ラジオドラマ『僕とコカ・コーラと小さなサンタ』
ラジオドラマ『僕とコカ・コーラと小さなサンタ』作すがの公
<あらすじ>幸喜はコカ・コーラの自動販売機のルートドライバー。最近、変化のない毎日に最近疑問を感じ始めている。「どうしてこの仕事を選んだんだっけ」。ところがある日。いつもと様子の違う朝礼で、所長から渡されたコカ・コーラの缶の上には1cmの小さなサンタクロース。そいつにナビられるまま、いつもの自販機を操作する。そこは地下サンタ工場Xテーションへの入り口だった!そして、幸喜は自分の過去に出会い、、
男:幸喜、コカ・コーラルートドライバー
所長:幸喜の上司
サンタ:1cmのサンタクロース
ルドルフ:デリバリーカー
母:幸喜の母
<『僕とコカ・コーラと小さなサンタ』>
男:「僕は札幌市内コカコーラドライバーの幸喜、
市内の自販機の在庫を適切に保つ。それが仕事だ。」
■SE社内のざわめき、朝礼
所長:えー、ルートカーで走行中、
不審な状況や助けを必要とする子どもを発見した場合、
通報もしくは保護を行い、子どもの安全確保に協力すること
「毎日毎日このくり返し。変化の無い毎日。
どうしてこの仕事、選んだんだっけ。」
所長:じゃ、いつもの。えっと、幸喜。
男:あ、はい。
所長:ビシっときめてくれよ?大事な事なんだからな?
チーム全員、
でかい声で元気よく、
「行ってきます」を言える事。
その毎日のくり返しにこそ意味がある。
男:「所長の小言は長いしくどい。そして古臭い。
小学生じゃないんだから。」
所長:うんたらかんたらであんたらなんだ
男:はい
所長:よし、じゃ、ビシっと決めてくれ。
男:スピードダウンよーし。
スピードダウンよーし。
スピードダウンよーし。
元気にしゅっぱつ。いってきまーす。
所長:元気なーい!
男:え?
所長:元気ないよなぁみんなぁ!
全員:元気ない!元気ないよぉ!
男:え?
男:「その日は、何かがおかしかった。」
所長:朝礼ごと、しきりなおす!
男:しきりなおす?
全員:はい!
所長:よし俺のおごりだ!
みんなガンガンいってくれぇ!
全員:はい!
所長:プルタブオープン!
全員:オープン!
男:え?どした?
■プシュ!プシュ!プシュ!
所長:じゃおはよう!乾杯!
全員:かんぱーーい!
男:ちょっと
男:「その日は、何かがおかしかった。」
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○タイトルコール
男:ほら、となりにいるよ。
男:〜僕と
所長:コーラと
サ:小さなサンタ〜
男:え?
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■ゴクゴクゴクゴクゴク
全員:ぷはぁああああああ
所長:グッドモーニングエブリボディ!
全員:グッドモーニング!所長!
男:え?どした?みんな?
所長:日直
日直:起立!礼!着席!
■ガタタガタター
男:にっちょく?
所長:本日は11月25日!なんの日だかわかるか!
全員:はい!はい!はいはい!はい!はい!
男:小学校か?ここは?
所長:はい、よねっぺ!
1:はい!えっと、わかりません!
全員:はい!はい!はいはい!はい!はい!
5:1977年世良公則&ツイスト『あんたのバラード』でデビュー。
所長:あんたにあげぇえたあ違う!
3:1972年アグネス・チャン『ひなげしの花』でデビュー。
所長:おっかのうーえひーなげしぃの、懐かしい!でも違う!
4:毎月25日は歯茎の日です。
男:そうなの?
4:うん。
所長:違う!幸喜!どうだ?
男:え、えっと。
「こうなったらテキトーだ。」
男:クリスマスの一ヶ月前。とか。
全員:、、、
男:あれ?あ、すんません
所長:そのとおおおおおおり!
男:えええええ
■曲JOHN LENNON,Happy X'mas
全員:(口々に)いやほう!いええい!へーい!
所長:みんなもご存じの通り、
それまで色とりどりの服を着ていたサンタクロースに、
赤白ふとっちょおじさんの正しいイメージに
戻したのは、他でもない我がコカコーラボトリングだ。
男:え?そうなんだ。
所長:(怒)カーネルサンダースだと思ったら大間違いだ!
男:思ってません!
男:「そうか。コカ・コーラの宣伝戦略で
サンタクロースの衣装は赤い色に統一されたのか。」
所長:違うぞ。
男:え?
所長:それは違うぞ。
男:え?聞こえてたんですか?
所長:コーラがサンタを赤くしたんじゃない。
サンタがコーラを赤くしたんだよ!
男:何言ってるんですか!?
所長:コーラの影にサンタあり!
あなたがいるから僕がいる、
サンタあってのコカコーラボトリングだ!
男:ますますわからん。
所長:それでは、大きな拍手でお迎えしよう!
サンタクロースの、皆さんだぁ!
男:皆さん?
■すごい拍手
■ハッピーバースディの派手な曲
男:ちょっと!ちょっとまった!
全然サンタの歌じゃない!
「音楽の中、バニーガールが
コカ・コーラの缶がズラっと並んだ
机をおしてきた。」
所長:拍手はくしゅう!
男:音楽止めてください!
所長:どした?
男:どこにいるんですか?
所長:え?
男:どこにその、サンタの皆さんがいるんですか?
所長:何を言ってるんだ。
いるじゃないか、目の前に。
男:「目をこらしてよくみる。」
男:あ。
男「そこには、
ちいさなサンタが確かに居た。
身長約1センチ。
しかも、
ズラっと並んだ缶の上に、
ひとりづつ。」
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○CM
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男:「ずらっと並んだ缶の上に
1センチのサンタがひとりづつ。
なんだ、一体、何が起きているんだ。」
所長:コカコーラクリスマス商戦は、
今年もサンタとガッチリタッグ!
全員:スピードダウンよーし!スピードダウンよーし!
サンタクロースよーし!
元気に出発!行ってきます!
男:まてまてまてまてー!
所長:幸喜!
君のサンタさん、お待ちかねだぞ。はい。
男:あ
男:「所長のから受け取った缶の上には、
やっぱり1センチのサンタ。
よく見るとそいつはにっこりと僕に微笑んだ」
所長:詳しいことはサンタさんに聞け。
男:「僕はいつものように商品を積み込み。
コーラと1センチのサンタを助手席に置く。
そいつは缶から降りてきて、
缶を背中にして座りなおした。
コカコーラの缶には小さなシートベルト。」
■ブロロロロロロロン
サ:まだシートベルトしてねぇだろ。
男:しゃべった!
サ:ちょっと缶へこませて。くぼませて。
男:え?なに?
サ:背もたれ。
このままじゃツルっと行くだろ。ツルっと。
男:あ、ああ。
男:「僕は言われた通りに1cmくらいのくぼみを作る。
僕は、夢を見てんだろーか。」
サ:夢じゃねぇよ。
男:独白なのに。
サ:お、いいぞ。くぼみ。ビューだわ。
さっ、ちゃっちゃと行こうか、ルドルフ。
ル:はい、ご主人様。
男:え?どっから声が?
サ:わかってねぇなお前も
ルドルフったらトナカイだろ?!
男:トナカイ?
ル:私ですよ。
■ブ、ブー
男:まさか!
■ガチャ、バタン
男:「運転席から降りて車を見る。
なんとナンバープレートの上には
サッカーボールくらいの赤い鼻
ライトがウィンクした。」
ル:いつもみんなの笑い者でございます。
二人:あっはっはっはっは
男:うそぉ!?
サ:ほら行くぞ!良い子のみんなが待っている!
男:良い子のみんな?
サ:悪い子はプレゼントなしだ!
男:ちょっと、説明してくんない?
ル:乗ってください!
サ:ハイヨールドルフ!
■RUNRUNRUDOLF。ロックバージョン
男:待ってって!
■ガチャ、バタンブロロロオン
男:どこ行けばいいんですか?
サ:いつも通りのルートを走れ。
男:何すんですか?
サ:いつも通りコーラを補充。
男:、、、おわり?
サ:今日はもひとつやる事がある。
男:もひとつ?
サ:行くぞルドルフ!
ハイヨールドルフ!ホォ!ホォ!ホォ!
男:うぉおお!?
男:「車は、いや、ルドルフは
勝手にいつものルートを走り始めた。
となりには1センチのサンタ。
一体、何が起こってるんだ」
サ:なんか話してみると
結構おもしれぇ奴だな、おまえ。
男:あ、どうも。
ル:なんだか評判と違いますね。
男:評判?
サ:職場ではつまらない男だと聞いたぞ。
男:、、いや、そりゃ職場では目立たない方だけど、、。
サ:ふーん
男:「だって、職場は職場だ。
いつでもどこでも笑ったり冗談をいったり、
そんなのは、疲れる。」
サ:なるほどねぇ。疲れるかぁ。
男:なんで今日は心の声まる聞こえなんだ。
サ:え、違うよ。
男:え、でもさっきから。
サ:顔に出てんだよ。
男:、、、、え?
サ:みんな言わねーだけだよ?
男:、、、、。
サ:あ、到着ーコカコーラ自動販売機ー。
いいねぇ〜。俺の色だねぇ〜。
ほら、ぼさっとしてないで仕事しろ仕事。
男:「僕はいつものように
商品を荷台から下ろし、
自販機に補充していく。」
■ガシャココココンガシャココココン
男:よしっ。一台目終了。カギ閉め。次。
■ガチャ、バタン。
サ:こら。
男:え?
サ:何してんだよ。
男:なにって。次。
サ:今日もひとつやる事あんだよ。
男:え?
サ:ほらおりろおりろ。
男:はぁ、、
■ガチャ、
男:降りました。
サ:自販機戻れ。
男:戻りました。
サ:ボタン押せ。
男:ボタンって。
サ:面倒だな。ルドルフ、教えてやれ。
ル:かしこまりました。
上から2段目右から一番目
男:はい。
■カチャ
ル:優しく押してくださいね。
上から1段目、左から1番目
男:はい。
ル:2段目、右から5番目と6番目同時押し。
男:「言われたとおりに押す。
10個はおしただろうか。」
■カチャ、カチャ、カチャ
ル:そして、最後に返却レバーをさげます。
男:はい。
■クイ。
男:、、、で?なに?
サ:ちょっと下がれ。
男:え?
■うぃーーーーーん
男:なんだぁ?!
■ガシャコンガシャンカシカシーん
男:コカコーラの自販機が!
レンガ状のパーツにわかれていく!
そして懐かしのスネークキューブさながらに
形をどんどん変えて行く!
■ウィーカシャ、ガシンカシャガシーン!!
ル:トランスフォーム!
Xステーション!!(エコー)
■カカカカシイイイイイン!!!
男:こ、これは、、
ル:トランスフォーム完了しました。
男:所々に小窓のような四角い覗き穴。
まるで城壁。は!これは!巨大な煙突だ。
サ:ハイヨールドルフ!
ル:かしこまりました。
■ブロロロロロオオオン
男:危ない!ぶつかるー!
ル:幸喜さん、エントランスコード
男:え?
サ:お前の名前だよ!
男:こ、幸喜!
■シュン!
男:「壁にぶつかるその瞬間。
ポッカリとルドルフが入るくらいの四角い穴が開いた。
ぼくらはその穴に飲み込まれる
深い深い暗闇の中に僕らは回転しながら落ちていく」
■ヒューーーーーーーン
男:うわ、うわわ、うわああああ〜〜〜〜
■曲きよしこの夜。
男:「遠くから、きよしこの夜が聞こえてくる。
、、ここは、、どこだ?」
母:幸喜ー?幸喜ー。
男:「、、聞き覚えのある声だ。」
母:サンタさんにお願いした?
男:「かあさんだ」
サ:くんの?
男:「、、?」
サ:サンタさんくんの?
男:「じゃ、こいつは。」
母:いい子にしてたら、くるかもねー
サ:でばりか!でばりか!
母:はいはい。コーラのでいいの?
サ:コーラの!でばりか!ミニカー!
男:「コーラのでばりか?」
母:いい子にしてられる?
サ:いつも!元気いっぱい!にこにこ!
母:えらいえらい
サ:でばりか!
男:「コーラの、、でばりか、、
ミニカー、、、なんだっけ、、、。」
■クラクション。ブッブー。
ル:起きてください。
着きましたよ。
男:あ、、ルドルフ。
ル:大丈夫ですか?気を失ってましたよ。
ほんの一瞬。
男:、、夢か。
サ:ぼやっとしてないで、周りを見ろ。
男:まわり?、、うわぁ
■IT's a small world
男:「そこはとてつもなく広い工場だった。
たくさんの小人たちが
ベルトコンベアから流れてくる
手紙をテキパキと選別している。
その向こうには、大きなおもちゃ製造マシン。
次々と流れ作業で出来上がっていくその様子は、
まさに、僕が子供のころに想像した通りだ、、」
サ:すごいだろ。
コカコーラボトリング
地下のXステーション秘密工場だ。
ル:ここは地下約100マイルです。
上を見てください。
男:あ。
男:「そらに無数の空色の光。
まるで星空のようだ。
良く見るとそこから地上が見える。」
ル:あの中のどれかが我々が落ちてきた穴です。
男:他の穴は?
サ:もちろん世界に繋がってる。
男:すげえ、、
男:「無数の穴からたまに、
ヒラヒラと色とりどりの手紙が落ちてくる。
ル:ああやってプレゼント願いが
世界のコカコーラ自動販売機に投げ込まれます。
男:プレゼント願い?
ル:コカコーラ自動販売機は、
サ:ガキんちょのプレゼント願い受け付けマシンだ!
男:うそ?!
男「一枚が、足下に落ちた。」
■ファサ、、
サ:お、来たな。
男:え?
ル:開けてください。
男:いいの?
ル:どうぞ。
男:「足下の手紙を拾い上げる。
子供の文字だ。サンタさんへ。」
サ:早くあけろ。
男:でもサンタさんへって。
サ:俺ちっさすぎて開けるのにまる一日かかるだろうが!
男:あ、そうか。
■パサ
サ:なんて書いてる?
男:「コーラ、でりばか、ミニカー」
サ:でりばか?
ル:釣りバカでは?
サ:テキトーな事言ってんじゃねぇよ!
男:コーラの、でりばか、ミニカー。
サ:早くしろ!お前の仕事だろ!
男:え?仕事って?
ル:あなたの仕事は解読業務です。
男:解読業務?
ル:コカコーラボトリングは
言わばサンタの下請けだからな。
男:結構でかい企業なんですけど?!
サ:コカコーラの売り上げのほとんどは
この解読業務のマージンです。
男:コーラは?!ファンタは?!ジョージアは?!
サ:はっ!収益の1割にも満たねぇ。
男:ええええ。
男:「コカコーラボトリングが、
下請け会社だったとは、知らなかった。」
男:でも、誰が、投げ入れるの?これ。
サ:おまえも子供のころ書いたろ。手紙。
それ、残ってないだろ?
男:え?それは、親が、、。
サ:ばーか。
子供が書いた手紙をサンタ見習いがこっそり拾って
各地のXステーションに投げ入れるんだよ。
男:、、そうだったのか、、。
サ:ほら、さっさと解読してくれ。
ル:差し出し人は?
男:、、、幸喜。
サ:お!お前と同じ名前だ
男:これ、、僕の書いた手紙だ。
サ:なんだおまえのかー。
男:でもなんで子供のころの僕の手紙が今さら、、
サ:ばかやろう。サンタクロースなめんなよ?
ル:サンタに届かなかった手紙、
判読されなかった手紙は、
時空を超えていつまでも
Xステーションに届き続けます。
男:届かなかった手紙。
サ:本人ならわかるだろ?
ル:小さいころ、
サンタさん、来なかった記憶ありませんか?
男:あ。
サ:あったか?
男:幼稚園の時、僕の父が死んだんです。
クリスマスの夜。帰宅途中に事故で。
赤信号で進入してきた車にぶつかって。
サ:、、そうか。
ル:お気の毒に、、
サ:ルドルフ!
ル:かしこまりました。
■ブッブー、ブロオロロオオオロオオン
男:え?
サ:幸喜!乗りこめ!!
ル:プレゼント、届けに行きますよ!
男:どこに?!
ル:20年前!あなたが小学生3年生だったころ!
男:でも!
サ:1987年12月24日クリスマスイブ!
男:でも「でりばか」って何だよ!
サ:ハイヨォールドルフ!!ハイヨオオオ!!!
男:!またぶつかる!
ル:エグジットコード!
男:幸喜!
サ:ハイヨオオオオオオオオオオオオオオ!!
■シュパアアアアアアアアアアアア
男:「地下100マイルの壁が開く
曲がりくねったトンネルを
ルドルフは螺旋状に駆け上がる。
遠くに見えた小さな光の穴が
一気に広がって、僕は街の光の中に包まれた。」
■街の雑踏。クリスマスソングがかすかに聞こえる。
「気がつけば僕は、運転席に寝ていた」
男:、、ん。、、
「あたりを見回す。
街のネオンが少し違う。
建物もいくぶん、低い気がする。」
■ガチャ、バタン。
男:ここ、ほんとに1992年なの?
、、、ルドルフ?、、サンタ?
男:「返事がない。
ルドルフの赤い鼻がなくなってる。
古い型のコカコーラデリバリーカー。
1cmのサンタも消えている。」
男:、、肝心な時に、、。
男:「助手席のコカ・コーラの缶は、
リボンのついた四角い箱に変わっていた。」
男:、、そういう事か。
母:あのーすみません。
男:あ、はい。あ!うわ!若!
母:え?
男:「これではっきりした。
ここは、間違いなく20年前。
だって、目の前に現れたの、僕の母。」
男:結構美人だったんだ。
母:やだぁ!(バシ!)
男:いて!
母:あの!
変なお願いしても良いですか?
息子が、どうしても聞かなくて。
あれ?どこ行ったんだろ。
目はなすとすぐいなくなるんです。
男、、まさか。
母:あ!こら!ダメ!勝手にのっちゃ。
サ:ブウウンブウウウウウウン
男:「助手席に乗っているのは、
間違いなく、幼稚園のころの、僕だ。」
サ:ブンブーン
母:すみません!
サ:これ!これにする!
母:ダメ!降りて!見せてもらうだけ!
サ:でりばか!コーラのデリバカ!
母:良い子じゃないと、サンタさん来ないよ?!
男:でりばか、、。
母:口回らなくて、
ずっとデリバリーカーの事、
サ:でりばか!
母:ほら降りて!
男:あ、いいですよ。
母:え
男:いいですよ、ちょっとくらい。
母:でも、乗せちゃいけないでしょう?規則で。
あ、うちの主人もルートドライバーなもので。
男:今日は絶対バレません。
母:そうですか?
男:ええ。
サ:いやったあ
母:ありがとうは?
サ:ありがーとお!
男:元気だな。
サ:うん!
男:良い子ですか?
母:うーん、どうだろう。
サ:良い子だ!
元気いっぱい!いつも!にこにこ!
男:じゃ、これあげる。
サ:なにこれ。
男:クリスマスプレゼント。
男:「僕は、リボンのついた四角い箱を
僕に渡した。」
■曲きよしこのよる
サ:うわーい!
母:いんですか?
男:ええ。でもひとつ約束できるか?
サ:何?なんでもする。約束!はい!
男:たぶんこの後、いや、この先ずっと、
いろんな事がある。
サ:いろんな事?
男:でも、元気でにこにこ、お母さんと頑張る事。
サ:?ん?
男:良い子でいろ。ずっと。
サ:わかった!
男:男と男の約束だぞ?
サ:わかった!毎日!元気!
母:元気すぎて困るくらいですから。
男:あの、、
母:、、はい?
男:「母はこの後、家で、父の事を知るはずだ」
母:なんでしょう?
男:何があっても、
ちゃんと元気に頑張りますから。
母:、、、え?
男:あ、いや、たぶん、幸喜君が。
母:、、はぁ。
男:じゃ。
■ブロロロオン
サ:ばいばい!ありがとお!
男:おお!元気だ!
サ:おっきくなったらデリバカにのる!
男:おお!父さんみたくな!
サ:おじさん!
男:おじさんじゃねぇ!
サ:サンタクロースみたいだ!
男:、、ハイヨオオオルドルフ!!はいよお!!!
サ:かっこいい!!
■ブロオオオオオオン
サ:ハイヨォデリバカ!はいよおお!
これ開けていい?
母:だめ。家に着いてから!
あ、、、、どうして、あんたの名前知ってんだろ。
■曲、街の雑踏にかき消される。
男:「気がつくと僕は配送センターにいた。
、、朝礼が始まってる。」
所長:で、あるからしてぇ、
男:、、、戻った、、?
所長:えークリスマスムードの若者に十分注意して安全運転。
男:、、なんだったんだ、一体。
所長:こら。
男:あ。
所長:まーたぼやっとしてんのか!
罰。いつものやれ。
男:あ。
所長:俺もお前がにくくてやってるわけじゃないんだよ?
男:はい。、、コホン。
所長:幸喜、頼むからビシっと決めて(くれよ?)
男:スピードダウンよーし!スピードダウンよーし!
スピードダウンよーし!
元気に出発!行ってきます!
所長:、、お、、
全員:、、、、、、。
男:、、あれ?
所長:なんかあったか?
男:え?なんかしましたか?
所長:いや、いい。いいんだ、すごくいいんだ!
ほら、おまえらぁ!行ってこい!
男:行ってきます!
全員:行ってきます!
男:「僕はコカコーラルートドライバーの幸喜、
毎日この街をルートカーで安全運転、
自販機の在庫を適切に保つ。
、、これが僕の子供のころからの、夢の仕事だ。」
<了>
2007年11月
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・許可なく上演コピー配布することを禁じます。
・許可については別記。
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たくさん台本を書いてきましたが、そろそろ色々と人生のあれこれに、それこれされていくのを感じています。サポートいただけると作家としての延命措置となる可能性もございます。 ご奇特な方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。