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高校卒業後、すぐに飛び込んだ日本リーグの世界。三重バイオレットアイリス岩見佳音の物語【前編】#ものマガ

誰かの物語が走り出すハンドボールのwebマガジン、 #ものマガ

記念すべき初回は、三重バイオレットアイリスの岩見佳音選手にお話を聴かせてもらいました!

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【岩見佳音(いわみかのん)】1996年2月14日生まれ。京都府出身。洛北高校卒業後、2014年にハンドボール日本リーグの三重バイオレットアイリスに入団。ポジションはGK。

岩見選手の選手人生はもちろんのこと、ハンドボールを始める前の話や、自身がデザインしたTシャツについてなど、色濃い話をたくさんお聴きすることができました!

エピソードが盛りだくさんだったので、前編と後編にわけています。前編はハンドボールに出会う前の幼少期から、バイオレット初のプレーオフ出場を決めた瞬間まで。後編はチームでの経験をメインに、自身の怪我や支えてくれるファンについて記しています。

<聞き手:坂 柊貴/写真:©MARK THREE DESIGN>
※取材はオンライン(zoom)で行いました。


・いまとは真逆の性格だった幼少期

ーー幼少期の話から聴かせてください!家族構成は?

家族はお父さんお母さんと、あと弟です!

ーー弟さんは紡織のカイリ君ですよね。Twitterに写真あげていたり、仲良さそう!

岩見海里(いわみかいり)】トヨタ紡織九州レッドトルネード #15

今はめちゃくちゃ仲良いんだけど、実は高校まで仲悪くて。自分がよく話すタイプだから、それが嫌だったみたい。でも、私がバイオレットに入団してから頻繁に連絡をとるようになりました!靴なに履いてる?とか(笑)。

ーー始めから仲良しではなかったんだ(笑)。

弟からすれば、たぶん私が三重に行ってから実家にハンドボールの話をする人がいなくなって、連絡してきたんだと思う(笑)。弟も実業団に入りたかったみたいで、そのあたりの情報も連絡してたかな。気付いたら仲良くなっていた感じです!

ーー小さいときはどんな子どもだった?

小学生のときは泣き虫で、物静かな子だったかな。親には全然喋らない大人になるんだろうな、と思われてたみたいです(笑)

ーー今とは真逆!いつから今みたいな明るい性格に?

小学校3年生くらいまで学童に通ってて、友達とドッジボールとか色々なスポーツをやっていたら、自然とコミュニケーションが取れるようになりました。そこから今みたいな性格になったと思います。

ーーハンドボールを始める前に習い事はしていた?

習い事はめちゃくちゃやっていて…。小学校入るまでは習字とピアノをやっていて…。あと水泳も。小学校入ってからは水泳と一緒に空手も始めて…。小学校のクラブ活動でバドミントンと卓球とバスケもやって…。

ーー何でもできる(笑)!

とにかく色々なことをかじっていました!ピアノはもうできないけど(笑)


・ハンドボールとの出会い。強豪校への進学

ーーたくさん習い事やスポーツをしていた中で、ハンドボールはいつから始めた?

中学校の部活動で!学童で一緒だった友達から、「お姉ちゃんがやってるから」って誘われたのがきっかけです。実際やってみたら凄い楽しくて!

ーー最初からポジションはGK?

いや、最初はセンターでした(笑)。同級生がちょうど7人で、2年生のときに7mスローを止めるテストをみんなでやったら最後まで残っちゃって。そこからGKに(笑)。

ーーもしかしたらずっとセンターだったかもしれないんだ(笑)。大会の成績は?

市内の大会では勝ててたんだけど、その先の府下大会では3位とか4位で。近畿ブロックとかの大きな大会に出たことはなかったです。私がキャプテンだったんだけど、チーム内で女の子同士のイザコザもあったり…(笑)。

ーー(女の子コワイ…。)そこから強豪の洛北高校に進学したのはなぜ?

中学3年生のときに初めてちゃんとした監督が来て、JOCの選考会に行くことになりました。普通は府下大会の上位2チーム、近畿大会に出場するチームから選ばれるんだけど、たまたまその2チームからGKが出なくて、そこに滑り込む形でJOCに選んでもらいました。進路は全然考えてなかったんだけど、「ここまで来たら強いところに行きたいな」と思って。選考会の面接でも「洛北に行きたいです」と言いました。

ーー色々な巡り合わせがあったんですね!

初めて近畿大会や全国大会にも出場できて、周りも上手い子ばかりで、すごい楽しいなって思いました!普段練習していた部活のチームとは違う考え方もたくさんあって、「もっとハンドボールを知りたいな~」と。JOCでの活動もあって、推薦で洛北高校に進学することになりました。運が良かったと思う(笑)。

ーー洛北高校に入学して、練習はどうだった?

あまり強くない中学校から来たギャップもあって、とにかく厳しかったです。今ではスローを評価してもらってるんだけど、最初は20mも届かなくて…。よく怒られてました(笑)。

ーー厳しい練習をこなしてきて、その成果は?

自分たちの代では選抜大会と国体が5位で、インターハイは3位ですね。

ーーインターハイでは優秀選手にも選ばれた。

1年生のときは厳しすぎて辞めたいと思ったこともあったけど…(笑)。続けてきてよかったなと思いました!


・大学には行かずに、日本リーグへ

ーー洛北高校を卒業してそのままバイオレットに入団。そのあたりの話を聴かせてください!

親からは京都の大学に行ってほしいと言われていて、府内の大学の選択肢もありました。でも私は京都から出たくて(笑)。というのも、人も土地も知らない場所でハンドボールがやりたかったのがあります。色々と悩んでいるときに、お世話になっていたトレーナーから、その人はバイオレットも兼任している人なんですが、「今年バイオレットのGKが辞めるから、お前はバイオレットに行け」って(笑)。

ーーここでも巡り合わせが(笑)。

本当に運がいいと思う(笑)。そこから「バイオレットってどんなチームなんだろう」と試合の映像とかを調べて。今まで日本リーグの試合をほとんど見たことがなかったから「レベルたかっ!」って思ったけど、社会人で経験を積めるのもいいなと思いました。これはチャンスだと思って、バイオレットに行くことを決めました。

ーー年齢が一回り上の選手もいる中に高卒での入団。緊張はなかった?

めっっちゃくちゃ緊張した!!チームの雰囲気も今よりピリピリしていて、「社会人怖い」って思いました(笑)。とにかく礼儀に気を付けて、生きるのに必死だった(笑)。1年目はGKがエレナさん(※)と二人だったんだけど、いきなりエレナさんがインフルエンザになって一人で試合することもあって…。そのときは泣きそうでした(笑)。

※【高木エレナ(たかぎえれな)】 三重バイオレットアイリス #1

ーーハンドボールとは違うプレッシャーがあったんですね(笑)。最初のシーズンは試合に出れていた?

全然出れていなかったですね。ポイントで使われることはあったけど、ほとんどの時間はベンチにいることが多かったです。


・世代別代表への選出

ーーその時期にU-18日本代表に選出されて、その後もU-20とU-22に選ばれた。

何の前触れもなく選考会に呼ばれて、いきなり世界と対戦することになりました(笑)。エレナさんも当時日本代表に選ばれていたので、色々と話を聞いていました。U-18のユース世界選手権ではスタメンで使ってもらえて、阻止率ランキングでも10位くらいに入れて。手ごたえは掴めました。

ーー初めて世界と戦ってみて、何を感じた?

やっぱり高さもシュート力も全然違いました。私は駆け引きで勝負するタイプだけど、それも関係なく打ち込んでくるみたいな。でも、世界がどうこうよりも、日本代表に選ばれるような選手たちと一緒に戦えることのほうが、とにかく楽しかったです。練習はとにかく厳しかったけど、雰囲気も良くて、すごい良いイメージが残っています。

ーーその経験はバイオレットで活かせた?

バイオレットではあまり試合に出られなくて。2シーズン目からはシュウさん(※)も入ってきて、GKの層が厚くなりました。チームとしては前半にエレナさん、後半にシュウさん、7mで私みたいな起用が多かったです。

※【花村美香(はなむらみか)】 三重バイオレットアイリス #16

ーーポイントでの起用は、個人的にどのように感じていた?

長い時間出たかったのはもちろんだけど、試合経験が少なかったから不安はありました。「出たいけど、できるのかな」とか「いま使ってほしいけど、成功できるのかな」とか。でも「やっぱり使ってほしい!」という気持ちもあって。2、3シーズン目は特にそのあたりの葛藤がありました。7mは2人よりもセーブすることができていたから、「とにかく今はこの地位でもがいて、上に登るしかない」と思ってプレーしていました。


・チーム創設後、初めて掴んだプレーオフの切符

ーー事前に思い出に残っている写真を3枚選んでもらいました。それぞれ聴かせてください。まずは2017年3月のこちらから。

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これは3年目のシーズンなんだけど、チーム創設初めてのプレーオフ出場を決めた試合です!

ーー対戦相手は?

相手はHC名古屋で、愛知県の会場でした。3階席にも結構な人がいたかな。勝てばプレーオフが決まるって試合に、たくさんお客さんが来てくれて本当に嬉しかったです!

ーーお揃いのTシャツを着ている?

試合に勝った瞬間に「FINAL 4」と書かれたTシャツが配られて。そのあとはファンのみなさんと一緒にお祭り騒ぎでした(笑)。チーム初ということもあって、特に印象に残っています。


前編はここまで。後編はバイオレットで経験を振り返りながら、自身の怪我や、支えてくれるファンについて記しています。お楽しみに!

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追記(2020/5/11)

後編はこちら↓↓

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