよくて店内の雰囲気も素敵なのだけれど、もう一度行こうとはどうも思えないというか…

昔、母親に連れられて個人商店に買い物に行った時に、そこのおかみさんが「あんた、今からそんなに背ぇ高かったら、将来お嫁に行かれへんわ。スポーツでもせなあかんな」と言われたのが印象に残りすぎて、大人になってからも何となく、野菜はスーパー(会話不要の店)でしか買えないところがあって。あとは、学生の頃からよく行っていた珈琲店の店主がある時から、おすすめの豆やCDを席まで持ってきてすすめるようになって、こちらの好みや事情を知りすぎているような感じもあって、常連恐怖症みたいなのになったこともありました。

とはいえ、今のところ新天地では居心地の良いお店や、商品をゆっくり探せる店がわりと多く見つかって、ホッとすると同時に、もう一度行くか行かないかは、「お店の人と店内のお客さんの醸し出す感じの、ほど良さ」が大きいのかなぁ、としみじみ。買うだけじゃなく、何かしらのやり取りが嬉しいものの、それは過剰なサービスや会話ではなくてほのかな空気のような。だって、物が必要なだけなら、近所の雑貨店の方がおっしゃるように何でもネットで買えばいい、って話になっちゃうので…

いざ、自分のお店のことを思うとブーメラン状態で、多分うちにお客さんはこないだろうとか、リピーターはないだろうなとか落ち込むものの、うちは入り口の土間で行う「ほぼ無人展示スペース」なので、万引きの恐れはあっても、店主(私)の態度で人を不愉快にさせるリスクは少ないかなと。用のある方は声をかけるかベルを押してもらって呼んでもらい、展示内容が合わない人は黙って出て行ってもらえれば済むので。なんとかお互い不愉快にならず気まずくならず、フィーリングや目的が合う人と、穏やかに商いできたらありがたいです。

そうこうしているうちに、開店の日が近づいてきました。別に日を決めているわけではなく、設備やモノが揃ったら、というところです。障子や襖で仕切られた奥の部屋で仕事をするため、お店は一見無人になるので、土間にはヤフオクで入手したショーケース(鍵つき)をおいてみました。

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今は雑貨や古本を少しずつ並べ始めているところなので、まず11月24日に東京流通センターで開催される『文学フリマ』に【ハニホ堂】として出展して、その後展示台なども使って自作の品を並べる予定です。

文学フリマは参加者の方に興味があって、もともと客として行きたいイベントだったのですが、「おみくじの本」を作ると決めて、強引に自作の本を「文学」と解釈することにして「出す側」になりました。

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本の展示台は、ルーターが入っていた箱を使ったので、たためば箱に戻ります。商品を入れる袋は、仕事で担当したクラフトカレンダーのサンプルで。おみくじの本は1,000円で、初詣のお供に、または人生の浮き沈みを眺める読み物としてもオススメです。おみくじ100種(首)盛り込まれているので、1,000円は我ながらお得かと存じます。だって実際に100回引いたら一万円ですよ。だからって百種類見られるわけでもないし。ねぇ。

絵で読むお経の方は、「十三仏真言」や「般若心経」、「観音経偈」に加え、火葬の際などに唱えられる「舎利礼文」も絵にしており、お経の内容や仏像についてもプチ解説を載せています。今なら表紙と同柄のブックカバーつき800円(安くないけど!)。今回、初稿をお寺さんに見ていただいて、noteに載せた絵のお経を修正したりもしましたので、気軽にイラストブックとしてもですが、巡礼の旅のお供や法事などでお経を耳にする前後に見ていただけたら何よりです。

当日、会場入り口からほど近く、左側三列目のブース、トー48(もう「年や…」と私は覚えました)に出展します。

今回、昨年デザインフェスタに出した「はにほみくじ」は100円に設定しました。文学フリマの会場は、参加者増加のために手狭になっており、机自体もデザインフェスタの時の半分サイズで、おみくじの場合、手軽なこともあって複数人で引いて、その場で開いてなんやかんやしゃべってから行かれる方が多かったのですが、今度の会場では周辺ブースにお客さんがはみ出してはいけないということで、手軽な50円をやめて倍の金額にしました。以後、実店舗でも百円でご用意しますこと、どうかご了承ください。

さて、ハニホ堂実店舗はネット上では所在地非公表の予定ですが、ショップカードはこんな感じです(裏面には地図と お店のHPのQRコードあり)。店の前(通りすがりに中が分からない方へ挨拶代わりに)に置いたり、近所の雑貨店さんにお願いして置いていただけたらと思っています。

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次回は多分、オープンその後の話になるかなと。

どうか良い秋をお過ごしください。