見出し画像

子どもが生まれる前に、時を巻き戻したいと思うかい?

「スクールアイドルとして、限られた時間のなかで、精一杯輝きたい」。

限られた時間。
終わりがあるとわかっている時間。
だからこそ輝く。それがスクールアイドル。

私が愛してやまない、「ラブライブ!」というアニメのなかの、大好きな一節。毎回毎回泣いていた、この一節。


30代になってようやく、私たち自身の「人生のこの瞬間」、一瞬一瞬もまた、「限られた時間」であると、気付かされた。

私にとっての30代。
生徒たちにとっての3年間。
息子たちにとっての1年間。
私たち家族にとっての、今日という1日。

全てが、「いつかは終わってしまうからこそ輝く」、残酷で、儚くて、美しい時間だということ。

育児とは、その最たるものであるということ。
2人の息子たちが、日々、私に教えてくれている。


「子どもをもつと、もう元の世界には戻れない」

いやそりゃそうだろ。と思われるかもしれないけど、現状の私にはこの表現しかできない。そして現状、この表現が最上と思っている。

「子どもが生まれてから、生活って変わりました?どういう風に変わりました?」

夫婦ふたり暮らしのおうちにお呼ばれした日。
そんなふうに問われた。
ちっこい赤ちゃんが増えるのだから、「変わった」以外の答えはないのだが、考えたんだ。

夫婦ふたりの新居は、広くって、リビングは整ってて、おもちゃも当然一つもない、食べこぼしなんてない、低い位置にたくさんのインテリアの飾ってある、きれいなおうち。丁寧なくらし、だった。

羨ましくない、って言ったら、そんなの嘘だ。


小さな子ども2人を抱えた我が家が整ってることなんてほとんどない。いつもどったんばったん大騒ぎ。
常に米粒を拾って、おもちゃを踏んでは頭に来て、延々と話かけられ続ける毎日だもの。

でも、どれだけしんどい日があろうとも、「元の世界に戻りたくない」とはっきり言える。

楽しい?幸せ?この道を選んでよかった?
答えは、めちゃくちゃYESだ。

画像5


私たちはいつのまにか、「四人で一つの家族」になっていた。


ほんの数年前まで、長男も次男もいなかったのに、今は彼らがいない生活なんて考えられない。

アンパンマンのキャラクター数がギネスに載ってることも、新幹線の種類も、妖怪の名前も、ウルトラマンの怪獣も、悪魔くんの主題歌も、この1年半あまりで得た新しい知識。
息子たちがおもちゃやアニメを卒業しても、この知識は私の中に残り続ける。いつまでも、つい「あ!はやぶさだ!」「ドクターイエローだ!」と一人ではしゃいでしまうんだろう。

1人の時間をもらって出かけても、買うのは息子たちの服や本。
カフェに行けば、子連れの家族が目について、ああ、ここ家族連れでも大丈夫なんだ。今度息子たちと来ようかな?なんて思う。

誰かのことを、自分以上に大事に思えるって、幸せだ。そんなふうに思える相手に出会えて幸せだ。
夫と出会った時も、そう思った。

けれど、それ以上に強く強く思う。
息子たちは、私の大事な宝物だと。

画像4


限られた時間だからこそ輝く、あの日、この日。

働く妊婦として、0歳児の母として、1歳児の母として、1歳半の子を抱える妊婦として、0歳と2歳の母として、ワーママとして……日々はあっという間で、目まぐるしい。

(いや、妊娠期間は思い返してもほんとうにしんどかったけど…特に上の子がいる妊婦生活……)

積み重なっていく毎日、スクロールする写真、山になっていくアルバムと育児日記。そのすべてが、キラキラと輝いている。

子どもたちが成長しない日はない。嬉しいことも、悲しいこともたくさんあるけれど、なにもない日はない。一瞬一瞬が、まるで宝石のようだ。

画像3


「スクールアイドルとして、限られた時間のなかで、精一杯輝きたい」。

「ラブライブ!」の、このセリフを聞くたび、思うたび、私は、アニメを今ここで見ていなくても涙が出てくる。μ'sのメンバーたちが悩んで悩んで出した結論。

「μ'sは、おしまいにします!」
だってμ'sは、スクールアイドルだから。3年生が卒業したら、そこで解散にする。そう決める場面だ。

解散を決めたところから、それまで「未来」「夢」を歌っていた彼女たちの歌は、「今を楽しむ」歌詞に変わっていく。最後のライブも、「今が最高」と歌って、終えるのだ。

「僕たちはひとつの光」

光を追いかけてきた僕たちだから
さよならはいらない

「ほのかな光」、夢をずっと追いかけてきて、捕まえたμ's。そうして、今を楽しんで、最高の瞬間を作り上げて、輝いて……そうして、私たちの心を照らし続ける。だから、さよならは言わないんだ。


息子たちは、かわいい私たちの宝物。
4人で一つの家族になった私たち。


でも、わかってる。

そのうち、おもちゃが少しずつ減っていくこと。絵本は本にとって変わり、部屋のしつらえも「おもちゃ部屋」から「子ども部屋」になっていくこと。

そのうち、食べこぼさずに一人でご飯を食べ、コップで飲み物を飲み、一人で靴を履き、着替えをし、歯を磨き、夜も一人で眠るようになること。

そのうち、一丁前に「母さん、今日は友達と飯食ってくる、夕飯いらないから」なんて、言う背中に「わかった、行ってらっしゃい」なんて、言うであろうこと。

いつか我が家のリビングが、ふたたび私たち夫婦二人だけになる日が来るということ……

全てが、「いつかは終わってしまうからこそ輝く」。残酷で、儚くて、美しい時間。

早くああなってくれないかな、こうなってくれないかな。手が離れていくよその子たちを羨ましく思う日もある。子どものいないリビングの、ていねいな暮らしに憧れるときもある。

そりゃあそうよ。ないものねだりしたくなるときだってありますよ。人間だもの。はなを。

画像6


「子どもをもつと、もう元の世界には戻れない」 それでいい。それが、いい。


だって、こんなにたくさんのキラキラを知ってしまったら、もう元には戻れない。

私はスクールアイドルではないけれど……この子達のお母さんだけれど……それが、本当に嬉しいよ。

母になって初めて見えるもの、わかるようになったこと、別の角度から考えられるようになったあれこれが、私をどんどん豊かにしてくれている。

だから、胸を張って答えようじゃないか。

子どもがいると、変わるよ、なにもかも。
つらいことも、しんどいこともあるよ。

でも、それでも。限られた時間の中で精一杯輝こうとする「私」は、いま、一番幸せだ。


夢の中で描いた絵のようなんだ切なくて
時を巻き戻してみるかい?
No No No!今が最高

画像4


---💌🕊---

猪狩はな 💙@hana_so14
https://twitter.com/hana_so14

画像1



いつもお読みいただきありがとうございます! いただいたサポートは、銭湯巡りで息子たちと瓶牛乳飲むときに使わせていただきます🐄♨️