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カズオイシグロ白熱教室

村上春樹さんより先に、ノーベル賞受賞に
なった方の白熱教室録画を見ました。

イギリスに5歳で移住して、いつかは帰るつもりの日本に、帰らなくなったひと。

当初は、その彼の中の日本のイメージを残すために作品を書き始めたのだと。
そして、いやいや自分は日本に拘らずに、別でも書けるのだと作品を出してゆき。

とうとう、場所や時代はどこにでも設定できると悟ってしまった方なのですね。

著したいのは心情。
いつの時代でもどこにでもなんてすごいなと
思いつつ、なんだかなんとなくわかる気もしますね。

でも、彼のように、できるようになってしまったら。

過去に携帯電話の色バリエーションをたくさん用意したら、逆に上手く売れ行きが伸びなかったという話と同じで、ひとは多すぎる選択肢に迷って決められなくなるのだそうです。

それを、乗り越えて、決めることが出来るということですから、やはり違うんですね。
「私を離さないで」あたりも、二回、別設定で
書いてみてボツにしたあとの作品だとか。
寡作な方ですが、二冊無駄にしてでも、渾身の
一冊を出す執念が違うのでしょうか。

読んでみようと思いつつ、臓器移植用の生命、
確かアメリカの映画でも重い内容のがありましたよね。
ビンゴみたいに、当選したら新世界へ行ける!!と信じ込まされて楽しく生きていて、
実は、臓器だけが、別世界に入れ、あとは抹消されてしまう。それに気づいた者が逃げ出すストーリー。

カズオイシグロ氏のは、まだ、少年少女なのに
「あなたたちは、臓器移植のために生かされているそれまでの命なのです」とはっきり学校の教室で先生に伝えられているシーンが白熱教室の中でも挟まれていて、それだけでさらに重そうです。

どこかの国で、猿に移植して、人間の臓器を
培養できるように研究が進んできたというニュースも耳にしたので、方向はそっちになるかも
しれません。高齢化が進んで、生き延びたいしお金ならあるという時代なら当然の流れです。

人間は自然な進化から、どんどん外れていって
しまうような。
そうそう、男性でも、子宮移植で、子供を産める(帝王切開)技術ももうあるそうです。
これで、女性は「産む機械」から無事卒業です。父親男性は、産んだ瞬間から、全ての
母性本能ならぬ父性本能で、無休無報酬で、
その子供が成人になるまで立派に次世代育成ができるはずです。

ずっと、母性神話が語り継がれていたのですから。これからの時代は、父性神話としてばんばん成功例を積んで、表に出していってほしいですね。

オリンピックも始まり、スピードスケートなどを観戦していると、この熾烈な競争のために生殖リズムを壊されていく女性もまたどれくらい内在するのだろうと想像でき、なおさら考えられずにはいられないのでした。