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読書納め「世界の美しさを思い知れ」

仲間外れにされる夢を見た。
大晦日まで、いじけた夢見てんなぁと自分にツッコミたくなるが、おかげで二度寝する気にもならず起きられた。人生万事塞翁が馬。

そもそも、「仲間外れにされた」って、被害者根性丸出しなのが、よろしくない。みんながいるフロアに移動できなかったのは、行かないと決めたのは、他ならぬ自分自身だった。
理由はどうあれ、重苦しい夢だった。まぁ、夢から覚めたからもういい。

そんな風に始まった2021年の最終日に読んだ本は「世界の美しさを思い知れ」

装丁がきれいで一目ぼれ。色が好き。

人気俳優蓮見尚斗の自殺から始まるロードノベル。尚斗の一卵性双生児の兄貴斗が主人公。礼文島、マルタ島、台中、ロンドン、ニューヨーク、ラパスを旅する。

どうして死んだのか?
どうして気づいてあげられなかったのか?
生きててほしかった。
好きだった。
わからない、わからないまま抱え続ける。

死んでしまった弟と生きている自分。
生きていた弟との思い出とその続きにある世界。
美しい景色を見て、美味しいものを食べて、人と出会う。

生と死は、明確な区切りがないのかもしれない。明確な理由なんてなく、ふとした弾みであちら側にいってしまう。残された側は、勝手に納得のいく物語を組み立てるしかない。真実は、それぞれの人の中にある。どれも真実で、どれも真実ではない。

俺が勝手に美しいと感激した景色の裏には、俺の知り得ない悲しみや怒りがあった。

全部があって、一部だけを切り取った部分だけを共有して、それでもその瞬間「美しい」と感じる心がうれしい。
ひきこもっていたけれど、どっか行きたい気持ちになった。行くぞ来年。

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