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【無名人インタビュー】自分らしさを誰よりも楽しむ25歳の人

トップの画像に岸田奈美さん(バラバラで表示されてますが)やフワちゃんがいらっしゃってインパクト強めな今回。

参加してくださった りり さんは、どちらかというと、何をしているか(do)よりも、どう在るか(be)がおもしろい方で、これぞ無名人インタビューの醍醐味かも。

そして、事前情報がゼロだったんです。
noteとか、その他SNSのアカウントなし、ブログやHPもなし。分かっているのは名前だけ。
「君の名は」(真知子巻きのほう)では名前を知らない男女が心を通わせていましたけど、名前だけでは何とも分からない。スリルを味わいました。

インターネット上にプロフィールがないことでこんなに不安になるなんて、すごい時代ですね。


1 とっておきの岸田奈美さんと吉沢亮さん

ナカザワ:まず、皆さんにお聞きしてるんですけれども、今回どんなインタビューにしたいとかってイメージはありましたか?

りり:そうですね、無名人インタビューを受けるにあたって、ナカザワさんが他の方にもインタビューされてる記事を少し見させてもらいました。

ナカザワ:わあ、ありがとうございます!

りり:私は特別何かを成し遂げてるとか、そういった感じではないので、ほんと何話そうかなって思ってます。そうですね、やっぱり自分のことを少しお話できたらなあ、なんて思っております。

ナカザワ:じゃあまず、気になったことから。無名人インタビューはnoteでやっているので、noteのアカウントを持っている方だとnoteを見て参加していただいたんだなと分かるんですけど、今回参加にあたってどんなきっかけがあったんですか?

りり:noteを見ているときにたまたまナカザワさんにたどり着いてたんです。プロフィールに年齢が書かれていたじゃないですか。

ナカザワ:はいはいはい。

りり:私も同い年ってこともありまして、親近感が勝手にわいてしまいまして。

ナカザワ:年齢書いておいて良かったです!

りり:そんな感じで本当にたまたまでした。

ナカザワ:そうなんですね。noteはよくご覧になるんですか。

りり:岸田奈美さんっていう方が大好きで、その方の投稿を見るために良くnoteは見ますね。

ナカザワ:私もnoteを始めたころから始めた時から岸田さんの記事は拝見しています。そうですね、岸田さんの記事はどういったところがお好きなんですか。

りり:そうですね、その、岸田さんはすごく大変な経験もされてるじゃないですか。それなのに、読み手が思わずクスって笑ってしまうっていうか、ホッとするような感じがあるんです。本当に辛いことを体験している人って、こんなに辛いんだよ、って辛さを前面に押し出すんじゃなくって、必ず受け止める相手のことを思って、辛さっていうのかな、そういうのを調節してると思うんですね。そう言った、岸田さんの受け手への気遣いがあるところがすごい好きですね。私もすごく岸田さんのnoteには助けられていまして。

ナカザワ:はいはい。

りり:岸田さんの本が出たじゃないですか。あれを読みました。noteから書籍化されたものを読もうと思ったのは初めてでした。ナカザワさんは読まれました?

ナカザワ:読んでいないんです。素敵なタイトルだなって思って、ちょっと気になってはいます。

りり:私本屋で読んだんですけど、もう、読みながら号泣しましたね。これは花粉症ですよ、みたいな感じで必死で取り繕ってたんですけど、いやー、よかったです。言葉に表せないぐらい。いろんな人に勧めたいってよりは、自分の中で、大事にしたいものだなあ、なんて思いました。

ナカザワ:うんうんうん。何かを人に勧めるのとかお好きなんですか?

りり:あまり実はそういうタイプではなくって、小さいころから、いいものとか、自分で見つけたものを人に勧めるってよりは、そういったものを自分の内に抱え込んでしまうようなタイプの子どもでしたね。いいものは、自分だけのものにしときたい、っていう感じです。

ナカザワ:はいはい。

りり:それは例えば、異性に対してもそうなんです。自分の好きな人がいるとするじゃないですか。この人のいいところ、素敵なところは、自分だけがわかっていたい、自分だけの宝物にしたい、みたいなそういうところはありましたね。みんな聞いて!私の彼氏こんなに素敵なのよ!じゃなくって。

ナカザワ:なるほど。大事にしたいと言うか。

りり:そうなんです。私だけの物、という。こんなこと言うとすごい独占欲の強い女みたいですよね(笑)
あ、人だけじゃないですよ。例えば景色を見ていて、月がきれいだなーとか、空がすっごい青くて清々しい気持ちだなぁとか、そういう感情も、誰かと共有するんではなくって自分だけのものとして、自分の心の中で思い出として取っておきたい。あとでこっそり振り返って、良かったなーっていうふうにしたいんです。

ナカザワ:なるほど。noteのアカウントを持って自分で書いてる人って、拡散したいとまでは思わないにしても、基本的に発信をするじゃないですか。でも、りりさんは発信したいんじゃなくて大事にしていたいっていうのがあるんですね。SNSとかもあまりやらないタイプですか?

りり:そうですね。アカウント自体はあるんですけど、私下手くそなんですよね。
写真も撮ってるんですよ。撮ってるんですけど、どう頑張っても映えないんです。やっぱり自分の中で、どうせSNSやるなら映えさせたいなみたいな欲もあるんですね。自分で大切にしておきたいとかって言いながら、欲はあるんですよ。
でもなぜか私が撮ると映えないんですよね。だからつまんなくなっちゃって、もう数ヶ月ぐらい更新していないです。最後に更新したの、何だろう、唐揚げの写真をあげました。友達も2人くらいしかフォローしてなくて。

ナカザワ:あ、じゃあ唐揚げを世の中に発信した所で終わってるんですね。

りり:そうですね、そこで止まってます。

ナカザワ:「映える」ってりりさんにとってどういうことだと思います?どういうものだったら発信したいですかね?

りり:どういうものだったら発信したいか。うーん、たぶん、自分の中で、本当に発信したいなって思うものってないんですよ。やっぱり自分が見たもの、聞いたものっていうのは、まず自分が一番大事にしたいんですね。

ナカザワ:うんうん。

りり:だから多分どんなに綺麗な写真が撮れたりだとか、それこそ、たまたま撮った写真に有名な人が映っていたとしても、自分だけのものにすると思います。
発信することによって、その価値は受け手によって変わってくと思うんですね。
例えば、私が吉沢亮が好きだとして、あ、吉沢亮は本当に好きなんですけど、この人めっちゃかっこよくない?って例えばナカザワさんに送ったとするじゃないですか。

ナカザワ:はい。

りり:ナカザワさんは、そこまでかっこいいと思わなかったとして。あ、例えの話ですよ。

ナカザワ:はい(笑)

りり:で、その時に、私は好きだけど、ナカザワさんはそうでもないって言う、もうそこで吉沢亮の価値が変わるわけじゃないですか。それを私は少し寂しいなって思うんです。自分が好きなもの、いいって思ったものが、受け手によって捉え方が変わってしまうっていう。
自分がいいって思ったものはいいって思った形のまま、残しておきたい。だから特に何か発信したいってことはないですね。
このご時世、noteもSNSもそうですが、一つの投稿に対して色んな意見が言いやすくなってると思うんですね。良くも悪くも
だから、みんながいいねと言ったとしても、たった一人が、それ嫌だよとか、だめだよ、なんて言うと、意外とその少数派の意見が、少数だからこそ目立ってしまう気がするんです。やっぱり私はいいものに傷をつけたくないんですね。キズが無い綺麗なままとっておきたいなって。だからもう、わざわざ外に出して傷をつけるようなことはしたくないですね。

ナカザワ:そういうのって、普段の生活でも出たりします?SNSで発信するかしないかは個人の自由だと思うんですけど、例えば好きな食べ物をもらったりして、それを誰かにあげたりとか、もらったことを言うよりは、大切にして一人で食べるとか…。

りり:そうですね、あんまり見せびらかさず…見せびらかすっていうか、これもらったんだよって言ったりとか、それこそSNSに写真を撮って上げるってことはしないタイプですね。もらったものは基本的に自分の中で消化するっていうタイプです。

ナカザワ:なるほど。

2 タイムスリップしてきた人

りり:もうすごい保守的な人間なんですよ。保守的っていうことには最近気付いたんですけど。あれやってみたいとか、これやってみたいとか、好奇心はあるんです。でも、その反面安定を求めるんです。それで安定の方がいつも勝ってしまって、今までのままでいいじゃないかと。

ナカザワ:ああ、なるほど。

りり:そういう気持ちが 良いとも思ってないし、悪いとも思ってないんですけど。今、スマホをみんな持ってるじゃないですか。

ナカザワ:はいはい。

りり:で、5Gとか出てきたじゃないですか。あれとかも、そういうのやってみようとかじゃなくって、むしろガラケーでいいや、とか思っちゃうタイプなんですね。手で書けばいいし、とか(笑)
本当にパソコンとかスマホとか普及している中ですけど、少し前のちょっと不便だったなぁ、みたいな、そういう時代を求める自分がいますね。ちょっと不便なのが好きなんです。
今本当にすごい年取ったこと言ってるなーって思ったんですけど。
本当にナカザワさんと同い年なんですけど…きっとナカザワさんは、自分とは対極にあるような、いろんなことに挑戦してくようなアクティブな女性なんだろうなと思いながら話しています。

ナカザワ:どうなんでしょう、今の不便な方が好きって言うのを聞いて、思ったことがありまして。
コロナでテレワークが始まったんですけど、テレワークってやっぱり技術の進歩あってのものじゃないですか。zoomだったりとか、新しいチャットツール入れようとか色々やっている中で、みんなが不便だって言ってるものも、私は不便だと思ってなかったことに気づいたんです。
こうやったらもっと便利だよねってみんなが言ってるのを、ただ「みんなこういうのが不便って思うんだ」って眺めてたんですよね。その感覚と近いのかなって思いました。

りり:それですよ。今なんかすごい通じ合えた気がしました。本当にそうですね。
実は長年書道をやってまして、だから手で書くっていうのが染み付いてしまってるんですね。意外と書道って手間のかかるもので。まず墨汁じゃなくて墨をすったりだとか。

ナカザワ:はいはいはい。

りり:墨汁だと容器から出すだけなんですけど、墨をするのって結構時間かかるんですよ。力の加減だったりだとか、量だとか。そういうのを面倒くさいって思っちゃう人もいるし。
そういう手間のかかる事を面倒くさいって思うから、じゃあどうすれば面倒くさくなくなるかってことで、いろんなものが進歩していくんでしょうね。面倒くさくても、このままでいいやって思うのであれば、きっとこのまま現状維持で行くんでしょうし。
これだけいろいろ発達してるって事は、世の中のだいたいの人がちょっと不便だな、何とかしようって思う人が多いわけで、そういう人たちが頑張って今世の中があるんだなって思うと…いやー、なんかおばあさんみたいな会話になっちゃった。

ナカザワ:いやいや大丈夫ですよ。たぶん、私たちの世代って、技術の進歩がすごい時代に子ども時代を生きていて、誰も見たことがない速度で変わる世界を横目に育ってる世代だと思うんです。

りり:なんかこの世代ってちょっと特殊っていうか色々ありますよね。ゆとりって呼ばれたりとか。色んな災害があったり。

ナカザワ:そうですね、変わらざるを得なかった中で生きてますからね。

りり:だから何ていうか、自分の周りの友達とか見ると、結構そういった流れに上手く乗れてる人が多いんですね。

ナカザワ:はいはい。

りり:だけど私はやっぱりいつもその流れに乗れなくって、いつもツーテンポぐらい遅れちゃってて。同世代ってちょっと話が合わないんですけど、自分より二回りぐらい年上の人って、スマホがない時代を生きてるじゃないですか。
今ナカザワさんに話してるような事を話すと、ちょっと共感してもらえるんですね。だから、もしかして、私この時代に生きてるけど、魂は昭和の前期ぐらいなんじゃないかっていうことを、この間、友人に言ったんですよ。そしたらめちゃくちゃ大真面目に「だと思う」って頷いてました。タイムスリップしてきた説が濃厚ですね。
その友達も私のことをたまにタイムスリップしてきたって言ってたんで、またまた冗談を、なんて返してたんですけど、そんなに言われるって事はもしかして私本当は昭和の戦争始まる前の人かもしれないって思いました。そんなことがありましたね。

3 愛すべきグレーという名の曖昧

ナカザワ:ちなみにそのずれてる感覚みたいなのって、いつ頃気づきました?

りり:もう物心ついた頃ですので、小学校、6歳とか7歳くらいじゃないですか。でも私はそれを自分の中で嫌だなとはあんまり思わなかったですね。口では困った、困ったって言ってるんですけど、本当に困ってるのかって言われるとそうではないし、別にスマホが使えなくったってどうにでもなるじゃないですか。SNSなんて上げなくても、色んな手段はあるわけだから。
それに、二十歳を過ぎてますし、無理に波に乗って行こうとか人に遅れを取らないようにしようとかってよりも、もう自分の性質とかも大体分かってきてるので。
人の最終的なゴールって、私は、死ぬことだと思ってるんですね。
だから、きちんと死ねたらいいや、その道中は遅かろうが早かろうが自分のペースでいけばいいやって思うようになって、全然気にしなくなりました。

ナカザワ:学生の、例えば中高生のころとかその辺は気になってました?

りり:気になってましたね。雑誌とかが流行っていて、みんなそういうものから情報を得ていたので、乗り遅れないようにって思って読んだ時もありました。
人に話を合わせてましたけど、自分の中で、人に合わせてる自分と、そうじゃない自分っていうのを分けてたので、私猫かぶってて嫌だなー、とはあまり思わなかったですね。それはそれ、これはこれ、みたいな形で。

ナカザワ:なるほど。

りり:もちろんそれで悩んだりだとか傷ついたこともあります。でも、じゃあどんなことで傷ついたのって考えると、思い出せないんですよ。記憶力の問題なのか、本当に自分にとってちっちゃなことだったのかわからないんですけど。
話が戻りますけど、そういったことよりも、やっぱり、自分がいいって思ったものを自分だけのものにして、そういったコレクションしたものがきちんと自分の中にあるっていうのが、私はちょっとなんか嬉しいんですよね。

ナカザワ:二十歳を過ぎたらそのままでいいやって思ったということですけど、それは何かきっかけとかあったんですか。

りり:二十歳ぐらいから、結構自分の生き方を考えるようになったんですね。どうやって生きて行こう、って。
大学に通っていましたので、それぐらいになってくるとみんな就活考え始めたりだとか、自分の進路について考えると思うんです。でも私は、これからどうやって生きていきたいかなって考えているのに、これまでどうやって生きてきたのかなってことを考えてしまっていたんです。
未来を考えているはずだったのに、前のことばかりを振り返っていました。
自分は自分、とか、人に合わせなくても自分のペースでやれてればいい、とか、めっちゃかっこいいこと言ってたんですけど、本当はそうやって強がることによって自分を正当化していて、何て言うのかなあ、本当はすごく弱かったんだなって。
心の底から、私は私、みたいな、別に時代についていけなくてもいいとか、心の底から本気で言えているんじゃなくて、ちょっと強がりがあるって気付いたんですよね。そういったときに、自己啓発本を読み漁りました。

ナカザワ:はいはい。

りり:自分の中でこれ!ってものはなかったんですけど、やっぱり心に響くような言葉とか色々あって、それかだんだん積み重なっていくと、ちょっとずつ、まあ、これでいいでしょう、みたいに思えるようになりました。寛容になるんですかね、自分に。
大きなきっかけがあったわけではなくって、日常の小さなことを積み重ねていった先に、今の考えがあるって言う感じですかね。

ナカザワ:そのタイミングで、これまでどう生きてきたっけ?と丁寧に考えたんですね。

りり:そうですね。後にも先にも自分のことをあれだけ考えた期間っていうのはないですね。
というのも、私学校決める時とかもあんまり悩んだことがなくって。それこそ高校の文理選択とかでもあまり悩まなかったんですよ。他の友達が、自分は文系か理系かとか、歴史選択は日本史をとればいいのか世界史を取ればいいのか、とか悩んでいるのを横目に、私は悩まなかったんですね。その時は苦労しなかったのかもしれないけど、悩むってことをしないと悩み慣れていないので、悩み方がわかんないんですよ。
もちろん、それまで悩んでないといっても、こっちでいいや、とか適当に決めていたわけではなくって、これ、みたいなものが決まってたんです。例えば、日本史が好きだから日本史をとるとか。傍から見たら正当な理由じゃないですか。
だけど、みなさんがこうやって悩むタイミングで悩まなかった、ある意味スルーできたということもあって、どうしても悩まなきゃいけない時に、悩み方を知らないので病んじゃうんですよね。

ナカザワ:それまでも決して気にしなかったとかじゃなくて、純粋にあんまり悩む必要がなかったということなんですね。

りり:そうですね。だから、何か悩まなきゃいけないっというか、考えなければならない問題があった時は悩むっていうことから逃げないようにしようっていうのはその時に思いましたね。
たとえ周りから、うじうじしてるとか、はよ決断せい、とかって言われても悩むんだ、と。今の時代って決断力とかって求められるじゃないですか。全てにおいてスピードも求められますし、その中で良い判断っていうのは求められるんですけれども、まあもちろんそこはね、仕事の中で必要な期間だとか、この期限までに返事をしてくださいと言ったら守りますけど、悩んでいい期間はしっかり悩もうって思います。

ナカザワ:決断自体は嫌じゃないですか?

りり:どうなんでしょう。好きでもないですし嫌いでもないんですけど、やっぱり曖昧にしたがるところがある気がします。
ミスチルのギフトっていう歌があって、歌詞に、白か黒で選べという難題を突きつけられて…うーん、なんだっけな、ちょっと待ってくださいね。

ナカザワ:オリンピックのテーマソングでしたよね。

↑これですね

りり:今いいところまで思い出してます…
あ、そうそう。
白と黒の間に無限の色が広がっていて、君に似合う色探して名前を付けたなら、ほら一番綺麗な色君に送るよ、っていう歌詞があるんですよ。

ナカザワ:はい。

りり:やっぱり白か黒っていう時に、必ずグレーっていうのが存在するんですね。私はそのグレーという曖昧をすごく愛していて。
白か黒のどっちかで決めると必ず傷つく人がいるんですよ。白を選んだら黒派が傷つくし、黒って言ったら白派が悲しんじゃうし。じゃあ白も黒も傷つかない方法はないかって言うと、やっぱりその中間を取るしかないと思うんですね。だから決断することによって必ず傷ついたりとか嫌な思いをする人がいるってのを考えると、しっかり、はっきり決断するっていうのはあんまり好きじゃないですね。
曖昧さに、すごく優しさを感じるんですよ。よく、はっきりしないとか、どっちでもいいとか、そんなことを言う人ってあまりよく思われないじゃないですか。どっちかにしてよ、みたいな。もちろん、時と場合はあると思いますよ。
ただ、その灰色の部分をしっかりと認識してる人、灰色の部分を提示している人っていうのはすごく好きですね。あったかい人だな、本当にやさしいなって思います。だから私もよく曖昧にしちゃうんですけど、やっぱり白か黒かはっきり決めなきゃいけない時の方が多いので、はっきりせい、と言われることが多いです。

4 誰もが多面体

ナカザワ:さっき、自分は保守的っておっしゃってたじゃないですか。新しい技術はなくていいと。でも、今時スマホ持ってなかったら、周りに置いてかれるんじゃないかとか思う人もたくさんいると思うんですよ。
本当に変わったことをしたくない人、民衆の一部でいたい人は今時スマホを持たないといけないと思うんですけど、ガラケーでもいいっておっしゃってて、そこって強さだなって。決して周りと群れたいとか、みんなと同じがいいっていう訳じゃないですよね。
自分のペースでいいやって言えるのも、自分のペースで進む自分を認められるからこそですし。でも一方で、曖昧なものをも人のためには愛したいみたいな。人に対してと自分に対してがちょっと違うんですかね。

りり:そうですね。結構人前での自分と、本当に自分だけの時間っていうのは正直使い分けてるところはありますね。
別に誰かに気に入られたいとまでは思っていないんですが、ま、人間ですのでね、嫌われるより好かれたいなって気持ちはありますし、ちょっといいなーって思う人の前ではめちゃくちゃ猫かぶりますけど。私はすぐ猫かぶっちゃうタイプなんで。
このインタビューも、どうにかして、顔が見えないのでちょっといいイメージを持たれたいな、みたいな。そういう気持ちがあるんですよ。人間ですものね。

ナカザワ:そうですね、同じ種類の生き物には好かれた方が生きやすそうですね。

りり:そうですよね、だけどやっぱりそうしてると私はだんだん疲れを感じてくるタイプなので、そういった一面も残しつつ、そうじゃない自分っていうのも残して、必要に応じて使い分けていくことでバランスを保つっていう感じですかね。
でもそうしないといけない自分っていうのは、めちゃくちゃ人と話が通じないって言うか、分かり合えないところがあるんですよ。それで私も相手のことをきちんと理解しようと思えないこともあるんですけど。
人と会うときの自分っていうのはやっぱり相手のことを理解したいって思いますし、逆に自分も相手に理解してほしいから、私もあなたを理解するよっていうことで、ちょっと歩み寄ろうとするんですよね。だからもしかしたらさっき出た二面性って言うのもあるのかな、なんて思います。
なかなかね、素のままの自分で生きてきた人っていうのは少ないと思います。猫被るときもあるじゃないですか。就活とか。

ナカザワ:二面性っていう、そういうものですらなくて、いろんな自分がいるみたいな感覚ですかね。

りり:そうですね。でもそれこそ桜井和寿じゃないですけども、白か黒かじゃなくってグレーな部分の自分ってはたくさんいると思うんですね。
だから用途に合わせて自分もなんかこう出し入れ出来たらいいなぁなんて思います。今日はこの自分、明日はこの自分みたいな。月曜日はこの自分だったら火曜日はこの自分で、そうすると月曜日の自分は休めるから、じゃあ次の月曜日がきた時、頑張れるかなみたいな。
開発してくれませんかねえ。頭のいい人。

ナカザワ:なるほどー、面白いですね。どんな自分でいたいんですかね。

りり:そうですね。やっぱり話がすごい最初に戻ってしまうんですけど、最初私は、自分がいいものは自分だけのものにしたいって言いましたよね。

ナカザワ:はい。

りり:だから本当の自分を知ってるのは自分だけでいいっていう風にも思うんですよ。逆を返せば本当の自分をあなたは知らないでっていうふうに。わかってほしいとかじゃなくってわからないでって。わかった時点でその私はもうあなたと共有されてしまうんだから、私だけのものではないからって。

ナカザワ:はいはい。

りり:だから相手に合わせていくつもの自分を用意しとくんですね。用意しとくっていうか、自然とそうなっていますね。
例えばそうだな、吉沢亮が好きって言う人がいたら、吉沢亮を好きな自分を出しますし。あ、吉沢亮が好きなのは本当なんですけど。
アメリカに行きたいという友達がいればアメリカに興味がある自分を出しますし、もちろんやりすぎると自分が苦しくなっちゃうから出来る範囲でそういうふうに対応しますけど、本当のところは見せない。
本当の自分を知ってほしい、なんて言葉はよく聞きますけど、そうじゃなくいんですよね。周囲とのズレみたいな話も出ましたけど、あの、皆さん、皆さんって断定するのはいけないですね。少しずれた部分というか、ズレを感じざるを得ないところはあると思うんですね。
私も何て言えばいいのか分かんないんですけど。

ナカザワ:自分らしさって言うのも違うかな。自分らしさっていうのは例えば黒なら黒って決まってるものじゃないと思うんですけど、確実に何かりりさんらしさみたいなのがすごいありますね。まだ25歳じゃないですか。これからどう変わっていくんだろうなっていうのが興味深いですね。

りり:変わらないんじゃないですかね。変わらないと思います。このままいって、必要に応じて変化して、でも本当のところは見せないみたいな。別にミステリアスキャラで行きたいとか、そういうわけではないですけど。
ただ、自分がこれは自分だけのものにしたいなーって思うものは自分だけのものにしたとしても、やっぱり共有した方がいい物ってのはあると思うんですよ。それはあの、世のため人のためになるようなこと、例えば心肺蘇生法とか。あれは絶対共有したほうがいいと思うんですね。そういうのは共有しながら、そうやって線引きをすることによって自分という形を保ててるところもあるんじゃないかなって私は思います。

ナカザワ:最初に岸田奈美さんが好きとおっしゃっていたんですが、岸田さんはおそらく書きながら生きてる人だと思うんです。起こったことを全部書ききるように生きていらっしゃる。りりさんご自身は自分をあんまりさらけ出すわけではないですよね、そんなりりさんと岸田奈美さんは対極にいるように感じまして、ここまで聞いてきた中で、むしろ意外に感じています。

りり:そうですね。でもそれは自分が正直岸田さんの出来事とは関係ないから、第三者の目線で見えられるからだと思いますね。
岸田さんが、例えばですけど、落とし穴にはまったとか、落とし穴にはまってブラジルまで行っちゃったってことをnoteに書いたとしても、私はそれをコメディみたいな感じで見れるんですよ。自分に全然害がないので。
私は自分の情報っていうか自分の事を必要以上には出しませんけど、なんでもオープンにしている人もいるわけじゃないですか。私は相手が出してる情報は見させてもらいます。だから多分一視聴者みたいな感じで楽しめるんじゃないかなって思います。でも岸田さんもこういう風に見られるって事は分かってると思うんですね。

ナカザワ:そうですね。

りり:だからある程度それ用に取り繕ってるところはあると思うんですよ。

ナカザワ:「ここ」を見せる、というのがあると思いますね。

りり:ここでは嘘って言葉を使わせてもらいますけど、まあ岸田さんは嘘をついてると思うんですね。自分にとっても、相手にとってもすごく優しい嘘。
私はそれを嘘だって分かった上で楽しんでるわけだから、やっぱ本当のことは知りたくないって思いますね。楽しいものは楽しいまんま。そこに踏み込むのもやっぱり岸田さんに失礼というか、人が開示しているもの以上に踏み込んではいけないっていうのはいつも思っていて。
例えばすごい苦しいことがあって、でもすごい楽しそうに話したとするじゃないですか、それを、本当にそうなの?とか、本当は困ってるんじゃないの、大丈夫?なんて言ってしまうのではなくって、その人が話してるように私も受け取る。この言葉が正しいのかわからないんですけど、私は一つの礼儀なんじゃないかなって思ってます。
だから相手が見せている範囲があれば、そこしか見ない。それ以上見ようとするのは相手の領域っていうのを侵してるようだと思うので、もしそこに踏み込むってなったら許可が必要だと思うんですよね。
どんなに親しくてもその人の守ってるものを侵してまで踏み込もうとするのはひどいことだって思っていて、その人がその人として存在できるように、こちらもある程度の線引きと言うかしていかなきゃなーって思ってます。
逆に私も私であるために、人に対してある程度の線引きは作っといて、もし超えようとして来るなら私の許可が必要だよ、って、そんな感じですかね。

5 最後にフワちゃんと二階堂

ナカザワ:最初岸田さんから入って、まさかこんな強い方が出てくるとは、何て言うんでしょうね。強いっていう表現が正しいかわからないですけど。

りり:でもめちゃくちゃ弱いですよ本当に。虫がダメなんですよ。本当にクモとか絶対つかめないですし。前ですね、トンボが入ってきた時があったんですね。

ナカザワ:トンボが部屋に入ってきたってことですか?

りり:はい。もうどうしようもないから、共存しましたよ。

ナカザワ:つかめないから共存したんですね。トンボどうなりました?

りり:他の人が、ものの2秒ぐらいで外に出してしてくれました。本当にもう駄目なものは駄目だし。めっちゃ怖いんですよ。口ではこう強がってますけど。ナイーブな性格なんで。

ナカザワ:どこをどう聞いても絶対にりりさんが返ってきますね。それが面白い。

りり:ナカザワさんもすごいなーって思います。本当同い年なのにインタビューとかもされてて、どんどんチャレンジしていく姿が本当にあのこれからも見させてもらうと思います。

ナカザワ:ありがとうございます、なんか、そんな風に見えるんですね。

りり:それも多分あの文章上でしか知らないので。

ナカザワ:そうですよね。

りり:でもそこはやっぱり開示している情報だけ、本当にそれ以上に踏み込まないです。
私に提示されているナカザワさんというのは、私に対して提示してもいいよっていう情報でできていて、多分私に対してだけじゃないですけど、そこ以上に踏み込むには、ナカザワさんの許可がいるわけじゃないですか。いいよ、と言われたら知れるかもしれないけど、ちょっとそこはダメって言われたら、潔く引きます。踏み込んでこようとする人がちょっとね。
あ、でもどうなんだろう、最近結構フレンドリーなキャラ流行るじゃないですか。フワちゃんみたいな。ああいうキャラは受け入れられるんですかね。

ナカザワ:なんか究極に誰に対しても同じだからいいんですかね。

りり:たしかにフワちゃんが人に対して態度を変えるのは見たことないですね。小池都知事と対談してたときはさすがに知事なので敬語使ってましたけど、やっぱり分け隔てないのがいいんですかね。

ナカザワ:人に対して見えない部分を作るとか、ミステリアスなものとかに飽きちゃったんですかね。

りり:そうかもしれないですね、私フワちゃん大好きですよ。元気になれるから。
私もすごく憧れていた時期があって、マネして「おはぴよ」って言ってた時があったんですよ。それであいさつしたら、5人のうち3人は返事してくれなかったです。2人は同情でしてくれました、おはぴよって。
そういうのも人を選ぶんだなーって学びましたね。すいません私が言って、みたいな。フワちゃんに画面越しに謝りました。私がフワちゃんになろうとして申し訳ありませんでしたって。

ナカザワ:色んな人がでてきておもしろいですね。
今ここまで1時間くらい話聞いてきましたけど、これ言ってなかったなぁとかそういうことはありますか。最後に言いたいこととか。

りり:いいことじゃなくても大丈夫ですか?

ナカザワ:なんでも大丈夫ですよ。

りり:ひそかな特技なんですけど、二階堂の焼酎のCMあるじゃないですか。あれって最後に「二階堂」って流れるんですけど、たぶんあのCM、0.3秒ぐらいで、あ、このCM二階堂だなって当てることができます。それが特技です。

ナカザワ:イントロクイズみたいな感じですね。

りり:多分いろんなCM見せられて二階堂のCM当てなさいっていう問題があったら余裕で伊沢卓司超えるんじゃないかなって思いますね。これはもう東大レベルですよ。

ナカザワ:二階堂のCMに対しては東大レベルということですね、ありがとうございます。同い年の方、実は初めてだったので新鮮でした!

りり:私もお話できて嬉しかったです。ありがとうございました。


あとがき

私に見せてくれたりりさんの一面、いかがでしたでしょうか。
いつも編集済みのインタビュー原稿をもとにテキストマイニングしてトップに置いているんですけれど、今回は予想通り、「奈美」「岸田」「フワちゃん」「吉沢亮」って、でかでかと出てしまっておもしろいことになりました。

インタビュー原稿では、特に話し言葉は読みやすいように直しを入れさせていただいています。話しているとき人は語順や文法に気を使わないことが多いので、そのままだと意味不明になってしまうので。

1万字越えの記事で意味不明の内容ばかりだと、せっかく投稿しても離脱者続出が予想されるので…それでも長くて読むの大変だと思いますけど。
編集の際は意味が変わらないように直すにはどうしたらいいかなと頭を使う作業をしています。
私はそれが好きなので、いつもパズルを解くような気分です。
りりさんのインタビューも編集したのですが、難問レベルのパズルはなかった印象で、とても丁寧に話される方なのかな、なんて思いました。
逆に、ちょっと話し言葉っぽいけどそのまま使いたいなと思う言葉も多かったです。

テキスト化して風味が増す言葉っていいですよね。


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