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子どもと幸福度の関係~開塾に込めた思い~

僕は、Grit Leaders Schoolという個人塾を運営して、子どもたちの自己肯定感を高める支援を提供し、社会を切り開く人材育成をすることを当面の目標としています。開塾するに当たり、仮説検証していると「子どもをもつことで、親の幸福度が下がる」という調査を見つけました。

結果を見て、衝撃を受ける反面、「やっぱり。」という気持ちもありました。自分自身がそうだったからです。子育てと自己実現のジレンマ。そして引き起こされる、小学校生活での問題行動。この連鎖を断ち切りたいと考えています。

「パパ」になったことで、変化した仕事観

そもそも、問題意識をもったきっかけは、自分自身が「パパ」になったことに遡ります。今まで、約4000人の子どもたちに学習支援をしてきましたが、

「家庭環境が安定していないこどもは、学校でも落ち着かない。」

ということが、教育界では常識のように語られてきました。自分もまだ子どもがいなかったときには、「そんなものなんだろう。」という位の認識でいました。必要以上に軽く受け止めていたのは、「家庭の問題があったのとしても、教師に家庭を変える力はない。」という考えだったからです。例えば、学校で問題行動と言われる行為をしたとしたら、保護者に電話するというのは、一般的な対応方法です。僕ももちろん行います。しかし、そこで、「学校で落ち着かないので何とかしてほしい。」と家庭に求めるという方法には違和感がありました。子どもが学校に来たら、教師が全責任をもってその子どもを支援しなければならないと思います。むしろ、本当に「家庭環境が安定していない。」場合、学校から子どもの問題行動を伝える電話がかかってきたら、保護者はどのような対応をとるのでしょうか。子どもとしっかり向き合って、「次はどうしようか?」と前向きな話合いの時間を設けていただけるでしょうか。僕は、安定しない家庭程、保護者が機嫌を損ねて「子どもにいつもより強く当たる」というリスクを増大させるのではないかと思えてならないのです。

では、子どもにとって最善の方法を取れない保護者に問題があるのかどうかですが、自分が子どもを授かる前は、保護者の責任にしてしまっていた面が多々ありました。しかし、自分が「パパ」になってから、その考えは間違っていたということに気付きます。

「親は、子どもから見て良い『ママ』、『パパ』でありたいと願うが、理想よりも現実は厳しい。」

と思い知ったのです。それぞれ家族の形があると思うので、我が家の場合を話します。僕は、「教師」という職業が大好きで、目の前の子どものためには何でもしようと思っていました。教師の仕事には、終わりがありません。定時を気にしたことがなく、終電で帰ることもしょっちゅうでした。しかし、「パパ」になるとそうはいきません。子どもが小さい頃における「パパ」の大切さも、多くの子どもと接する中である程度理解していたので、自分の中で働き方改革をしました。定時に退勤し、育児を手伝ってもう一度職場へ戻る方法。その当時の学校は、車で1時間以上かかっていたので、時間がもったいないと感じた僕は、子どもと共に就寝し、学校に午前3時出勤する方法も試しました。子どもと仕事の時間を最大限確保する方法を試行錯誤していた最中、幸運なことに2人目の子どもを授かることができました。

ここで、家庭と仕事の葛藤はピークに達します。我が家は、夫婦共働きで周囲に親族はいません。当然、ママが休めないとなると僕が休むことになります。そして、子ども二人。休まないといけないリスクも2倍に高まりました。それまで、自由気ままにやっていた時代から、何とかして時間を捻出する時代に切り替え、自分の中に納得解を見い出していたのですが、それ以上の家庭にかける時間をひねり出す必要性にかられたのです。

迷った僕は、仕事の時間を短縮することに決定しました。日々の仕事を徹底的に効率化し、どうしても終わらない場合は持ち帰って、子どもを寝かしつけてから作業をするスタイルに変更しました。最初は、「もっとやりたいことはあるのに。」という気持ちや、教材準備に時間をたっぷりかけている同僚を見ると羨ましく感じました。しかし、完全に割り切ることにしました。その理由は、「子どもの度重なる入院。」です。何度救急車に乗ったことか分かりません。自分が、その日一日を綿密に計画し、どれほどの成果を残そうと画策したとしても、もう思い通りに事は運びません。一人の時間ではないのですから。僕は、僕の人生を子どもに分け与えようと決めました。

人生の指針が決まると、働き方も研ぎ澄まされました。やるべきことに一直線。必要のないものは、即捨てる。だらだらと時間を使っていた時期よりも確実に精度は上がったと思います。ここで僕の働き方改革は、限界を迎えます。そこで、心に余裕ができたからなのか、ある考えがひらめきました。

「もしかしたら、学校で落ち着きがないと言われている子どもの家庭も、うちと同じような状況にあるのではないか。親にとっても一度しかない人生だ。子育てと自己実現のバランスをうまくとれていないことが、子どもに対する言動や行動になっているのではないか。」

と思い立ったのです。「子育ては自分がしなければならない。」という責任感があるからこそ、誰にも任せられず無理をしてしまっている。自分の時間が確保できず、ざわざわした気持ちのまま子どもに対応してしまう。そのような状況があるのなら、学校と家庭以外の第3の居場所をつくり、「ママ」が「ママ」のために使う時間の確保に一肌脱げないだろうか。少しでも自分の時間を確保できたのなら、気分も少しは晴れるはず。子どもだって「ママ」の機嫌が良いほうがいいに決まっている。家庭で「ママ」の機嫌がいいと、子どもも嬉しい。良い気分で学校へ行けば、いつもより少しだけ友達に対して優しくできるのではないだろうかと考えました。そこで、個人塾を開き、子どもにアプローチをかけながら、真のターゲットは「ママ」というねらいで活動を展開していくことを考えたのです。

これまで出会った約4000人の子どもたちには、一人ひとりが素晴らしい才能をもち、可能性を秘め、個性的でした。しかし、それらに特化した教育を提供できているかといえば、公教育では限界があります。その「一人ひとりに適した教育」を提供しつつ、「ママ」の自己実現を支えることで、子どもの生活環境を安定させ、予測不可能な社会を切り開く子どもの育成を実現していこうと思います!


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