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熱田神宮 宝物館 大太刀 末乃青江

2020年 小暑の時期に熱田神宮へ参拝しました。

熱田神宮は三種の神器の一つ草薙剣をご祭神としており、多くの刀剣が奉納されています。

2mを超える大太刀

宝物館の入り口には2mを超える大太刀 「末乃青江(すえのあおえ)」が展示されています。

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話には聞いていたけど、本当に大きい。

全長303cm、刃長 221.5㎝。刀身だけの重さで訳4.5Kgあります。刀装具を付けたら何Kgになるんでしょう。

刃長に対して茎は短めでわずかながら朱銘の跡が残り、記録では「末乃青江」であるとされています。

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鋒は中鋒延びごころ

鎬地に樋(ひ)を入れることで軽量化されています。(赤く塗られている部分が樋です)

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古研ぎのため鍛えや刃文がはっきりしませんが、解説パネルによると『板目肌に中直刃僅かに乱れごころがあり小足が入るようにみえる』と書かれています。

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この大太刀は実戦で使われたとされ、刀身に細かい傷や刃こぼれが残ります。

「末乃青江」は織田信長と浅井長政・朝倉義景の対立により起こった姉川の戦いで朝倉氏の家臣だった真柄(十郎左衛門)直隆(まがら なおたか)の愛刀と伝わっており、そのため「真柄太刀」とも呼ばれています。

真柄直隆は身長が七尺(約210㎝)あり、武勇に優れた豪傑な武将だったそうです。

朝倉陣営の敗戦が濃厚になると味方を逃がすべく、単騎で徳川軍に突入し、12段構えの陣を8段まで突き進んだ。だが、向坂三兄弟の攻撃を受け力尽き、「我頸を御家の誉れにせよ」と敵に首を献上して果てた。
(Wikipedia 引用)

もはや人間とは思えないほどの強さ…。
2mオーバーの大男が2mオーバーの大太刀を振り回すんですよ。怖すぎます!

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刀工は青江派

銘の「末之青江」とは備中国(岡山県倉敷市)の刀工集団 青江派の南北朝後期以降の呼び方です。

ちなみに平安〜鎌倉中期を「古青江」
鎌倉後期〜南北朝前期「中青江」と区分されます。

青江派は平安時代に御番鍛冶を務めた貞次、恒次を筆頭に名工ぞろいですが、南北朝以降は衰退し初期の青江派の特徴はほとんど見られなくなりました。

対の大太刀 千代鶴国安

「真柄太刀」はもう一振りあります。
「末乃青江」よりひと回り小さい大太刀で、朱銘で「千代鶴国安」と書かれています。

武士が持っている太刀の長い方を太郎太刀と呼び、短い方を次郎太刀と呼ぶ習慣があったので、
「末乃青江」を「太郎太刀」
「千代鶴国安」を「次郎太刀」
と呼ぶ場合もあります。

現在(2020年7月)「千代鶴国安」は通常展示されいませんが、以前に私は別の展示で見たことがあります。
「末乃青江」と同様に樋中に朱が施され、茎に朱銘が刻まれていました。こちらは茎が長かった気がします。

いつか2振りを並べて展示して欲しいです。

参考文献
・熱田神宮 宝物館 解説パネル
・日本刀鑑賞講座(改訂版三) 佐藤忠志著 2019.11.1

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