見出し画像

ライターに「得意ジャンル」はあったほうがいいのか?【自分の武器のつくり方】

「ライターって、得意ジャンルがないと仕事ができないんだろうか……」

ライターさんのプロフィールを見ると、よく「得意ジャンルは○○です!」と書かれていることがありますよね。それを見て、「得意なことって、やっぱりあったほうがいいのかな」とモヤモヤしているライターさんも、中にはいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は「ライターには得意ジャンルが必要なのか?」について、私の体験談を入れつつ書いてみます。伸び悩んでいる方や、新しい仕事を得る方法について知りたい方に参考になれば幸いです。

(1)得意ジャンルはあったほうが、自分のやりたい仕事はしやすい

はじめに、ライターには得意が必要なのかどうかについて。私の意見としては、「絶対に必要とは言わないけれど、得意ジャンルがあったほうが、自分のやりたい仕事はできる」です。これには2つ理由があります。

・ライターは数が多すぎるから
・編集者さんたちは「ライターがどんな記事を書けるか?」を知りたいから

1つめの理由は、ほかのライターとの差別化です。このnoteを読んでくださっているあなたは、ライターって世の中にどれくらいいるかご存知ですか? ざっくりとした数字ですが、参考になりそうな人数を載せてみますね。

クラウドワークスだと、「ライターに依頼・発注する」の画面には10万人以上(東京ドーム約2つ分)。noteユーザー検索に「ライター」と入れると、約9,000人(幕張メッセが全席埋まるキャパ)が出てきます。※いずれも2021年3月末時点です。

この中にいるんだ、ということを想像してみてください。もちろん、クラウドソーシングを使っていない方もいれば、個人ブログやサイトを使う人もいますからこれが全てではありません。でも、そうはいってもライターって数が多くないですか? 東京ドーム2daysとメッセが埋まるなんて、人気公演でチケット争奪戦ですよね(まあ、私もその一人ですが笑)。

クライアントの立場になってみると、東京ドームや幕張メッセ級の人数から、必要な数のライターを選ばなければならないわけです。数人、数十人、数百人。あなただったら、どうやって絞り込むでしょうか。

「経験、実績、ポートフォリオ、得意ジャンル、予算(報酬)、稼働時間、使えるツール、人柄、SNSの内容、フォロワー数……」

こんなことが思い浮かぶかなと思います。ライターに求められる条件のひとつが、得意ジャンルです。

実際に私が社内ライターとして働いていた間、オフィスにいるライターは数人~数十人規模だったのですが、「経験がある人」「そのテーマがより得意な人」に仕事が振られていました。ぶっちゃけ、ライター同士で仕事を取り合っていたわけです。「私も書きたいのに、悔しいな~」って思っていました(汗)。

それと、これも私の体験ベースの話になりますが、都内でライター職の面接を受けていたときに必ず聞かれる質問がありました。それが「どんなテーマやジャンルが得意ですか?」です。クライアントさんはみんな、ライターさんの得意ジャンルを知りたがっています。なぜなら、「書ける記事の中身」が重要だから。ライター自身の興味関心を知ることで、マッチングしやすさも上がります。

会社を辞めてフリーになった今も、編集さんやディレクターさんに得意ジャンルについて聞かれることがよくあります。こういうときに「○○が得意です」「△△が好きで、興味があります」と言えたら、そのジャンルの仕事を振ってもらいやすくなります。

(2)「得意がない人」はどうしたらいい?

ここまで読んでみて、「得意なことがある人はいいよね。……でも、ない人はどうしたらいいの?」と不安になった方もいるかなと思います。

得意ジャンルなんてないよ、という方がライターの仕事をしていく上で取れるスタンスは、2つあります。

・得意ジャンルがないままで、ライターの仕事をやっていく
・自分で新しく「得意」をつくる

1つめは「得意ジャンルは、とくにないです」というスタンスでやっていくパターン。報酬や仕事内容にこだわらず、なんでも書きます、という考え方で仕事を受けていく方法です。

ただし、「売りになるポイントが少ない」ので、ライターとしては目立ちにくくなります。以前の私のように「仕事を取られてしまう側」のライターになる可能性はあるので、その部分を良しとするかどうか、ですね。

もうひとつ「得意がない人」の取れる行動は、「これから新しく得意をつくること」。ないなら、つくればいいんです。では、どうすれば得意をつくれるのか、その方法も紹介しますね。

【作り方①】自分の経験や人生をふりかえってみる

これは今すぐに、誰でもできる方法です。「子どもの頃や学生時代の自分」「大人になってからの自分」をふりかえってみて、「そういえば、こんな経験をしたなあ」というポイントを探してみてください。

箇条書きでノートや手帳に書き出してみるのもいいですし、noteユーザーさんであればnoteの投稿テーマにしてもいいと思います。

私の場合は、学生のときにはアルバイトをいくつかやっていたので「職種紹介」や「体験談」は書けるな、みたいなことは思っていました。ライターの仕事は、自分の人生経験すべてがネタになるので、意外と仕事に繋がる部分がみつかるかもしれませんよ。

【作り方②】まわりの人に聞いてみる

「私の得意って、なんだと思う?」

こんなふうに、家族や友人に聞いてみる方法もあります。自分だけだと気づけない部分もあると思うので、まわりの意見もぜひ聞いてみてください(できれば、一緒に考えてくれるような人がおすすめです)。

ちなみに私は、夫に聞いてみました。「なんだかんだで、たくさん数をこなしたことじゃない?」と。そう言われて直近一年をふりかえってみると、たしかに家具案件は毎月書いていたし、片付け本も担当したから得意だと言えそうだな、と。ライター初心者だったころは、SEOやアプリレビューをたくさん書いたので、それが得意ジャンルだったかなと思います。

【作り方③】資格をとる

次は、より踏み込んだアクションを起こす方法です。それが「資格をとること」。これには2つの目的があります。

①そのジャンルに関して、正しい知識を身につける(専門性を高める)
②ライセンスを得る(プロフィールや名刺、履歴書対策)

私がライターの仕事をはじめてしばらく経ったころ、ぶつかった壁がありました。「品質の高い記事を、どうやって書くか?」です。文字単価の高い案件では、よりレベルの高い専門性が求められます。ただきれいな文章を書くだけでは通用しなくなっていました。

では、どうしたらいいのか。私が出した答えは「私自身が詳しくなること」でした。

少し前の話になりますが、私はFP2級の資格を取りました。「保険とかのテーマが苦手で、お金の勉強をしたいな~」と思っていたタイミングで、学歴に関わらずチャレンジできると知ったからです。でも、いきなり2級受験はさすがに難しいだろうと思ったので(合格率が50%くらいなので)、まずは3級からスタートしました。今では3級も2級も合格して、そのときの経験をこうしてお伝えもできるので、やってよかったなと思っています。

資格をとったあとは、プロフィールにも書いていますし、実際にマネー系の案件で声がかかって新しい仕事もしました(FP2級以上保有者のみの案件に参加できました)。ライターの仕事自体には資格はいらないけれど、特定分野について知識を深めたり、難しい仕事にもチャレンジしたいならば、資格をとること&勉強はおすすめです。

【作り方④】ライターの仕事をしながら勉強する

「資格をとるのはいいけれど、時間がないんだよ~」

という方におすすめしたいのが、ライターの仕事をしながら勉強する方法です。この方法にも、私は何度も助けられています。だって「書きながら、得意を増やせる」んですから。実績もお金も増えて、嬉しいことだらけです。

ライターの仕事をしていると、そのジャンルについて調べたり、文章を考えたり、ほかの人の書いた記事を読んだりする機会も増えます。そうすると、あまり詳しくはなかった状態から、人よりもちょっと詳しい状態にレベルアップします。そして書けば書くほど詳しくなります。別の案件に応募するときにも「○○のテーマで書いていたので得意です」と根拠を持って言えますよね(クライアントさんも納得しやすいです)。

ただ、初心者の方ですと「そもそも仕事を受けることが難しい」というのが、一番のハードルだと思います。そこに関しては、最初はやさしめの案件から実績を1つ増やして、また次につなげていくことが大事かなと。どんなライターも最初は実績ゼロからスタートなので、「ひとつずつやっていく」がみんな通る道(私も通った道)かなって思っています。

【作り方⑤】新しく、ライター以外の活動をはじめてみる

最後は、楽しい方法です。「ライターの仕事以外で、新しいことをはじめてみる」。副業・複業でも、趣味でも、ご家庭にまつわることでもOKです。自分が「ちょっと気になるな、やってみたいな」と思っていることを、やってみましょう!

この方法の良いところは「体験を増やせること」にあります。その先に偶然の出会いがあったり、これから得意になっていくものが待っているかもしれません。

私の場合は、文章を書くこと以外だと、在宅ワーカーさん向けのセミナー講師をやりました。本当は話すことが苦手で、初回はドキドキしすぎて声が詰まっちゃうくらい(今も覚えています笑)だったのですが、終わってみると得たものがあったんです。たった数人だったけれど、真剣に話を聞いてくれて、そこに私はライターになりたかったときの自分の姿を重ねました。

「これから在宅で働きたい人のために、私のやってきたことが役に立つかもしれない」

そんな風に思えて、それ以降も講師の活動を続けたり、今もその延長のつもりでnoteを書いています。講師をやらなかったら、たぶん私はこんなふうに、自分自身の働き方について、名前を出して書こうとは考えもしなかったと思います。

新しいことをはじめても、すぐに仕事に直結するとは言えないのですが、ふと気づいたときに「これってライターの仕事にも活かせるかも?」みたいな感覚は生まれるかもしれません。これはやってみないとわからないけれど、やってみてからのお楽しみですね。

【まとめ】「得意」はこれから増やせるし、勝手に増えていくかもしれない

最後にまとめると、ライターには「得意があったほうが、自分のやりたい仕事はしやすい」です。特に「人気の仕事をやりたい、文字単価を上げたい」と思っている方であれば、得意ジャンルは必要条件になってくると思います(そして今度は、得意ライター同士がライバルになってきますね)。

ちなみに私は、なんでも書くSEOライターからのスタートだったので、長い間「得意ジャンルがないこと」に悩んできました。今も特定ジャンルの専門ライターを名乗っているわけではないのですが、それは「色々書きたいから」という私自身の好みです。でも、何もしてこなかったわけではありません。

得意は、自分の手でつくることができます。それから、すでに自分の中に眠っているものや、これから勝手に増えていくものも、きっとあると思います。

今回のnoteで挙げた中から「やってみたいな」「これならやれそうだな」と感じたところから、ぜひ動きはじめてみてください。「得意がないし、自分に自信がないよ……」と思っていても、実はやれることは色々あるんだな、と興味を持ってもらえれば嬉しいです。



【2021/3/31追記】

前に書いたnoteで、ライターとして仕事を受注するためのコツを紹介しています。「どうしてトライアルで落ちるのか?」という視点で書いているので、よかったら参考にしてみてください◎(採用されやすい条件のひとつに、”得意分野があること”という今回のポイントが入っています)


noteを読んでくださり有難うございます!創ることを通して、今を生きる人の力になるコンテンツを届けることが私の喜びです。