言葉と感謝と涙の粒が、あふれてあふれて止まらない
「帰ってこれられる?」
「お熱が出るかもしれない」というのは、昨日の夜からなんとなく、察知していた。
朝、ぐずる次男を抱っこしながら学年のLINEに「もしかしたら…」と一手、打つ。
予想はあたり、次男発熱。
……というときに限って、私の机の上とPCの中と頭の中はギッチギチ。時間割も、ギッチギチ。
今日、唯一の「授業がない時間」に、"帰還命令"は届いた。
そのタイミングで、幸か不幸か「私にしかできないでかめの仕事」(成績処理)のミスが発覚。
確認作業を進めて、進めて、進めて、
ううううう終わらないよぉおおおおおおお
やばい。やばい。やばい。
学年の先生たちはみんな掃けてしまっていて、帰らないといけないことをまだ誰にも言えてない。
次は私の授業なのに、授業に私の代わりに入ってくださいってお願いも引き継ぎも、できてない。
成績処理、最終確認と仕上げと提出、できてない。
連絡帳のチェックも、できてない。
でも、帰らないといけない。
どうしよう
キーンコーンカーンコーン
チャイムはいつだって、無情。
どうしよう、どうしよう
目尻に集まってこようとする熱と涙をぐっと押し返すけど、気力が足りない。だめ。泣いたってどうにもならない。泣いてもなにも解決しない。
どうにもならない、どうしよう、時間がない。
「どうしました?このあと授業ですよね?」
声をかけてくれたのは、大先輩。
「あ、そうなんですけど、わたし、かえらないといけなくなっちゃって」(本当にこんな喋り方だったと思う)
そこから早かった。
「授業は心配しないで大丈夫。なにか指示はありますか?指示があればその通りに、なくてもこっちでどうにかします」
サッと、クラスにいってくれる先生。
「成績処理、教科でやらないといけないところまでは終わらせた?なら大丈夫だよ、確認してくるから」
サッと、管理職に確認とってきてくれる先生。
「連絡帳のチェック、私やっときますよ!」
サッと、山積みになっていたノートの束を持って行ってくれる先生……
「やりたいことできないでそのまま帰らないといけないのだって、つらいでしょ。急いでるんでしょ?早く帰りな」
こうして私は、最早なかば追い出されるがごとく職員室から出た。
「今出ました」
駅に向かって歩く道。
私はまた、涙をぐっと押し込める。
でも今度は、さっきとは違う。
あったかい涙。
周りの人たちの優しさに、暖かさに、支えてもらって、私は今こうして働いている。子どもを育てている。
しんどい、つらい、辞めたい
思うこともある。悩んでばっかり。
でも、こうやって「今」働けているのは、周りの人たちのおかげ。支えてもらって、助けてもらって、生きている。
そのありがたさ、感謝、どうやったら返すことができるんだろう。
溢れる気持ちと涙を、私はきっと、ずっと、忘れることはない。
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猪狩はな 💙@hana_so14
https://twitter.com/hana_so14
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