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高校1年生の私

暇な時によくiPhoneの中の写真や動画を見て、思い出に浸る。
今日もみんなで花火をしたり、流行りのモノマネやギャグをやった動画を見ていた。
ああ、またみんなで遊びたいなぁと、iPhoneの画面をスライドしているとふとあの人のピアノを弾いている音だけの動画を見つけた。軽い気持ちで再生ボタンを押した。

私のiPhoneから音が聴こえた、その、瞬間。

鳥肌がたった。あの人がピアノを弾く姿が鮮明に思い出されたから。
もう忘れたと思っていたのに、もう諦めたと思っていたのに、それなのにこんなにも私の中に鮮明にあの人がいるなんて知らなかった。
知らない。こんな感情。

一緒にいる時よりも心臓が苦しくて、どうしようもなくて、凄く、凄く、会いたくなった。そんな簡単に会えるわけがないのに。
物理的な距離はきっと精神的な距離に勝てないのだ。恋人ならまだしも、私達はなんの関係でもない。

以前友人にお前は物理的な距離がないとダメなのか?
そう、聞かれた。
私はダメじゃないと信じたいけれど、会えない、話せないというのはとても辛いと、そう答えようとしたが、涙が出て答えられなかった。ああ、私はやはり弱いのだ。弱いから自分もあの人のことも信じられないのだ。そう実感して零れた涙だった。

けれど、今ならきっと信じることができる。自分のこともあの人のことも。だって私は忘れていなかった。諦めていなかった。
それなら、きっと大丈夫だ。根拠もなくそう思った。

いつか、会う日まで。君を待ってるよ。

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