未来の僕らの状況は

出来上がったスピーカーの納品前の仕上がりを確認するために、友人のDJの耳を借り、それとあわせて彼が自営する自転車屋に長男の新しい自転車を依頼する流れをとった。DJであり自転車屋を営む彼は、海外への自転車販路を開拓したり、自身のライフワークであるDJプレイに関するアイデアをよく聞かせてくれる。彼とはDJとしてのミックスワークにVJとしてともに場を賑やかす間柄。

出来上がったスピーカーでいくつかのレコードやサブスクリプションでの音楽探索と試聴をしながら、スピーカーの仕上がりに関するフィードバックをもらいながら、自然と自分たちの表現活動や今の生活や生き方に関する話につながっていった。

どんなDJプレイを行なっていくかについて、少し考えています。テーマだったり自分らしい表現の方法であったり。

音響映像のサンプルとして「WE ARE YOUR FRIENDS」というDJの成り上がりストーリーを背景に流しながら、登場人物であるスクアレルが「何かが始まる前のこの瞬間が好きなんだ」という台詞に対しての共感と共に現在身の回りで起きていることが言葉として現れてくる。

 ​*WE ARE YOUR FRIENDS・・・
https://www.youtube.com/watch?v=jO0z6p0OBsE
DJで成功を夢見る青年と仲間たちが夢へと挑む姿を描いた青春映画。主演にザック・エフロンむかえ、共演には『インターステラー』のウェス・ベントリー、『ゴーン・ガール』のエミリー・ラタコウスキ―など。いつかは地元を抜け出して大金を稼ぐ―。
トレインスポッティングとの写見として見れる面白い作品です。

僕は話を聞きながら、同じように世界を生きる自分の表現のことを考えていた。インターネット上での表現活動を支援するサービス運営を行う会社に所属し、そこからのご縁で起業し会社を作っていく人を支援する施設に勤める。また、個人の取り扱う範囲では音楽を愛する人のためのスピーカーを作っている。彼が感じるところについて僕がスピーカーを作ることと重なる部分はあるだろうか。

感じている創作表現活動について、僕が行なっているスピーカー制作について考えるとすると、僕自身はこのスピーカー制作を通じて、届ける先となる音楽を聞く人がよりよく生きられるような活力を音楽から得られることが大事だと感じているね。音楽が鳴るフロアのことを考えている、そこで鳴っている音楽のこと、音楽が共有する人たちの身体的な感覚や精神的な高揚や癒しとなり、場を通じてその後の時間をより楽しんでくれるような。
今はクラブやライブハウスでのイベントは少なくなってしまった。それでも、一方ではインターネットや家の中での音楽を好きだという気持ちは無くなってはいない。そういった場所に僕が届けることができる贈り物のようなものを届けられればその人の人生はまた音楽を楽しむ喜びとともに躍動していくんじゃないかと思っているよ。
これがテーマだとすれば、その内容を実現していくための具体的なアクションがスピーカーの構造設計という形で現れてくる。僕のスピーカーを気にしてくれて、自身のフロアで音楽を流そうとする人の空間で最適に振動するスピーカーとは何か？ノイズが少なく、限られたスペースの中で豊かな音楽再生を実現するもの。それを叶える箱の設計とノイズ処理の工夫。
これらがDJで言うところのテーマとセットリストという風に置き換えれるんじゃないかな。

ジャンルは違うけれど、人が行う生活や表現活動はどれも同じように自身を奮い立たせ、他者への奉仕のあり方を考えているんだと思う。
何か愛とでも呼ぶといい何かについて考えていると自分とは何か、私が今ここで行う表現とは一言で言うとなんだろう、そして伝わることでその先に伝わるものはなんだろうか。。。w

優しい人たちは誰かの声を受け取り、そこに対して何か行おうとしている。何もできないもどかしい気持ちもあるかもしれないし、何かやるにも責任はついて回る。
一呼吸ついて思い返すのは、自身のこれまで歩んできた道のりとその中に見えた希望の光、もしくは誰かから受け取って素晴らしい表現とそれを体感した自身の記憶ではないかと思える。
今この場所でできることについて、なかなか先が見えないような気持ちも湧いてくるかもしれないけれど、この場所に立っている自分の背中を押してくれた誰か、恩人、両親の支えの中で私がこれから先の誰かに提供するものがなんだろうと言う風に考えていくのがいいんじゃないだろうか。その中に少し先の未来の自分が行っていきたいものことがあり、そこから逆算して実現していく一歩が見えてくるんじゃないかと思います。

話を通じて彼がアウトプットしたスピーカーや音楽や映画の中から何かを掴み取り、楽しかったと言う風に帰っていった様が嬉しかった。