バンドマンの彼女にはなれない
事実はタイトルと相反していて、わたしはバンドマンの彼女だった。
もう、10年近く前のことになる。
大学に入って軽音部に入ったわたしは、バンドに憧れていたのだと思う。
音楽に惹かれていた、というほうが正しかったかもしれない。
ピアノのレッスンに通っていたわたしから、脱したかった。
嫌いだったのはレッスンだけで、先生も、音楽教室の存在そのものも、わたしは好きだった。
おそるおそる、軽音部の新歓ライブに潜入して、その後すぐ入部を決めた。
初めてライブハウスに行ったのもその頃で、