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NIKEのCMに隠されたもう一つの「差別」

NIKEのCMが物議をかもしております。

動かしつづける。自分を。未来を。

ナイキCMに「感動した」「日本人を差別主義者の悪者にしてる」賛否両論。実体験ストーリーの説明伝わらず

例によって右だ左だの議論の応酬になっております。
「思い込みによる架空の話ではなく、実体験に基づくストーリー」が制作側の弁ですが、この点について論じる気はありません。人種や民族による差別にNOを突き付ける気持ちは、私も変わりません。

私が問題視しているのはもっと別の部分にあります。

「なんでアスリートがいじめられる側として描かれているの?」

皆さんのいたクラスとか、どうでしたか?
どちらかといえば、アスリートはいじめる側に多いのではないですか?
(本当は私がそれ言っちゃいけないんですけどね)

いくら実体験に基づくストーリーだとしてもです。

このCMを見て多くの人が漠然と感じた違和感。
言語化すると実はこういうことなのではないでしょうか。

分かっている人でも、声を上げるのは憚られたのかも。
でも私は言っちゃいます。この手の言語化には免疫があります。

普段いじめられる側に立つ人が、たかが一企業のCMで悪者扱いされるのでは、そりゃ異議ありと手をあげたくなるというものですよね。


しかし考えてみてください。
NIKEとはあくまでもスポーツ用品メーカーです。
顧客が喜ぶ演出をするのが当たり前です。

件のCMを称賛する人も、糾弾する人もひとまず落ち着いてください。

たかがマーケティングです。

お得意様に合わせているだけです。
それ以上でも、それ以下でもありません。

…て、私が一番取り乱しているか(笑)

運動能力という新しい「差別」


このCMに関して、Twitterでいみじくも正鵠を射た呟きを発見しました。
私がこの件をnoteに書こうと決心したのも、この方の書き込みがストンと腹に落ちたからです。

ぼやきのフクロウさん

更にそれに引きずられるように…

わとりんさん

マサル先生

私もリプを重ねてます(本文と重なるので省略します)

要するに、運動能力による差別も立派な差別なのです。
NIKEの上客になるような客層は、明らかに差別する側。

そんなことはない、そんなの個々の努力の差の結果にすぎない、自己責任だとおっしゃる方もいるでしょう。
しかし本当にそうなのでしょうか?

皆さん誤解しがちなのですが、運動能力の差には、実はかなり先天的な要因が影響しています。

もちろん出生後の努力の差も重要ですが、
どこまで伸びるかという伸びしろは、遺伝子的な要因で決まってしまっているのです。

Jリーグの下部組織に詳しい方ならご存じかと思いますが
選考条件に「両親の身長」を課してるクラブもありますよね?

「運動能力は生まれながらの差」と、その道のプロが認めているわけです。

それだけではありません。

「本人の物心のつかない頃になにをしたか」も重要です。

そのためには、生まれた家に、スポーツに対する理解がなければならない。

以前私のnoteでも紹介しましたが、こんな本があるくらいです。

少年サッカーは9割親で決まる

極端な場合、子供を病気だからと騙してスポーツをさせない親もいるくらいです。
何を隠そう、うちの親のことですが。

「そんな家に生まれるお前が悪い」と言われる方もいるかもしれませんが

それこそ、出自による立派な差別やん!

他にも、経済的な事情でスポーツに投資できない家庭も、自己責任論をベースとした経済格差で増加しているのではないでしょうか。

友達同士で外で遊ぶという風習がすっかりすたれた今、お金をかけないと体を動かす場すら与えられないのが令和の日本の子供の実情なのです。

この点は、私の成長期であった昭和と比べて格段に事情が悪化しているように見えます。

何の疑問もなく成長課程でスポーツに打ち込んできた人には想像もつかないことかもしれませんが、このように本人の及ばない事情でまともにスポーツに打ち込めない子供というのは、想像以上に多いものだと思ってください。

今やまともにスポーツに打ち込めるということは、当たり前のことではありません。恵まれたことなのです。

運動能力の低い人は、それが自分の本意でない限り、マウントを取ってくる人間に対して堂々と「差別だ」と主張して良い。

運動能力による差別は、人種や民族による差別と同類の立派な差別なのです。

だからこそ、アスリート向けの業界においては、差別問題についてはもっとデリケートに扱ってほしいのです。


最後にNIKEに対してこれだけは言っておきたい。

浦和レッズのユニフォームをもっとマジメにデザインしてください!
(特に2ndユニ)

おあとがよろしいようで…

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