「調べ学習」を「達成感」につなげるポイント。

ある社会科の時間の出来事。

パソコン室で「新潟県が米作りに向いている理由」を調べていました。

以前に記事化させてもらった「ピアプレッシャー」を用いて、時間を区切ります。

そして、

「しゅうりょう~」

と声をかけると、ねらい通り、きましたよ!

「えぇ~もっと調べたかった。」
「次の社会の時間も、調べる時間がほしいです! もっと書きたいことがあるのに!」

という反応が!

もちろん、単純に「パソコンを使いたい。」という理由もあるでしょう。しかし、どんな理由であっても、「学習に対して主体性が発揮されている。」ということがポイントです。

さらに付け加えると、単純にパソコン室利用を許可してはいけません。

「必要感があること。そして、たまに使える。」

からこそ、意欲と集中力を高めることができるのです!

「終了宣告」は覆ることなく、しぶしぶ教室へ戻る子どもたち。

すると、その中に指示を無視して黙々とノートに情報を書き続けている子どもを発見したのです!

「もう終わりだよ!」と声を掛けようと思ったのですが、思いとどまりました。その子どもが、

「今までは、課題に対してなかなか前向きに取り組むことができない。」

子どもだったからです。

多くの子どもが主体性を発揮するパソコン室での調べ学習にしても、微動だにすることなく座っているので、個別でメモを取る内容を声掛けしないと、授業終了まで座ったままで過ごしてしまいそうなお子様です。

このような過去を知っていたからこそ、その彼の姿は、僕にとってみれば

「奇跡の瞬間」

だったのです!

二人の友達に囲まれて急かされながらも、見つけた情報を最後まで書いてしまおうと、芯の短い鉛筆で書きなぐっています。

終了宣言から送れること8分。

全てを書き終えたノートを自慢げに掲げ、大きな花丸をもらって意気揚々と帰っていく彼の姿は誇らしげでした。

給食準備は多少遅れてしまいましたが、それ以上の喜びをもらうことができました! 

その日の放課後、昨年度担任していた同僚と、彼の奇跡の姿についてシェアをして一息つき、「いや、このままではだめだ!」と思い立ったのです。

彼の姿を勝手に「彼の成長」だと決めつけ、「よかったね。」で終わってしまっては次につながらないではないかと。

大切なことは、彼をそうさせた要因を振り返ることではないですか!

▶調べ学習に必要な視点。

今日の奇跡につながった、「調べ学習に臨むポイント」として、

① 解決すべき問題について「調べる内容」が伝わっているか。
② 問題解決までの「見通し」があるか。
③ 問題解決につながる答えに「多様性」があるか。
④「分かった。」という「達成感」を味合わせることができるか。

という4つの要因をクリアしていると、多くの子どもたちにとって実りある調べ学習になるのではないかと振り返りました。

①と②は、調べ学習前に必要なことですね。

そもそも、「何を調べるのか。」が分かっていないと話になりません。そのためには、調べにいく前段階で、「どうして?」という子どもたちの疑問を引き出して問題として据えることが大切です。

「子どもたちの問題」

だからこそ、主体的な調べ学習が実現するのです。

そして、「どのように調べるのか」に対して、ある程度の見通しがないとお手上げ状態になる子どももいるでしょう。パソコンでの調べ学習であれば、ヒントとして検索ワードを共有してから調べ始めることも「あり」でしょう。

③もかなり大切です。

答えが1つしかないような情報は、調べ学習には向きません。今回の自分の授業は、「新潟県が米作りに適している理由」なので、複数の要因を調べることになります。このように、いくつもの要因がある情報を探すことで、子どもたちは意欲を高めていくのです!

最後の④は、教師の支援の話になります。

意欲を高めて見通しをもち、「いざ!」と実践してみて成果0は、子どもたちにとっては、なかなか酷な結果と言わざるを得ません。

15分という時間制限もあるので、ある程度は、教師側からキーワードを打ち込んであげるような支援をして、「情報を得た!」という経験ができるよう配慮することも必要です!

▶調べ学習の注意点。

「パソコンで調べる。」と聞いて、子どもたちのテンションはMAXまで上がります。それゆえ、「何の成果も得られず帰還」の絶望感は想像を絶するでしょう。そのような経験をさせてしまう要因は、

「調べる内容」

に、大きく左右されます。

もう少し、具体的に言うと、問題の答えとして教師が獲得してほしいと願っている情報が、

「あまりにも多すぎたり広すぎたりすると、調べる内容が定まらず、何を調べたら答えに近づいているのかはっきりしない。」

ということが起きます。

逆に、

「調べる内容が限定的すぎてピンポイントだと、すぐに調べ終わってしまい、思考する余地がない。」

ということにもなってしまいます。

人間の意欲は、「答えを見つけたときよりも、答えに近づいているという感覚をもったとき」に高まります。

まさに、奇跡の姿を見せてくれた彼は、「自分の力で答えに近づいている」という実感をもてたからこそ、教師の終了合図を無視してまで、学習の世界から抜け出したくなかったのでしょう。

▶まとめ。

本記事では、「調べ学習は、細かい配慮が必要。」という内容をまとめました。

教師は、

「1時間の授業で、子どもたちにどんな力をつけるのか。」

というゴールを明確にして実践しなければなりません。

子どもたちが、その授業で「〇〇ができるようになった!」と自ら実感できるような授業を展開しなければならないのです!

「昨日よりも今日の方ができるようになった!」という実感や達成感があるからこそ、次の授業への取り組み方も前向きになりますよね! そのような経験をたくさん味合わせてあげたいものです!

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