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そうだ、父をプロデュースしよう。

入院療養中の父の、ホームページを作りました。

自分のも作ったことはないし、今日の午後までそんなこと全く考えてもいなかった私が、夕方に思い立ってなんか唐突に...

私がデザインの仕事をしているのは、大学在学中に実家のアトリエでデザイナーの父を手伝って絵の具で指定された色を作ったり、ベタ塗り部分を塗ったり、デザインを取引先まで届けたりしていたことがきっかけなのですが、最初は父の関係の会社からお仕事をもらっていたのが、ある時、同業者さん宅へタウンページ経由で雑貨メーカーさんから「若い人向けの可愛いデザインを描ける人を探していて...」という問い合わせがあり、当時卒業間もない私に取り次いでもらえて、その後は雑貨デザインの仕事を中心にして父と仕事では距離を置くようになりました。

その一方で、文章を書くことやパソコン関係が苦手だった父に代わり、所属団体の関係の原稿や個展の際の挨拶文、フライヤー、お祝いやお悔やみの電報などは、ほぼ私が担当してきて、今、要介護4になり、入院中であっても父の仕事関係の方の叙勲のお祝いや、パーティ、葬儀への代理出席、病状などの問い合わせなど、きょうだいの中で唯一、父と同業の自分が担当するのは止むを得ないかなと心のどこかで...

そして数日前に父の所属団体から毎年恒例の「季刊誌への原稿依頼」が届き、「そういえば父の分の年賀状をもうじき準備せねば..」とも思っていたので、今日重い腰を上げたところ...

それらのために、適当に素材を探そうと父の作品ファイルから数枚選び、スキャンしてレイアウトしているうちに、ワクワクしている自分に気づいた。

「今まで見慣れすぎて何とも思っていなかったけど、なんかいい絵だなぁ」

なんだろう、父の絵に白い「HAPPYNEWYEAR2018」の文字を配置した途端、作品の魅力が一気に締まって見えたのでした。

そういえば以前から父の関係の方から「お父さんの作品をもっと(メーカーさんや一般の)人に見せた方がいいよ。HP作ったらいいんじゃない?」と言われつつ社交辞令だと思い、むしろ「介護に手一杯なのにどうしてそこまで外野は私の用事を増やそうとするの〜」と苦笑いしていたのですが...それを思い出し、急に自ら乗り出して実践することに...

例えばヘッダーの絵は父の作品で、下が自分で何かを足した即席コラボ。

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今、参考のために水分制限中の父がいつも「水、水を..」というのでグラスやらなんか適当に2分くらいで付け足したんですが、でも、適当に付け足しただけでも不思議と絵の奥行きが出て、サーカスや窓や夜風に見えたりしてくるから、これ、もっと楽しんで入り込めば、何か別のものも見つけられるかなぁ。いずれサイトの方で父と一緒に何かやりたいなと思うことができました。

そんな父のHP、というか作品(現役時代のものではないものが中心)、よかったら見てみてください。

KanameOzaki HP

青い鳥は自分の家にいた、というあれではないけど、目の前に実はずっとあったのに気づかなかった、父の持つ宝物みたいな味わいや伸び伸びした勢い、型にはまらない自由さに気付けてよかったです。

何かを始めることは、未来に何かしら種をまくことなんだなぁ。不発で芽が出なくても、結果的にやめることになっても、それはそれで先を待つワクワクだけは確かなものだから。

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