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兄が亡くなりました。約束したこと

私たちは4人兄弟です。
兄は長男、私は末っ子。
あいだに次兄と姉がいて、兄と私は10歳離れています。
子どもを育てる能力が若干弱い両親の元、兄は、ときには父親より父親風情で私に接していました。だから、兄にとって私という末っ子は、指導したり見守る存在だったように感じます。


そんな私だけど、兄に一つだけ強く約束を求めました。
「これからは、どんなにシビアなことも伝えて欲しい」
「わかった」
短い返事でした。

たしか2020年12月くらい。
兄が胃の全摘手術を受ける直前だったと記憶しています。

8月には胃がんステージ4と診断され、抗がん剤で腫瘍を小さくしてから、1月に全摘手術をするーーー
10月半ばまで、そんなことが起こっているとは知らなかった私たち。胃潰瘍だと聞いていたし、 手術の話しだって直前まで曖昧でした。

困るよ。

12月ころ、
手術を前に ”万が一” のときどうして欲しいとか、貴重品の置き場、連絡する人などを一気に伝えてきた兄。

心もリアルも、
ほんとにいろいろと困るんだよ。

そんなある日、『これからは、どんなにシビアなことも必ずすぐに伝えて欲しい』と強く強く求めました。

あれからーーー
振り返ると、兄は約束をほとんど守ってくれたのだと思います。

転移が分かったしたとき、
抗がん剤の副作用、
治験を断念したこと、
毎回の数値、悪い数値
腫瘍が大きくなったとき

試せる抗がん剤が
残り1種類だというとき

体調が悪くなったこと
水がたまり始めたとき

信頼するセカンドオピニオンの医師から
残された時間は少ないだろうと告げられたとき

全部なんかじゃないけれど、
とても大事なことは隠さないことが気遣いだと
考えなおしてくれたのだと思います。

それは段階を踏んで覚悟ができたし
対応や気遣いができたし
なにより、隠してなさそうという信頼が持てました。
信頼は安心なんだと思います。

お兄ちゃん、約束を守ってくれてありがとう。

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