あいさつで みんな笑顔の  〇〇町

僕の学校では、「あいさつ運動」なるものが児童会の年間行事として位置づいています。きっと多くの学校でも、「あいさつ」を学校運営の柱として取り上げていると思います。本記事では、学校であいさつを推進する理由から、あいさつをできる子を育てるポイントを書いていきます。

学校で「あいさつ運動」をする理由。

学校運営の方針として「あいさつ」が取り上げられる理由としては、教師と子ども両者にとって大切な関わりがあるからです。

教師としては、「あいさつ」を通して子どもをみとりたい。
子どもとしては、「あいさつ」が「自分づくり」につながる。

という理由が挙げられます。

まずは、教師側の視点ですが、教師は「あいさつ」を通して子どものその日の状態をみとります。朝のあいさつは、家庭から学校モードへ切り替わっているかチェックします。特に、配慮が必要だと感じている子どもは、休日に体調や気持ちのペースを崩して登校してくる場合があります。朝のあいさつの反応で、気持ちがざわざわしていることを感じ取ることができれば、朝に起きるかもしれないトラブルを未然に防ぐ手立てを取ることができます。また、あいさつの声から普段との違いを感じたら、体調不良や気分の落ち込みを考えます。積極的に話しかけ、就寝時間や朝ごはん、登校中の様子などについてさり気なく話題にすることで、子どもの様子をみとっていきます。さらに、学級に集まった子どもたちから疲れが感じられたり、いつもより勢いがなかったりした場合は、すぐに1時間目に入るのではなく、簡単なゲームやクイズ、お気に入りの歌などを歌って、教室の雰囲気を「調整」することも考えます。このように、「あいさつ」は教師にとって、1日の学級経営を考えるバロメーターとなるのです。

子どもにとっての「あいさつ」は、「自分づくり」につながります。高学年にあいさつの価値を聞くと、「あいさつをすると、お互いに気持ちがいいから!」ときっと、答えてくれるはずです。この「お互い」がかなり大切です。あいさつは、された方も嬉しいのですが、「あいさつをした自分」も、嬉しい気持ちになれることがポイントです。朝から体調が優れず、気持ちも落ち込んでいる子どもが、元気なあいさつをできるはずがありませんよね。元気なあいさつができるということは、「自分の気持ちが安定している証拠」です。「自分が幸せになるには、他人に優しくすること、感謝することが大切だ。」と言われますが、優しい気持ちや感謝の気持ちは、あいさつから始まった人間関係の上に成り立っています。あいさつが、「自分を高める手段」になることを学校でも家庭でも意識させたいものです。

「あいさつ」ができる子どもを育てる方法。

「うちの子は、全然あいさつしないんですよね。」

という相談。親御さんからも、教師からも聞かれます。この解決方法は、単純です。

「自分から子どもにあいさつをする。」

これで解決できます。親御さんであれば、「他者にあいさつをしている姿を子どもに見せる。」ことも有効です。やはり、子どもの見本は、身近な大人です。大人が気持ちのよい挨拶をしてにこにこしていれば、子どももあいさつをすることが自然になるのです。

教師の場合ですが、全然あいさつをしない子どもたちを担当することもあります。そんな時は、率先して自分からあいさつをしましょう。たまに、

「子どもがあいさつをしてくるまで、ずっと待っている。」

という指導方針の方がいらっしゃいますが、これは間違いです。「あいさつは子どもからするもの。」という固定観念が染みついているので、最終的には「あいさつしなさい!」という理不尽な命令をすることで落ち着きます。重要なことは、「あいさつに立場なんて関係ない!」ということです。あいさつに限りませんが、教師が「してほしい。」ことがあれば、教師自身が「お手本を見せなければなりません。」あいさつも同じです。教師側から、どんどん元気にあいさつをしていきましょう!

楽しく「あいさつ」を!早打ちあいさつゲーム!

余談ですが、「4月中にあいさつできる子どもに育てたい!」という野望がある方におすすめなのは、ゲーム化することです。帰りの会の「先生のお話」の時間を使って、

「先生は、あいさつで負けたことがないのです!」

とおもむろに話始めます。子どもたちは、意味が分からず、「何言ってるの?」と口をぽかんと開けているでしょう。そこですかさず説明します。

「先生は、あいさつチャンピオンです!だれよりも先に朝のあいさつをすることができます。明日の朝、対決しましょう。先に『おはようございます!』と言った方が勝ちです!」

と声高らかにゲームへの参加を促します。

次の日、子どもたちに会ったら「おはようございます!」と元気に声を掛けます。見事、先に言うことができたら「やったー!先生の勝ち!」と大人気なく喜びましょう。くやしがっている子どもには、「気にするな。先生は、チャンピオンだから。明日こそ、がんばりなさい!」と明日もやることを宣言します。もちろん、勝つことが目的ではないので、子どもたちから先に声を掛けられることもあります。そんなときは、「ちくしょー負けた。でも、油断してただけだから。明日は勝つからね!」と言って、また、ゲームへの参加を促します。そんな朝を繰り返しているうちに、自然と「おはようございます!」が広がっていきます!

「あいさつ」に不利な条件が整った環境。

僕が小学校の頃に比べ、学校の指導方針も随分変わりました。都会の学校へ赴任して思うのは、「地域があるようでない。」ということです。「子どもは地域で育てる!」と地域との連携を打ち出していくと思いきや、「知らない人には、あいさつしてはいけません!」と指導する学校。子どもたちからしてみれば、かなり難しい判断です。基本的には、登下校中にすれ違う方が、地域の方かどうか分からない場合には、「スルー」という選択肢になります。しかし、地域の方なのかどうかなんて、子どもには分かりません。子どもがあいさつをする習慣がなくなっていくのも頷けます。さらに、地域の大人も「下手に声をかけて怪しまれたくない。」と気をつかってくださる状況。このような状況では、なかなか「地域との連携」は図れません。やはり、学校側が主導して、地域の方と関わるような手立てを考え、「顔見知り」を増やしていく取り組みが「あいさつで みんな笑顔の 〇〇町」のようなスローガンが達成することにつながるのだと思います!

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