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僕たちは勝手に期待して、好きにスポーツを観る。


2019/6/19(水)
この日は東京都・アリーナ立川立飛にいた。

というのも、ハンドボール日本代表の日韓定期戦があったからだ。
17時からは女子「おりひめJAPAN」、19時からは男子「彗星JAPAN」の試合が行われた。

平日夕方からの試合で、会場は満員とはならなかったものの、僕の想像以上の観客と、選手たちのハイレベルなプレーが創る良い雰囲気の中、男子は35-27で勝利。
女子は残念ながら20-31で敗戦となった。


いつものように観戦記を書こうと思ったのだけど、やめた。
それより気になったことというか、自分の中でモヤモヤしたものが生まれてきたからだ。

今回のnoteは、あまり書きたくないのだけれど、少し批判的な内容になっている。
このnoteが正解ではないし、あくまで個人的な感想なので、内容を取捨選択していただきたい。
そして、ハンドボールを中心に話を進めていくが、読んでいただける方には自分のスポーツに置き換えてほしい。


僕たちは勝手に期待して、好きにスポーツを観る。
他人に押し付けてはいけない。

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僕は試合を、2階スタンドの前から2列目の席で観戦した。

席種は様々で、1階のアリーナ席には特典付きのプレミアム席やカメラマン席も販売されていた。
2階は特に仕切りはなかったが、アリーナ奥側のゴール裏が応援団の席になっていた。

応援団の方たち以外は、場の雰囲気でワイワイしたり、友達と感想を言いながら楽しんだり、じっくり試合を観る人たちがほとんどだった気がする。


いざ女子の試合が始まる、というときに、応援団の、サッカーで言うコールリーダー的な人がスタンドを回っていた。

一緒に声出して、応援するぞ!!
絶対勝つぞ!!

非常に熱く気持ちが入っていたし、やろうとしているも理解できる。
何より会場の雰囲気創りに大きな貢献をしていたのは彼らだ。
そこについては敬意を払わなくてはいけないと思う。


ただ、目の前で太鼓を思いきり叩かれるのは、嫌だった。
そして、声を出して応援することを、押し付けられたような気もした。


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スポーツの試合会場には様々な人がいる。

歌って飛び跳ねることが好きな人、歌は恥ずかしいけどプレーに思わず声を出してしまう人、じっくり試合を観ることが好きな人、連れと会話しながら観ることが好きな人など。

どれも正しいスポーツの観戦形態だ。
というより、正解などない。

一方で、よく海外で見るような、全員が一体となってコール&レスポンスをしたり、声で会場がどよめくような雰囲気に憧れるひとは多いだろう。
僕もそのうちの一人。
応援団の方たちも、同じではないだろうか。

そんな雰囲気がハンドボールでできるようになれば、と想像してしまう気持ちも理解できる。


でも、理想や憧れを押し付けてはいけない。
生まれるのは軋轢と嫌悪感だけだ。


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そもそも、ハンドボールは「生きていく上で必要不可欠なもの」ではない。
なくても、ほどんどの人は楽しい毎日を過ごすことができる。
携わった経験がある人にとっても、「あったらいいな」、「趣味として好き」という人が多いのではないだろうか。

そして、ハンドボールがどんなスポーツなのか、知らない人は圧倒的に多い。

そんな人たちに対して、「ハンドって楽しいよ!」、「応援しよう!」と言っても、響くのはその人と信頼関係がある人だけだ。
人が人を呼ぶ、その積み重ねは間違いなく必要なのだけれども。

声を出して応援することに抵抗がある人たちに「一緒に歌おう」と言っても、まるで意味がないのだ。
むしろ、価値を押し付けられているようで、嫌気がさすこともある。


「ハンドボールは、多くの人にとって無くてもいいもの」

仲間を増やしたい、素晴らしい会場を創りたいと思う、ハンドに熱中している人にとって、欠けている視点であると思う。


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女子の試合が終わったあと、なにやら騒動が起こっていたようだ。

僕はそのとき、人と話していたから、状況はSNSで知った。

自分の目で見たわけではないので、書くことに躊躇したが、会場にいた多くの人が同じことをいうのだから、間違いないのだろう。


ある応援団の方が、チームに対して罵声、暴言ともとれる発言を投げかけたらしい。


結果だけ見て野次を飛ばすのは、応援団やサポーターのやることではない。
それを飛ばすことが許されるのは、チームが闘うのを止めたときだけだと、個人的には思う。

試合中の彼女たちからは、そんな姿勢は全く感じられなかった。
結果は残念だったが、国を背負って闘う姿は誇らしく見えた。
何より、チームは世界選手権、オリンピックに向けたチャレンジの途中だ。
何も恥じることはない。


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なぜ、罵声や暴言が飛んでしまうのだろう。


答えは簡単で、自分のgiveに対して期待したtakeが無かったからだ。
期待というのは、勝利、もしくは良い試合だ。

人は実にわがままな生き物で、勝手に期待する割には多くの見返りを求める。
期待するのはその人の勝手で、好きでスポーツを観ているのに。

こういうことを言うと、「金を払って試合を観に行っているんだ」と言う人が現れるが、それなら観に行かなければいい。
チームにとっても、収入や入場者が減って、課題が明確になる。


もし、このnoteを読んでいる、どこかのチームや選手を応援・サポートしている人がいるなら、大きな見返りは求めてはいけないと伝えたい。

見返りがほしいなら、ひたすらにgiveするしかない。
チームも必死にgiveする。
いつかそれらが実り、あなたの人生の一部になる。
嫌なら止めればいい。


勝手に応援して、好きなスポーツを自由に観ればいい。
自分の価値観は押し付けずに。


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本当はこんなnoteは書きたくなかったが、いろんな人がモヤモヤすることがあると思い、自分の想いを言葉にした。


スポーツの観かたは様々で、正解はない。
ただ、押し付けてはいけない。

そして、使いどころを間違えた言葉は凶器になり、罪になる。
そんなことを伝えたかった。
これが間違っていると思った方は、それで構わない。


僕は土曜日の男子ハンドボール代表戦、日本vsスウェーデンも観に行く予定だ。

勝手に期待して、好きに試合を観ることにしたい。
押し付けもしない。


ただ、楽しめればいい。
そんな気持ちで、土曜日が来るのをワクワクしている。

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