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オフィーリアの面影

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美術・音楽・映画その他、感想評論ごった煮
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#ネタバレ

闇系彼氏に首ったけ-ちょっとした悲劇と美術試論-

恋は突然に20XX年1月8日、AM5:25。 画面が完全にブラックアウトしたノートパソコンの前で、私の頭は真っ白になっていた。 神様。 確かに私は、この『彼氏』様と、2年間別れたいと言い続けてきました。 歴史に名を残すメンヘラで、サイコパスで、クッッッッッソきまじめで、超病み系すぎる『彼氏』様と、別れたいと願ってきましたよ、ええ。ええ。そりゃあもうツイッターのタイムラインを毎日「もうむり」「つらい」「逃げたい」といったワードの連続で荒らしまわるくらい、切望してきましたとも

あなたのことは、あなたが決めていい

6月は祝日がないので、特に用事はなかったが有休を取った。惰眠を貪ろうかと思っていたが、陽が昇る頃に起きて、映画「違国日記」を観た。 画面全体の印象としては、是枝裕和監督作品「海街diary」やソフィア・コッポラ監督作品「SOMEWHERE」みたいな感じだった。ヤマシタトモコの原作を既読の私からすると、原作で肝要だった各所のメッセージを薄めているという感覚もあり、率直にいいか悪いかを聞かれたら「作品としては微妙」と言う。 例えば、森本千世が、女性という性別ゆえに蒙る理不尽に

僕のヒーローアカデミア劇場版で考えた「エンパシーとは何か」

原作・堀越耕平の少年漫画『僕のヒーローアカデミア』の劇場版3作目「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE:ワールド・ヒーローズ・ミッション」を6回観に行ったので感想を書きたいと思う。 実は、8月6日に公開されてからほぼ2週間置きペースでこの映画を鑑賞していたのだけど、ぼやっと日記に書くだけできちんとまとめていなかった。というのも第一に、私はここ10年ほどの少年漫画に疎いので、感想を述べるのにそもそも若干及び腰なところがある。第二に、この原作漫画はMCUにたぶんめちゃくち

【サンリオ展感想】「カワイイ」の中で生きている私たち

引きこもりも程々にしようとハローワークのついでにサンリオ展に行ってきた。毎日バナーを作っていて知識不足に唸っているのでデザインの引き出しを増やすのにも丁度よいかなと思い。 コロナ禍になってから閉館の2時間前くらいに美術館へ行くようになったのだけど、混んでいなくてよい。殆ど人がいなかったので写真撮り放題だった。撮影可の展覧会増えたなあ、まあ写真を撮っていると思考が疎かになるので良し悪しはどっこいどっこいな気はする。じっと作品をみて対話をする意識は撮影していると結構どこかへ行っ