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ライブ『行け!よしもと漫画研究部!』でサインしてもらった話

少し前の週末、いろんな用事で東京に行くので、その日最後のイベントとして、渋谷のヨシモト∞ドームIで行われた『行け!よしもと漫画研究部』を鑑賞してきました。
漫画に詳しい芸人さんたちが定期的に行っているライブで、出演者はサンシャイン坂田さん、ゲオルギー吉川さん、高橋えのぐさん、入館国際宣言西田さん、ドッチモドッチ栗原さん、田舎はるみさん。今回のゲストはニューヨーク、そして漫画家の新田章さん、でした。
定期ライブに、ミーハーな気持ちで申し訳ない、と思いつつ、このゲストで行こうと決めました。
新田先生の漫画は人に勧めまくっていたくらいハマっていたので、それが大好きなニューヨークと一緒に見られるの。最高だ。
時間ギリギリで、渋谷駅から走りました。
新刊が発売したばかりで、サインをしていただけるという事前情報が。
時間がかからなければ並ぼう、と思って本屋で購入。

ワンドリンク制です。カウンターで500円のコーラ買ってチケットの裏に印をもらい、入口でそれを確認されて会場に入ります。前回ライブの振り返り、出演者の紹介がある「部紙」が座席に置いてあり、とっても丁寧です。
ライブが始まりました。定期出演のみなさんの自己紹介が、新参者にとても親切で、ありがたい。
最初はゲストの二人のリクエストに応えて、定期メンバーが漫画をプレゼンするコーナー。
とてもためになりました。
いよいよ先生が登場し、七巻で完結した『恋のツキ』の裏話を。
とても贅沢な時間でした。

で、こっから、私の書きたい事よ。

「お客様から、せっかくなので、質問を」
と司会の坂田さんがおっしゃいました。
誰も手をあげません。
私、実は質問を考えてきてました。
サインをしていただけるということは、なにか言葉を交わす可能性があるわけで、すると、聞きたいことがもしかして聞けるかも、って思って。
それで、手を挙げました。
そう、私はこういう時やってしまうのです。人前で話すのがダメなくせに、なぞの使命感が沸き上がる。8割恥をかくのに! 

第一声で
「私、思春期の子どもがいるんですけど」
といいましたら、
舞台の芸人さんたちが「ええ!」って驚きました。
それでパニックです。
考えてきた質問は崩壊しました。(今考えれば、なんで?と思うんだけど)
質問のことを忘れて、
「親の気持ちと、主人公への感情移入とで忙しいです」
とか、どーでもいい感想言ってたわ。パニックね。繰り返すけど。
で、質問は?そうそう、質問だ。で、出たのが、、、
「両親のこととか、そういった家族のことがあまり描かれていないと思うんですけど、どうしてですか」
それに先生は
「主人公の目線なので」
という「そらそうだわ」という回答をまじめにしてくださいました。
本当は
「青少年のセックスについて、親バレ的な展開を私なら入れちゃいそうだけど、全然そうしないのは、こだわりがあるのでしょうか」
といえば良かったんだ。
でも、主人公を主軸とした恋愛をテーマに話を動かしているんだろうな
と、先生のお話を聞いて納得したんで、バカな質問をしたもんだ、って思った。恥ずかしい。

後半は漫画をみんなでつくるコーナーで、
その場でみんなで設定や登場人物を出し合う大喜利的な要素もあって、
とても盛り上がって、楽しかったです。

私は質問コーナーで落ち込んでいたので帰ろうかな、と弱気だったのだけど、
外に出るのが早かったのか、サインのコーナーにはまだ五名ほどしか並んでおらず、このまま帰っても落ち込んだままだぜ
と覚悟を決めてサインの列に並びました。
私は、コーナーの無礼をわびるに終始し、なんだかふわふわしたまま、サインをいただきました。
先生はやさしく、おきれいで、本当に素敵だった。
で、サインをいただき、家に帰る道すがら、「あれ、もっと言えたことがあったのではないか」と後悔が押し寄せてきました。
まず、私のようなものに何度もわびられて、先生も迷惑だっただろう。
先生が「まあまあ」と話すのを遮ってまでも謝ってたし、
ちゃんと感想も言わないし。
ただ最後、前作『あそびあい』について、娘に内容話したら嫌がられた話から(これも失礼では?)
「すばらしい作品です」と言えたけど、あれで伝わった?
『あそびあい』を「すばらしい」だけで片付けていいのだろうか。
内容は誰とでもセックスしちゃう高校生の素朴な女の子の話で
今回完結した『恋のツキ』もそうですけど、自分の倫理観と直結するので、
「なんで、そうなるかね」「いや、もう絶対辞めた方が良い」「間違っているぞ!それはっ」などなど一人ごとを言っている。
表現ってこういうことでは、と、私は思います。
人の感覚を刺激するもの、ってことです。
新田先生の漫画は、人の嫌な部分も全部ひっくるめて、生々しく、そのせいでキャラクターや物語が力強くて、心にズバンと届くんだと思います。丁寧にエピソードを重ねていて、ほんのわずかな仕草や空気をすくい取ることで、すべてに説明がつく。
ニューヨークの屋敷さんは初めて読んだ時「俺のために描かれた本や!」と思ったとおっしゃってましたが、私も、そう思いました。「これ、私の前に広がっている現実の話だ。なぜ今まで私はこれを表現しなかったのかしら」と。心に突き刺さった人はみんなそう思ったのだと、屋敷さんの言葉で確信しました。
こう言えたら良かったのに、うまいこと伝えられなかった。

『恋のツキ』は誰かと感想を言い合いたいくらい、おもしろかった。電子版で読んでいたので、いきなり七巻だけ買うのも、と思ったけれど、
きっと私はこの漫画を何度も見直すだろうな、と思いなおし、買いました。
全巻そろったら、人に勧めやすいし。

作品がすばらしいので、いつか娘にも読んで欲しいとは思うけど、、、、、そうなると、いろいろ経験し終わった後だな。
こわい。私、正常でいられるのかしら。娘が性の匂いまとったときに。
20歳そこそこの女の子との「飲み会」の話を芸人さんからされるたびに、私は娘のことを考えてしまいます。
だって結婚できる年齢まであと二年しかない。

いろんな刺激物が脳に入った夜でしたが、ライブは楽しい。たくさん笑って、幸せです。本当にありがたい。


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