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新規事業を立ち上げたら、思わぬ大冒険になった! 2回の失敗からの復活劇と事業オーナーとしての覚悟

こんにちは!
「働くとは冒険だ!」と好き勝手に語っているHameeの山川太郎です。
おかげさまで冒険記の第1話はスキが100を超えて、ニンマリしています。

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さて、冒険には失敗や困難がつきもの。
ワンピースのルフィも強敵に敗北して、挫折して、それでも何度も挑んで乗り越えていますね。

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引用:尾田栄一郎 ワンピース(61巻 601話

新規事業にも必ずというくらい失敗が起きます。
事業において失敗を糧にビジネスモデルを考え直し、方針転換や再構築して挑戦を継続していくことを「ピボット」というそうです。

今回は僕が冒険の中で失敗をピボットに転換できた2つの出来事を紹介します!


失敗その1 年間売上の大半を注ぎ込み、ピクリとも機能しなかったシステムを開発

僕は新規事業を立ち上げる前の約7年間、ネクストエンジンというシステムの営業職を担当していました。

ネクストエンジン:楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonなど複数のネットショップ・モールの受注、在庫、ページを一括管理し、発注、顧客管理、メール送信などの運営に必要な機能を揃えたクラウド(SaaS)型ECプラットフォーム

問合せをいただいた企業様やユーザー様のもとに出向き、業務改善やシステムによる解決を提案する仕事でした。ネクストエンジンはユーザー様によく好評をいただき、Hameeや僕のことも褒めてもらう場面が多く嬉しかったです。

そんなユーザー様の声を社内に持ち帰って上司や開発チームに伝え、ネクストエンジンの開発方針を話し合うような仕事もしていました。

僕はエンジニアではないですが、こうした経験が「僕はネクストエンジンのことなら何でも知ってる、何でもできる人間になった」と大きな勘違いをさせてくれました.….…(苦笑)

2017年頃。
僕は自治体を対象とした新規事業を立上げ、ネクストエンジンを基幹システムとしてサービスを構築していました。そして事業をより前に進めるため、その周辺機能の開発が必要になりました。

まだ事業は動き始めたばかりで、Hamee内の忙しいエンジニア達の手を借りることは難しい状況でしたが、「ネクストエンジンはAPI仕様を公開しているので、社外に開発企業を見つけて必要な機能を作ってもらえばいい」と僕は考えました。

自分なら要件定義や開発進行管理も容易にできると勘違いしていた僕は、社外パートナーを見つけて打合せを重ね、全てがスムーズに進んでいると思い込んでいました。

しかしパートナーの担当者にとって、ド素人のくせに自信満々で指示を出してくる僕との仕事はやりにくかったことでしょう。違和感から始まり、不満が生まれ、いつしか怒りを貯めこんでいったようです。

数カ月の開発期間を経て、テスト版のシステムができたものの、こちらが思っていたような動きをしなかったり、途中で止まったりすることの連続……

パートナー側の回答もイライラが見え隠れして、こっちは指摘をするのも気が滅入るような状況になり、最終的には契約期限を迎え、ケンカ別れのような形で開発委託は終了となりました。

依頼先との雰囲気も成果物も坂道を転げ落ちるように悪くなっていく中、それを止めて改善する方法を僕は全く持っていませんでした。

結果として、初年度の売上の大半を払い込みながら、業務にはまったく使えない状態のシステム画面だけが残りました……。

開発パートナーに言いたい事もあるけれど、失敗の根本は自分の過信にあります。できない事をできると過信し、盲目的に突き進んだことで大切な資金を使い込んでしまいました。

絶望の淵に落ちて、尻をまくって辞めるには良いタイミングだったかもしれません。しかし、まだ僕には「再チャレンジしてやる」という気持ちがギリギリ残っていました。

しっかり反省して気持ちを改め、戦略を練り直して早く動き出すしかない。事業にとって最重要タスクは「CTO(開発責任者)を仲間に入れること!」と覚悟を決め直しました。

まずは大切な資金を無駄にしてしまったことについての謝罪と事業をスケールさせるためにエンジニアが必要だという説明を経営陣に、事業方針と今後の事業の可能性を社内のエンジニアたちに行うために社内を駆け回りました。

長い付き合いのベテランエンジニアが後輩を集めて説明会を開催してくれた事はありがたかったなあ。

何度も何度も、ビジネスの可能性を社内のエンジニアに伝え、ついに数カ月後、僕の船に第3の仲間が加わってくれることになりました。
野心あふれる優秀なエンジニアのジョインです。船は推進力を取り戻しました。

毎晩遅くまで対応していた手作業の仕事の自動化や契約相手や関係先に必要な情報が早く正確に共有されるシステム機能の開発など、仲間になったエンジニアは次々と魔法のように課題解決を実現してくれて、僕とゾロは羽が生えたように自由になりました。

自動化できることが増えることにより、セールス活動に専念できるようになり、新しい契約も次々と決まります。
なんと事業は、次の期に大成長を遂げ、目標も大幅に達成し、社内MVPとして表彰されるまで飛躍しました!

自分で何でもできるという思い込みから、第一のピボット。
役割を任せられる仲間との出会いでした。

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新規エンジニアが加わった直後のメンバー。
数カ月だけベテランエンジニアが面倒を見てくれたことにも感謝。

失敗その2 契約先の恩人を激怒させた料金設定変更

ネクストエンジン事業が大きく成長した経験を経て、サービスのプライシング(料金設定)はとても重要だと感じていました。

僕が立ち上げた事業の先行していた競合サービスは、取扱額の歩合で業務受託料をもらう料金体系。うちは取扱額でなく「取扱件数」の歩合で料金設定しようと考えました。

請け負う業務内容は取扱件数に応じて対応工数やコストが発生するので、件数歩合にする方が本質的だと思ったからです。さらに件数歩合にした方が料金を安く抑えられて、顧客にも喜んでもらえると考えたのです。

後発サービスとしては価格設定からも差別化を見せつけて、一気にシェアを奪っていこうなんて野心丸出しの考えでもありました。

初年度、この戦略は少しだけハマります。
「違いを持っている僕たちと契約してください」と熱意で語り歩く僕とゾロ。信じてくれる自治体さんが少しだけ現れてくれて、いくつかの契約をいただきました。

しかし事業が回りだして、実際に発生する売上やコストとにらめっこしているうちに、あることに気付きました。
「この料金体系だとうちにほとんど利益が残らない(泣)」(先に気付けよって話ですが……)

もう一つ、営業面でもこの料金体系が足かせになっていました。
僕たちの価格設定が独自すぎて、顧客にとって他サービスと比較検討しづらくなっていたのです。

価格メリットがわかりにくい僕たちのサービスに対して「おたくはわかりにくいなー」「上司に説明しづらいよ」などの断り文句で、比較テーブルから外されていく経験が続きました。

そんな状況から僕とゾロは悩み、時間をかけて話し込みました。
Hameeが積み上げてきたノウハウで全国の自治体の課題解決ができる自信はある。自治体の魅力が、日本中に知れ渡り、幸せになる世界作りに貢献したい。だけど今の価格設定では目標実現のスピードを奪われてしまう……。

僕たちは目指す未来を見越して、価格設定は業界通例(取扱額歩合)に合わせる変更方針を決めました。武器だと決めた価格設定を捨てることは、とても勇気が必要な決断でした。

そして、独自の価格設定で契約してくれた契約先に変更を伝えに行くことになりました。一番取引が大きい契約先に説明に行った際は、責任者の方に顔を真っ赤にして怒られました。

怒るのも当然。その方は僕たちの独自価格モデルを気に入ってくれて、庁内や市議会での説明や調整に動いてくださった方です。そうしてやっと別サービスから僕たちのサービスに乗り換えてくれたのに、1年も経たないうちに変更を告げに来た訳です。なんという恩知らずな奴らか……。

しかし一大決心の後で、僕らがすぐにブレる訳にもいきません。
「この変更により、サービスレベルをさらに上げることができます」
「結果としてお互いに良い未来に進めるため、理解してください」という信念を真正面から伝えました。
何分か話した後にその方も理解してくれて、変更を受け入れてくださりました。

新しい価格体系になった僕たちは利益を投資に回し、人材面でもシステム面でもサービスレベルを高めることができました。僕たちと自治体のルーティン業務が減り、自治体のPRにも深く取り組むことができました。
結果として、あの時に語ったように今ではお客様も僕たちも大きく事業成長できました。

勇気を出して価格変更してから、事業は大きくスケールできました。重要なピボットでした。もしあの時に決断していなかったらと思うとゾッとします。

ルフィたちもシャボンディ諸島で散り散りバラバラになった際、再開時期を3日後から2年後に変更しましたね。あのピボットが無ければ今は無いでしょう。

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引用:尾田栄一郎 ワンピース(第61巻 598話

まとめ

この2つの失敗に直面した時、社会人としての価値観が大きく変わる気付きがありました。

それまで組織の一員として働いてきて、普通は失敗をすれば上司からお咎めを受けます。
しかし私は(一応)事業オーナーになったので、基本的に上司はいません。
大失敗をしても説教して尻を拭いてくれる人は誰もいなかったのです。
失敗を怒ってももらえない寂しさは、逆に心底に響きます。怒られて情けない思いをした方がはるかに楽だなと……。

新規事業が失敗を繰り返していけば、静かに死ぬのみ。
決断の機会は次々とやってくる。どれが天国または地獄に繋がっているかもわかりません。

全ての決断の責任は自分。
間違えれば仲間が乗る船を沈めてしまうかもしれない。
だけどやり続けるしかない。

(なかなかハードな冒険を選んでしまったもんだ……)

そうした「事業オーナーとしての覚悟」をより強くして臨まねばならないと、2つの出来事から教訓を得ることができました。

考えてみればあの当時は、航海術を持たずに腕っぷしだけで海に出たルフィとゾロにそっくりでした。
勢いだけではどうにもならない事もあることを学びながら、まだ生き延びていられることは奇跡的だと思えます……がんばろう。

第2話 挿絵

引用:尾田栄一郎 ワンピース(第2巻

次回第3回は「事業を立上げて嬉しいこと3つ」を書きます!
お楽しみに!

本編の続きはこちら↓

過去回も公開中。こちらからどうぞ!
◆第1回(Log1)

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