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学習は、「はじめ」が肝心なの?

「授業は、導入(授業の始め方)が命」と言われます。先輩方に授業を見ていただくと、必ず「導入」部分について意見されます。そのような風潮から、多くの教師は授業をデザインする際、導入部分の検討に多くの時間を割きます。

「導入」にこだわりすぎた落とし穴。

僕が多くの先生方の授業を参考に、日々実践してきて分かったことは、

「導入」の大切さは、3番目。

ということです。では、一番重要なのは何かと言うと、それは授業の「ゴール」です。45分の授業を終えた後、「子どもたちは何ができるようになっているのか。」をしっかり位置付けないといけません。導入は、授業のゴールへ向かうためのスタートです。スタート位置や方向を間違えてしまっては、ゴールまでたどり着けません。どれだけ、インパクトのある導入をして子どもたちを惹きつけたとしても、つけるべき力が獲得できなければ、ただ「面白かった。」で終わってしましまいます。

授業の盛り上がりをつくろう。

2番目に大切なのは、授業の真ん中から終盤にかけて、「盛り上がりポイント」をつくるということです。当然ですが、子どもたちの集中力は、45分もちません。だからこそ、導入で与えたインパクトが薄れてきたタイミングで、もう一山築く必要があるのです。そして、子どもの思考を促し、ゴールへ向かっていく原動力を生み出すのです。

様々な内容があるので一言にすると伝わりずらいと思いますが、そう思いながらも一言にすると、

思考を促す「問い」。

が、ヒントになると思っています。国語なら、登場人物の気持ちが物語の中で変化したことに気付いたことろで、「どこで変化したのかな?」と、問い返すして、焦点化していく。社会なら、「なんで、外様大名に石高が多い土地をあげたのかな?」というように子どもの考えの「ズレ」を意識した問いをして思考を促していきます。算数の立体なら、複数の考え方を出した後「どの考え方が使いやすい?」と問うことにより、問題によって方法を変えても良いことに気付きます。理科では、「二酸化炭素が増えて、酸素が減っているけれど、どんな関係があるんだろう。」と問うことで、因果関係に目を向けることができます。このように、どの教科においても「思考を促すタイミング」というのが存在します。授業づくりの際、そのタイミングをゴールを見据えた上で的確に捉え、子どもの思考を促す「問い」と準備をしておくことが必要不可欠なのです。

まとめると、まずはゴールを明確にして、そのゴールにたどり着くまでのポイント。授業における一番の盛り上がりを設定する。そして、その盛り上がりポイントまでたどり着くことができる導入をするということが、授業づくりにおいて大切なのです。

家庭学習において意識したいこと。

これまで教師目線で書いてきましたが、この考え方は、家庭学習でも生きてきます。高学年になり、自主学習がメインになると、導入する機会はあまり多くないかもしれません。しかし、ゴール設定は非常に大切です。自主学習にもゴールがないと、「やれと言われるからやっている。」という非常に義務的な学習になり、効果を下げてしまいます。学習に取り組む前に、ゴールを決めましょう。その際、「100点を取る。」「2ページ進める。」という目標ではなく、「分数の計算ができるようにする。」など、「何ができるようになるのか。」が分かる標設定がおすすめです。

低学年では、自主学習は難しい場合もあると思います。そんなときは、導入が大切です。「さあ、今日も勉強するか。」という始め方ではなく、分数であれば、実際にケーキを切ってみて学習するような体験を取り入れた導入がおすすめです!学習と思わずに身についた背景的知識が抽象問題を考える際の重要な手立てとなります。

当然のことながら、学習は子どものためです。教える側の大人は、子どもの頑張りを価値づけるために存在しています。そのためには、導入でインパクトを与え、楽しさを伝えるだけで終わってはいけません。大切なのは、導入よりも、その学習で何を学んだのか。ゴールして身についた力を価値付けてあげることなのです。

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